仕事の研修で、まえまえから気になっていたストームグラスを作ってきました。
ストームグラスというの19世紀にイギリスで考案された天気予報の道具です。「テンポドロップ」とか「気象管」などとも呼ばれています。
水とエタノールに混ぜた複数の薬品の結晶の出方や沈殿の様子によって、天気を予想する道具です。「温度」、「気圧」、「湿度」、「大気磁場」などの影響によって変化があると考えられていて、それを利用して天気を予報していたようですが、残念ながらその科学的根拠は証明されていません。
しかし、現代のような気象観測が不可能だった19世紀において、嵐を予見することは難しく、特に長距離の航海を行う際にはなんとか情報を集めようと必死の努力をしたに違いありません。
あのチャーチルダーウィンが乗船したビーグル号でも、「ストームグラス」による観測をしていた記録が残っているそうです。ちなみにそのときの船長だったロバート・フィッツロイは気象学の開祖の1人とも言われています。
複雑で精密に思えるストームグラスですが、作り方は意外と簡単
エタノールに樟脳(クスノキの成分)を溶かした溶液と、水に塩化アンモニウムと硝酸カリウムを溶かした溶液を混ぜるだけ。
ちなみにわたしが作ってきたものはさらに簡単なこちら。
樟脳 29g
エタノール 90g
精製水 100g
分量通りの材料を混ぜ合わせたのですが、樟脳が溶けきったエタノール溶液に精製水を入れると、いきなり白い結晶が析出したのがとてもインパクトがありました(写真撮り忘れ〜)。
要するにアルコール濃度が下がるので溶けきれなくなった樟脳が析出したのだと思うのですが、日頃物を溶かすのはもっぱら水なので、水を入れて再結晶するという現象がなんとも不思議に感じました。
少しずつ攪拌し、全体の濃度を均一にしていくと、最終的に溶け残りが少し出るようです。
それを湯煎にかけて温度を上げることで、一度でも完全に溶かし、あとは常温下に放置すると結晶が出てくるという仕組み。
ところが、わたしが作ったものは湯煎にかける前に全て溶け切っていました。
…というわけで、待てど暮らせど、2日経っても何も現れず…
そこで研修で教わってきた通り、さらに精製水を追加してみることにしました(ここも写真を撮り忘れ〜)。
水を足すとまたまた再結晶が現れました。やっぱりおもしろい!アルコール濃度が下がるから析出するってことでいいのですかね?
一応これを湯煎で加温し、完全に溶かし切りました。
しばらく放置していると温度が下がり、再結晶が析出。細かいものや大きなもの。形も少し違ったりして見ていて飽きません。
調べている過程で分かったのですが、再結晶に関係する要因のうち、気圧や磁場については因果関係がないと証明した方がいらっしゃるようです。
そして、温度については樟脳の再結晶にのみ、強い関係があるという検証結果が出ていました。また、湿度については何らかの因果関係があるとのことですが、まだ解明中のようです。
天気を予報するには、正直なところ根拠が薄そうなストームグラスですが、再結晶する際の要因を追求したり、その析出の美しさを観察したり…、とても興味深いなぁと思います。