YNWC的な日常

街の中でも季節を感じて暮らしたい。生き物や自然のの話を中心に美味しい食べ物、散歩のことなど綴っていきます

最終回 めぐる季節

2012-06-14 18:03:06 | 清里・野辺山2011~2012


フクロウシリーズ、本日ついに完結です。最終回は清里の半年を振り返ってみたいと思います。

すっかり緑が濃くなった牧場ですが、4月の終わりはまだ緑ももところどころまばらでした



横浜に比べるとずいぶん遅い春の訪れです。



だって、12月はこんな景色でしたから…。中央の茂みの中でコミミズクがじっと寒さに耐えてとまっています。



清泉寮(宿泊施設)の中には、凍った氷のオブジェがが1日中とけないで飾られていました。





2月の森と6月の森です。この劇的な変化。四季のある国に生まれてよかったなあとしみじみ思います。







雪が解け、木々が芽吹き、新緑の季節を迎える。こんな季節の変化を感じながら通った半年間でした。寒い冬があるからこそ、春の輝きがより美しく感じられるものです。



今は空き家になったフクロウたちのお家も、すっかり緑の中に隠れてしまいました。ここから巣立っていったフクロウたちが、この森で元気に過ごしてくれていることを祈るばかりです。

残念なことに、フクロウの個体数は全国的に激減しています。それは豊かな森が失われていることにほかなりません。ここ清里でも新たな国道計画が立ち上がり、生き物たちは危機にさらされています。この「フクロウツアー」を通して、そうした現状も学びました。

また、フクロウなどの幼鳥が売買のために盗まれてしまうこともあると聞きました。

自然保護は、そこに暮らす人の生活とを考えると、遠くの対岸(?)から簡単に口をはさむことははばかられます。しかし、実際にそこに暮らし、正面から向き合ってらっしゃる方々の話を聞くことで、改めて深く考えさせられることがたくさんありました。自分にできることはなんなのか。横浜の自然を見つめながら、考え続けていきたいと思います。

これにて、YNWC的なフクロウツアーは終了。明日より「YNWC的な日常」に戻りたいと思います。今回はたくさんの方に読んでいただけたようで…。ありがとうございました(*^_^*)

次回の特別編は7/14に尾瀬ツアーをお届けする予定です!

15 それぞれの役割

2012-06-14 06:12:03 | 清里・野辺山2011~2012
清里編。いよいよ次回最終回です。
第15回は森で暮らす小さな生き物たちの紹介です。





くさい臭いを出すために、嫌われ者のカメムシたち。でもよく見ると色も形も様々です。カメムシ専門の厚い図鑑があるほど。調べてみたら、世界的には2,500種以上、日本にはおよそ90種類ほどが分布しているらしいです。

けっこうきれいなものも多いのでコアなファンは意外と多いようです。わたしも最近はまりかけ(笑)



枝についている「唾」のような白いかたまりは、ご存じアワフキムシ。この泡の中に幼虫が隠れて暮らす甲虫です。実はこのアワフキムシも、カメムシの仲間だったりします。

臭いを出したり、泡に隠れたり、生き物たちは生き抜くためにそれぞれに進化を果たしてきましたが、弱いものほど強いものに食べられてしまうのも、これまた自然の理です。



写真の中にヤマアカガエルの赤ちゃんが隠れています。



すかさず捕まえてみました。正面顔がかわいいですよね。こんなかわいい顔して(?)ここまで成長するには、たくさんの虫たちを食べたに違いありません。



たとえばこんなイモムシも食べたのかしら?小さい者たちは食べられても種が途絶えないように、たくさんの子どもたちを次々と産みます。



新しく生まれる子どものために部屋を用意したり、



大人になるための時期(蛹)を、敵に見つからずにすごすために隠れ家を作ったり…

それはもう、数限りない知恵を絞り、それぞれの生き物がさまざまな進化をとげてきたのです。

今回メインで観察したフクロウも、こうした小さな命たちがあってこそ、この森に存在しているとも言えます。虫が植物を食べ、カエルが虫を食べ、鳥や小動物ががカエルや虫を食べ、もっと大型の猛禽類や動物たちが小動物を食べる…。いわゆる生態系というやつです。それぞれが、それぞれの役割を果たし、絶妙なバランスの上に、この森で生き物たちは暮らしています。そう思うと、本当に愛しく思えます。



役割をおえた生き物たちを、また土へと返していくキノコやカビの仲間たち。自分たちが生き残ろうと進化を遂げてきたことが、実は互いに支えあってこの星を構成しているということ。とても神秘的ですよね。

14 マムシグサの話

2012-06-13 17:55:58 | 清里・野辺山2011~2012
ブログでは、清里編が長引いて、なかなか「日常」にもどれませんが、リアルタイムはすっかり日常を取り戻しています。



さて、今回の話題はマムシグサです。

マムシでも潜んでいそうなやぶの中で、マムシのような斑点をもつ茎を伸ばしています。しかもマムシが鎌首をもたげたような形の花まで咲かせます。インパクトのある植物です。

茎のように見えるのは、葉鞘(ようしょう)といって、葉っぱが重なり合ってできています。また、花のように見えるものは、花を包んでいる苞(ほう)です。



茶色と白の個性的な組み合わせです。こういう組み合わせのしましまチョコレートがありますよね。



そうかと思うと、こんなさわやかな色合いのものもあります。こちらは、カントウマムシグサとかアオマムシグサとか呼ばれることがあるようです。

サトイモ科テンナンショウ属に属するマムシグサですが、色も、大きさもかなり幅があるように感じます。突然変異も多く分類が難しい植物のようです。



マムシグサは、雌雄異株ですが、筒のようになった苞の合わせ目で識別できるそうです。雄株では、合わせ目の下の方にわずかに隙間があり、雌株では合わせ目はほぼぴったりとくっついてすき間がないのだとか。
 
この筒のようになった苞の中に雄しべ・雌しべだけでできた花がたくさん咲いています。筒の内壁はよく滑るようになっていて、一度中に入った昆虫は雄しべか雌しべを足がかりにして上へ逃げようとします。しかし軸の上の方にネズミ返しのような膨らみがあって、そこから上へはいけません。そして、その膨らみのために筒の中が狭くなっているので飛んで逃げることもできません。しかし、雄株には筒の合わせ目にあるすき間から、かろうじてそとにでることができるのです。そのときたくさんの花粉を身に着けることになります。そして、再び雌株に入ると、そこは脱出不可能。花粉をめしべに運んだあとは八方ふさがりです。マムシグサが受粉を完璧なものにしようとするおそろしい罠です。

虫のくだりは、帰宅してからのにわか知識なので、事前に知っていたら、ちょっと観察してみたかったなあと残念な思いです。つぎにこの花にであったときは、雌雄の違いや花の中の虫を調べてみたいものです。

マムシグサは他にも性転換することで知られていて、株が小さくまだ栄養を蓄える余裕がない時は雄株、株が成長し、次世代を残す余裕が出ると雌株になることが実証されています。観察対象としてはなかなかつっこみどころの多い植物です。


13 梅雨の森でであった草花

2012-06-13 06:00:33 | 清里・野辺山2011~2012
今朝は、清里の森で出会った植物たちを紹介します。



フタリシズカ、まだ蕾です。花茎が2本ある方が「フタリシズカ」という名前にピッタリなんですが、残念ながらわたしが見たものは1本でした。2本のものを目にして命名したと思われますが、実際には3本のものも4本のものもあります。別種に「ヒトリシズカ」という花もありますが、こちらは、花茎は必ず1本なので、これと対比してつけられたなまえなのかもしれません。とても趣のある名前です。





ツクバネソウ。4枚輪生する葉の上のほうに花を咲かせる姿が印象的です。秋になると花のあとに暗紫色の丸い実が付き、これを羽根つきの羽に例えてつけられた名前です。花の形もとても面白く、地味ではあるけど、目を引く花です。



マイヅルソウ。葉っぱの葉脈がツルが羽を広げたことに由来して舞鶴草。とっても洒落た名前です。清里のものは全体的に草丈が低く感じられました。



苔むした樹に根をおろしていたクルマバソウです。なかなか絵になる個体だったのですが、構図もいまいち、ピントもぶれぶれ。今回の残念極まりない作品です(^_^;)



チゴユリ。こうしてみると、やはり白い花が多いです。



キンポウゲのつやつやの花。黄色い花は光を反射してしまい、なかなかうまく撮れないものですね。





前回、すでに満開を越していたムラサキケマンは、すっかり実になっていました。

この実も、はじける系です。雨でしめっていたため、なかなかうまくはじけてくれませんでしたが、手当りしだい、手で軽く押しては、はじけ具合を楽しんでしまいました。

うまくはじけたものは、たいがいは、種も鞘もはじけ飛んでしまうのですが、力の加減をうまくすると、上の写真のように黒くてつやつやの種やくるくる巻いた鞘が残ってくれます。これが楽しくて、鳥見をしている人々に隠れて、こっそり遊んでいました(^_^;)

最後に昨日のタンポポについて。

「ライオンのたてがみ」っていう自分でつけた題名を見て思い出したのですが、タンポポの英名ってダンデライオンっていうんですよね。(昔、ユーミンの曲で知りました。)たてがみとライオンは関係あるのかなって思って調べてみたのですが、ダンデライオンはフランス語に由来していて、「ライオンの牙」のことらしいです。葉っぱが牙のようにギザギザしていることが語源なんだとか。残念ながらたてがみとは関係ありませんでした。

12 ライオンのたてがみ

2012-06-12 18:04:16 | 清里・野辺山2011~2012


すっかり綿毛も飛んでいったタンポポの総苞が、まるでライオンのたてがみのように群れていました。



綿毛もまだ少しのこっ散るんですね。雨で綿毛と綿毛がくっついてしまっています。自然のアートですね。



さらに雨上がりにはしずくもついていたり…♪キレイ~!!

花が過ぎても、綿毛のまん丸な姿を過ぎても、なお楽しめるタンポポの花。春の代表選手にふさわしいですね。



雨上がりといえば、草地のしずくも、ガラスのような繊細な美しさがあります。雨上がり散歩は足元がぬれるものの、なかなか楽しいです。