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ぽかぽか春庭「アジアの漆工芸展 in 東京芸大陳列館」

2022-10-11 00:00:01 | エッセイ、コラム

20221011
ぽかぽか春庭アート散歩>2022アート散歩工芸の美(7)アジアの漆工芸展 in 東京芸大陳列館

 10月1日、都民の日の無料施設公開日に東京都美術館へ。そのついでといってはなんだが、無料で公開されているので、東京芸術大学陳列館にも立ち寄りました。
 「無料だから美術館に入ってみようか」という善男善女が都美にわんさかおしかけたため、入場整理券が必要になり、13時に都美に到着して手にいれた整理券は16時。それまでの「時間つぶし」として芸大陳列館に入ったのですが、思いがけず美しい漆芸作品を眺めることができました。

 ミャンマーに赴任したさい、機織りや陶器工房などを見学したのですが、機織りの織り子は「朝から夜まで降り続けて一日200円ほどの工賃」だと言っていたし、陶芸工房で長年壺の絵付けをしているおじいさんも、恵まれてはいない印象でした。
 しかし、芸大陳列館に作品を出している作家たちは、みな作品にタイトルをつけ作者名を作品の前に掲げていて、「職人」ではなく、「工芸作家」として一家を構えている人たちのようでした。アジアの工芸大学の教授をしている人も多かった。

 私は「名もなき職人が作った」という工芸のほうが好きなのですが、アジア全体でまだまだ職人が恵まれない環境で仕事をしていることを思うと、一部の人であっても、アートとしての作品を評価されてアーティストとして工芸に携わる人が増えてきたことは、喜ぶべきことなのでしょう。
 陳列館2階には、芸大の漆芸専攻学生の作品もあったのですが、見る時間がなくなりました。
 会場で放映していた「アジア各地の漆芸制作風景」のビデオをじっくりと見ていて、都美の整理券時間になってしまったので、ちょっと残念ですが、2階の学生作品、もしかしたら50年後には「人間国宝」とか呼ばれる作家さんになるのかもしれなかったけれど、次の機会に。

 ビデオで製作過程が紹介されていましたが、漆に埋め込む顔料の実物展示。


 ヴェロニカ・グリツェンコ(ウクライナ→ミャンマー)(ブラックエレファント工房)」

 ミャンマーのバガンには2回訪問したのですが、タクシーの運転手が連れていかれた場所はお寺めぐりばかりで、ブラックエレファント工房を訪れる機会がなかったのが残念。
 ウクライナのキーウ科学技術大学で物理学を専攻したヴェロニカ・グリツェンコが、ミャンマーの漆工芸に魅せられてバガンに移住。新しい意匠もとりいれて作品を作っています。
 蓮の花や葉は伝統的なモチーフですが、彼女がデザインしたのは「キンマ」の葉。キンマは、東南アジアの人々の嗜好品で、どんな街角にも売っている、葉っぱ。たばこより安い。噛むと出てくる赤いつばをぺっぺと吐き出すので、私は葉っぱを眺めてみようとも思わなかったのに、彼女は美しい漆器のデザインに取り入れました。

 ミャンマー・インレー湖近辺で製作された漆の供物器。


 工芸作家の作品も、「名もなき職人」が作った伝統的工芸品もいっしょに並んでいるのがよかった。

 
 漆工芸を絵画としてにも、抽象画も出てくる。ベトナムうるしのコン・キム・ホア作「The Shine」

 ドゥ―・ドック・カイ「ハッピー」
 

 


<つづく>
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