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ぽかぽか春庭「キース・ヴァン・ドンゲン展 in パナソニック汐留美術館」

2022-10-01 00:00:01 | エッセイ、コラム

20221001
ぽかぽか春庭アート散歩>2022アート散歩夏~秋(3)キース・ヴァン・ドンゲン展 in パナソニック汐留美術館

 8月20日に、キース・ヴァン・ドンゲン展 を観覧しました。
 会期2022年7月9日(土)〜9月25日(日)

 西洋美術館で「ターバンを巻いた女」や「カジノのホール」を見てきて、好きな画家ではありましたが、作品をまとめてみたのは初めてでした。(ぐるっとパス利用)。

 ドンゲンは、1877年にオランダのロッテルダム郊外で生まれ、1968年に91歳で没しました。その生涯のうち、パリに拠点を起き、最も輝かしい時間を過ごした1900年頃から1920年代の画業の67点が展示されており、西洋美術館の「ターバンを巻いた女」も貸し出されていました。 

 パナソニック汐留美術館の口上 
 キース・ヴァン・ドンゲン(1877―1968)はオランダに生まれ、ロッテルダムの美術アカデミーに学びながら、20歳の頃に初めてパリに数か月滞在します。その2年後にモンマルトルに移り住み、アトリエを構えました。オランダ時代から力強い筆致の作品を描いていたヴァン・ドンゲンは、すぐに新印象派に関心を抱き、やがて濃密で表情豊かな強烈ともいえる色彩でフォーヴィスムの画家たちの一員となります。華麗な色調でありながら、内的な表情を感じさせる色を用い、なかでも女性を描く場合の身体の優美さや官能性を訴える画面は、ヴァン・ドンゲンの代名詞になっていきます。
 本展は、この稀有な芸術家がフォーヴィスムの画家へと成長する過程を紹介し、その後の第一次世界大戦までの時期に取り組んだ色彩と形態の研究に加え、人物表現というテーマ、そして大戦終結後の狂騒の20年代(レザネフォル)における画家の歩みに焦点をあてるものです。
 1920年代に入ると社交界との交流から、肖像画家として多数の注文を受けるようになります。ヴァン・ドンゲンならではのスタイルである、華奢で細長くデフォルメされたしなやかな人物像は、きわめて洗練された色彩で表現され、当時の上流階級の人々から絶大な人気を博しました。
日本の美術館においては44年ぶりの開催となる、ヴァン・ドンゲンの個展である本展では、巧みな人物デッサンと官能的表現という全時代を通じて見られる画家生来の資質と、各時代に特徴的な色彩、形、そしてそれらが調和する姿を、新印象派からフォーヴィスムの時代、フォーヴィスムの余波の時代、そしてレザネフォルの時代と3章に分け、国内外の優れたコレクションを通じてご覧いただきます。


第1章 新印象派からフォーヴィスムへ
第2章 フォーヴィスムの余波
第3章 レザネフォル

 ドンゲンの画業の出発点、オランダロッテルダム時代は、アナキストらとつながりがあり、社会の底辺層の人々などを描いたこともあるけれど、パリに出て、やがて、新印象派、フォービズムという大きな画壇の流れにのり、上流社会の肖像画などを手掛けるようになります。
 ひとかどの財産をえると、アフリカやオリエントなどを旅行し画題を広げます。
 
 第一次世界大戦後、「レザネフォル(狂騒の20年代)」と呼ばれる好景気の時代に、パリで最も名声を得た画家の一人になり、ほっそりとして美しく描かれた女性像は、ドンゲンの代名詞にもなりました。上流層の女性はこぞってドンゲンに肖像を描いてもらいたがったのです。

 私は、レザネフォルという語を初めて目にしました。第1次大戦後の、藤田嗣治らがどんちゃん騒ぎで舞い上がっていた「狂騒の時代」をレザネフォルと呼ぶのだと知りました。

 第2次大戦後は一時人気が落ちたのですが、もちまえの「上層階級くいこみ術」も駆使して復活を遂げ、1968年に91歳で亡くなるまで肖像画の第一人者として活躍しました。

 ドンゲンが描いたお金持ち女性たちの肖像、ドンゲンらしいフォルムや色彩で、描かれた女性たちは支払った画料に見合う美しい自分の姿に満足したことでしょう。

 私がいいな、と思った肖像は、「女曲馬師」。高額な画料を支払って肖像を描いてもらった女性肖像ではなく、ドンゲンから「モデル料」を受け取ってキャンバスの前に立ったのではないかと勝手に思う絵です。
 女曲馬師というタイトルに「Sayonara Miss Edmée Davis ! 」という副題がついています。エドメ・デイヴィスという曲馬の芸人が引退するというところだったのでしょうか。「Sayonara」という日本語がつけられたのも、ドンゲンの日本への関心を物語っていると思います。
 当時の画家たちにとって、日本はあこがれの浮世絵の国ですし、パリなどに日本の女芸人や女優が名を残しています。貞奴などが人気を博していました。
 女曲馬師エドメ・デイヴィス Sayonara Miss Edmée Davis ! 

 
 横に流した足と伏目がちな流し目で、男性を魅了したであろうことが感じられました。
 

 今回もぐるっとパスで楽しめました。

<つづく>
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