医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ベタインとガン抑制との関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-06-16 11:44:24 | 健康・病気
いろいろな栄養素のガンへの効果が研究され、報告されています。今回は、ガンとベタイン(栄養素)の関係について考えて行きたいと、思います。

Madan Kumar Arumugam博士らの研究によると、ベタイン(トリメチルグリシン)と疾患予防に関しては、ベタイン(魚以外の水産物、ほうれん草、甜菜、茸などに含まれる)は、酸化ストレス、原形質流動ストレス、それに炎症を軽減し、そしてガンの発育を遅らせ、神経保護作用を有し、心筋機能を保護し、膵臓脂肪症を防ぎます。また、ベタインは、ヒトの多様な疾患とその症状を軽減するのに、有望で有益な強い治療効果を発揮すると報告されています。

また、Hailum Xie博士らの研究によると、亜種タイプのガンでは、血清ベタイン値と肺がんのリスクの間には、確かな相関が見られ、負の相関が他のガンで見られました。面白いことに、U-型の関連が、血清ベタイン値の5.0/モル/リッターの転換点において、血清ベタイン値と消化器ガンの間で見られました。コホート研究では、持続的に変わりやすい血清ベタイン値とすべてのガンの間の強い相関がやはり見られました。高い血清ベタイン値では、全体のガンと肺がんのリスクと相関し、u-型の相関が、約5.0/nモル/リッターの転換点で、消化器ガンとのリスクが見られました。ベタインとガンの関係では、研究数が少ないので、研究の積み重ねにより、これらの関係が明らかになり、人類の光明に繋がる可能性が期待されます。

References
Madan Kumar Arumugan, et al. Beneficial effects of Betaine:A comprehensive Review . Biology(Basel).2021, Jun;10(6):456
Hailun Xie.Association of serum betaine concentration with the risk of new-onset cancers. Nutrition &Metabolism.20, Article number:46(2023)

自己免疫疾患とプロバイオティクスの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-06-12 14:04:58 | 健康・病気
潰瘍性大腸炎を始め自己免疫疾患に苦しんで人が増加しています。そして、
自己免疫疾患が免疫異常から生じるため、免疫の改善、調整作用のある乳酸菌などプロバイオティクスが注目されています。

Yuying Liu博士らによると、いくつかの無作為比較対照試験では、プロバイオティクスによる腸内微生物の改変は、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、それに多発性硬化症などの胃腸症状と多臓器炎症の症状を改善する可能性がある事を示しています。全体として、炎症性腸疾患では、プロバイオティクスは、自己免疫疾患に用いるのは安全で、有望であると考えられるが、標準的治療法の補助薬として証明されたわけではないと、博士は述べています。

また、ビクトリア大学のBehnom Hoshemi博士らの研究によると、ヨーグルトに含まれているプロバイオティクスは、免疫細胞の炎症を減少さすことにより、自己免疫疾患患者に有益である事が証明されました。そのポイントは次の様です。●プロバイオティクスは腸管微生物叢に変化を与えます。そのことにより、多発性硬化症患者の免疫システムと炎症反応を改善し、影響を与えます。●プロバイオティクスは、ヒトと動物の多発性硬化症の回復に有望な効果を有します。●プロバイオティクスの経口投与は、効果的なルートです。●腸管内の微生物のバランスは、炎症反応を減少さすことにより、プロバイオティクス株を通じて多発性硬化症患者で維持されます。なお、多発性硬化症は、中枢神経に影響し、神経脱髄をもたらす慢性炎症性疾患として知られています。これらの自己免疫疾患の克服のため、更なる研究が期待れます。

References
Yuying Liu, et al. Probiotics in autoimmune disease and inflammatory disorders. Nutrients. 2018, Oct, 10(10):1537
 Behnom Hoshemi, et al. The effect of probiotics on immune responses and their therapeutic application. Biomedicine &Pharmacotherapy. Vol159, March 2023

紫外線発がん現象、性ホルモン依存性ガンとビタミンCの関係について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-06-09 16:11:42 | 健康・病気
発がん性を有する卵胞ホルモン(エストロゲンなど)と性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピンなど)の中でエストロジェンは乳腺、膣、子宮に対し、あたかもアゾ色素のように細胞分裂を楽々と誘発させ、卵巣、子宮、乳房をガン化させます。

Pauling博士によると、ビタミンCは性ホルモン代謝に入り、性ホルモン代謝を正常化し、性ホルモンによって起こるガンを退縮させる、と述べています。
このことにより、エストロジェンの分型過多による乳ガン、子宮ガン、卵巣嚢腫などに対し、ビタミンCを10g、毎日3回に分けて食後摂取することにより、これらのガンを退縮せしめると、述べています。

紫外線への法外量の暴露は、発がんをもたらします。研究報告によると、太陽光線の地域に住んでいる、健康な皮膚をした人々のいろんな皮膚ガンの発生率を増加させる証拠があります。ホーマブラック博士らのアルビノ無毛マウスでの研究では、強烈な紫外線照射は、発がん性ステロール、5-2コレステロール、6-2エポキサイドを産生し、皮膚ガンをもたらします。この過程に、ビタミンCを含む抗酸化栄養素をマウスに与えることにより、ガンを抑制することが証明されました。更なる研究の積み重ねが期待されます。

References
Pauling, L. et al. Cancer Research.Vol39, 1979
 

ガン細胞毒性因子としてのビタミンCの作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-06-05 17:25:47 | 栄養医学、ニュートリシィオナル サイエン
生理学的濃度のビタミンCは、腫瘍細胞に対し選択的に細胞毒性であるという組織培養の研究からの証拠があります。Cameron博士らのビタミンC大量投与療法のガンに対する効果は、最初は主観的改善であり、元気さが増し、ガン性疼痛の改善が見られました。これらの改善は、ビタミンCを投与し始めて一週間以内に患者すべてで見られました。次に、ビタミンCの点滴の結果として、進行ガンの自然退縮が見られました。1973年10月に診断された細綱症(ガンの一種)の患者1名は、ビタミンC療法のみを実施し、急速な劇的な完全退縮が見られました。しかし、ビタミンCを中止すると、また症状が悪化し、再びビタミンC療法を行うと、2次性の完全な退縮が見られました。

これらの症例から、ビタミンCが少数の幸運なガン患者には劇的に有効である可能性があるとすれば、ビタミンCはそれ以外の残りのガン患者に対し、有益であるに違いないと仮定するのは、理にかなっています。次に、1976年、Cameron博士らはビタミンCナトリウム(静脈内投与、点滴)を追加投与した100名の末期ガン患者と、同じ医師により、同じ病院で理想的標準治療を行った初期の患者(ビタミンCを投与していない)と生存時間を比較しました。結果は、ビタミンC投与群は、対照に比べ、伝統的方法により治療不可能とみなされた後の生存時間の著しい延長が認められました。

References
Cameron,E. (1976)Supplemental ascorbate in the supportive treatment of cancer:Prolongation of survival times  in terminal human cancer. Proc Natl. Acad.Sci.USA73:4538-4542.
Cameron, E.(1978)Supplemental ascorbate  in the supportive treatment of cancer. Proc.. Natl. Acad. Sci.USA75:6252.