医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

脳の機能改善とビタミンB群の効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2014-05-13 23:53:04 | 健康・病気

脳は素晴らしい機能を有していますが、それは繊細で、デリケイトに出来ていますので、栄養のアンバランス、ストレス、体質、それに老化や環境の悪化などで機能がうまく働かないことがあります。今回は、この問題を解決すべく、精神機能と深く関係が有るビタミンB群の作用について考えていきたい、と思います。

ビタミンB群の利点は数多くあります。ストレスを和らげ、苦悶症状を治療し、記憶力を高め、月経前症候群(PMS)を緩和し、心臓病のリスクを減らします。そして、うつ病、統合失調症、アルツハイマー病(認知症の一種)、それに脳卒中発作などの予防や治療に有益、と米国の研究では報告されています。これらのことからビタミンB群は、精神機能と深く関係していることがわかります。

ビタミンB複合体として知られている12種のビタミンは、心(精神機能)が関係しているすべてのこと(気分、記憶力、知的活動など)にとって大変重要な栄養素で、偏頭痛さえも緩和させます。また、適正量のビタミンB複合体は、エネルギー産生を高め、チームとして協働作用で、代謝をスムーズにする栄養素の一群です。前述の健康上の利点は、ビタミンB複合体が関係する、体内での複雑な働きによります。さらに、ビタミンB群は、細胞がエネルギーを得るため、脂肪や
グルコースを燃焼させるのに役立ちます。その他に、セロトニンのような神経伝達物質を作るのをサポートします。そして、いくつかのビタミンBは、DNAの産生と修復を促進させます。

USDAによると、米国は栄養サプリメント王国であるにも関わらず、米国人は、十分量のビタミンB群を摂取していません。精製度の低い食品の摂取不足が考えられています。さらに、葉酸(VB9)、ビタミンB12、それにビタミンB6の欠乏が目立ちます。このためにも緑葉野菜、魚や豆類、それに全粒穀物の多めの摂取が望まれます。なお、不足分はサプリメントでも補給可能です。

現在までの研究でわかっていることは、ビタミンB1の要求量は、炭水化物や砂糖が多い食事では増加します。特別の症状の予防と治療には、10~100mg/日必要です。ビタミンB2のより大量の投与は、偏頭痛を和らげることが証明されています。10~400mg/日。ビタミンB3(ナイアシン、ナイアシンアミド)はエネルギー産生を高め、DNAの修復に必要ですが、ナイアシン(ニコチン酸)はフラシングなどの副作用を生じます。50~100mg/日。ビタミンB6はセロトニンのような神経伝達物質に必要で、PMSの症状を和らげます。10~50mg/ 日。ビタミンB5(パントテン酸)は傷の修復を早め、その仲間のパンテチンの大量投与は、コレステロール値を下げます。10~100mg/日。ビタミンB9(葉酸)は心臓病と脳卒中発作を減らし、出生障害、結腸ガンを予防します。400~500mcg/日。ビタミンB12は記憶力を改善し、精神の混迷を消退させます。20~1,000mcg/日。

以上からビタミンB群は、代謝マップでは欠かせない栄養素で、神経系・精神系の働きに必須な栄養素です。このビタミンB群を十分摂取することにより、より健康的な精神生活を送れることを、研究は示しています。なお、ビタミンB群の腸管での合成には、善玉菌優位の腸内環境が必要です。発酵食品やプロバイオティクス、プレバイオティクスを日頃の食生活に導入することが賢明です。 

References

The Benefits of B Vitamins: Givology. Body+soul. Vol 2 June 2009

What is vitaminB complex and what does it do?: http:/www.evitamins.com. July 17,2011