医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ピロリ菌が原因の胃ガンの予防とビタミンCについて 栄養医学ブログ

2012-08-27 18:39:33 | 健康・病気

食事性ビタミンCや栄養サプリメントによる還元型ビタミンC(VC)の摂取を増やすと、胃ガンを防ぐのに役立つ可能性があることが、サンフランシスコVA医療センターの研究で明らかになりました。以前にも、これに関しての多くの研究で、このことが証明されていますので、今回は追試になります。以下、VCは還元型を表します。

血中VC値が低ければ、それだけピロリ菌に感染しやすくなります。なお、ピロリ菌は、胃潰瘍と胃ガンの発症の原因となります。現在の研究では、胃ガンの発症の約80%がピロリ菌が関係していると、報告されています。

VC値とピロリ菌の感染の間の関係を調べるべく、大規模な研究が第3回米国国家健康・栄養調査により、約7000人の成人からの血液サンプルが、無作為に集められました。Joel Simon博士らの研究によると、子供時代のピロリ菌の初期感染をビタミンC(VC)が予防できるかどうかは、はっきりしておらず、このデータは、VCと細菌感染の関係を説明するのには、役立ちません。

感染が血中VC値を低下させ、より高い血中VC値が感染を防ぐかどうか、はっきりしていません。しかしながら、動物のモデルを用いた研究のいくらかでは、適切量のVCの摂取は、ピロリ菌などの細菌感染を減らす可能性があることを、示唆しています。VCの血中値を低下さすものは感染であっても、ピロリ菌が陽性の人は、VCの摂取を増やすと寛解がもたらされると、Simon博士らは報告しています。VCの血中高値は、胃潰瘍と胃ガンを防ぐ可能性を有することです。

1982年、研究者らは、ピロリ菌が胃や十二指腸の内層で見出され、消化性潰瘍の原因になることを発見しました。さらに最近、ピロリ菌は胃ガンと関係が有り、特に命に関わるガンと関係が有ることが判明しました。90歳の老人達と2ケ月の乳児の血液サンプルのピロリ菌を調べました。6746名の被験者の約32%がピロリ菌の抗体が陽性でした(感染しているか、感染したことがありました)。そのことは、免疫システムがピロリ菌に対し、以前に攻撃をかけたことを、示していました。陽性を示したヒトの半分以上は、特にピロリ菌の毒性を示す菌株による感染の証拠を示していました。

彼らは、これら被験者の血中VC値を分析しました。年齢、民族的背景、体重、その他の因子を考慮に入れると、高い血中VC値の白色人種は、約25%の有病率であることが、判明しました。

野菜や果物の摂取は、ガンとそれによる死亡率のリスクの減少に関係していることが、いろんな研究で示され、さらに、心臓保護作用が有ることが判明しています。VCは、ピロリ菌の感染を予防するのに役立ち、ピロリ菌の感染による作用を減らすのに役立つようです。

なお、食事性ビタミンC(野菜、果物など)を多く摂取することを基本に、栄養サプリメントによるビタミンCを補完的に摂取することは、ピロリ菌対策に重要と考えられます。当方の少数のヒトでの調査では、食事性ビタミンCを多く摂取し、補完的に1g/日のビタミンCサプリメントを摂取すると、ピロリ菌は陰性でした。更なる追試により、VCのピロリ菌に対する抗菌作用が明確になることを、期待しています。なお、ビタミンCの抗菌作用や抗ウイルス作用は、すでに証明されています。

話は変わりますが、インターネットによると、福島県の18歳以下の人々の甲状腺を調べた結果、その36%に甲状腺の"しこり"が認められ、このことが福島第一原発の爆発による放射線被曝との関連が指摘されていますが、当方の総合的見解では、限りなくクロに近い、と考えています。また、印刷工場の洗浄剤と胆管ガンの発症の因果関係は、同じく限りなくクロに近い、と考えています。いわゆる化学物質による発ガンの一種、と考えています。そして、ビタミンCを始め、抗酸化栄養素による予防・治療と食生活の改善が、それらの進行を防ぐのではないか、と考えています。なお、ガン患者の食生活の改善に関しては、以前のこのブログで紹介しています。

References

VitaminC may prevent stomach canncer: Food navigator.com,05-Aug-2003

VitaminC can curb cancer growth: Earth Times,2011

ガンを予防し、治す(寛解)ビタミンC療法:藤井毅彦、日本ビタミンC研究会、1982年