医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンの温熱療法とそのメカニズムについて 栄養医学ブログ

2012-08-21 19:44:57 | 健康・病気

Bangor大学の研究により、温熱でもってガンを殺すのに役立つ、細胞の中のスイッチが確認されました。前立腺ガンとその他の局在化したガンは、遺伝子にダメージを与える抗ガン剤と温熱の併用により、有効に治療できます。この新しい治療法の裏には、ヒトの癌細胞にとって不可欠な生存メカニズムのスイッチを切るべく、温熱の謎めいた能力があります。温熱療法は、現在では広く利用されているけれども、その隠された原理は未だ、明らかにされていません。

the Journal of Cell Scienceに載った研究では、新しい蛋白質の産生を促進することにより、温熱が、これらヒト細胞の生存メカニズムを調整することが、報告されています。興味あることには、この蛋白質は、体温を上げることによって、他の遺伝子の中に隠されている遺伝子を活性化する時だけ、産生されます。

ゲノム生物学研究者のThomas Caspari博士によると、この発見は、木製の大きい人形の中に、大きさが違った人形が入っているロシアの人形を思い出させます。筆者も知人宅で、その人形を物珍しそうに触って、中の大きさの違う人形を出したことがあります。これと同じように、その隠された遺伝子の存在は、ヒト遺伝子が最初に考えられたより、もっと少ない数の遺伝子を有している理由の説明となる可能性が有ります。このメカニズムの発見は、更なる温熱療法の改善に役立つ可能性を提供するものです。

現在の温熱療法は、ガン患者に聞くと、体の負担が大きいようです。しかし、更に体の負担を軽減したマイルド温熱療法も開発され、ビタミンC点滴療法と併用して、臨床に用いている医師も増えてきているようです。今や温熱療法は、ガン治療では一般的ツールとなっているようです。

Reference

How Heat Helps to Treat Cancer: Science Daily , Aug. 8, 2012

筆者の栄養医学ブログは、ブログアドレスnutr-blog.blogspot.comとblog.goo.ne.jp/h35p39の両ブログで見られます。