医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンのビタミンC療法による腫瘍マーカーの改善について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-09-04 10:13:49 | 健康・病気

ガンのビタミンC療法の効果は、以前は、quality of life㋨改善(だるさや倦怠感)、それに一生ビタミンC療法を続けた場合の延命率の改善などが報告されていましたが、リオルダンクリニックのリオルダン博士らの臨床研究では、炎症マーカー、腫瘍マ―カー、それに炎症性サイトカイン値の改善が、ビタミンC点滴の効果として報告されています。

博士らは、前立腺ガンがビタミンCの点滴(50g/回、3回/週、程度)により腫瘍マーカーのPSA値とCRP値が低下したことに、注目しました。ガン患者の炎症を抑制する、ビタミンCの点滴の効果の可能性は、血清サイトカイン値のデ―タから示唆されます。リオルダン博士らは、ビタミンC点滴期間中、炎症促進サイトカイン値が低下することを証明しています。IL-2、TNF-α、それにeotaxin値は、ビタミンCの点滴(IVC)治療を受けているガン患者において、絶えず低下しています。6つのサイトカイン(IL-1α、INF-y、IL-8、IL-2、TNF-α、eotaxin)は、50gのビタミンC点滴(ビタミンCナトリウムを含む)後、実際に低下しました。

ビタミンC点滴による、IL-1α値の平均抑制率は6名のガン患者で20%、eotaxin値の平均抑制率は25%でした。なお、IL-1αは炎症のプロセスと転移の拡大を促進させ、IL-1αはガンの部位に多く見られ、発がん現象のプロセス、腫瘍の成長と浸潤、それにガンと宿主(ヒト)の相互作用のパターンに影響します。その他のカギとなる炎症性サイトカインのTNF-αは、ガンの進行において中心的役割を演じます。ガンの微細環境でのTNF-αの発現は、多くの悪性腫瘍の特性であり、それが存在することは、しばしば悲惨な予後を伴います。eotaxin-1(CLL11)は、ガン細胞の成長に影響する化学的誘引物質とリンパ球活性化物質です。多くのガンでのキモカイン受容体発現は、悲惨な予後と関係し、eotaxin-1が脈管形成とガンの転移を誘導するという、研究によるエビデンスもあります。

リオルダン博士らの研究から、サイトカイン値の検査と共に、ビタミンC点滴を受けたガン患者からのデータの分析では、炎症が低下し、この炎症の低下は、PSA値の低下と関係することが示唆されます。これらのことから、ビタミンCの点滴と共に、プロバイオティクスによるガン患者の腸内環境の改善による免役能の改善、グルタチオン、αーリポ酸など抗酸化栄養素によりガン患者の症状を改善することも、ビタミンC療法と共に重要と、筆者は考えています。このことに関しては、ビタミンC点滴を実施している医師と相談下さい。

References

Joyce JA, et al. Microenvironmental regulation of metastasis. Nat Rev Cancer.2009,9:239-252

Nina Mikirova, et al. Effect of high-dose intravenous vitaminC on inflammation in cancer patients. Journal of Translational Medicine.2012,10:189