医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

化学物質間の化学反応による発がんとビタミンCの作用について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2022-04-16 16:10:07 | 健康・病気

人は、日々、食品添加物、食品保存剤、その他、いろんな化学物質を摂取し、それらの化学物質が、体内で相互に化学反応を行っています。そして、それらの化学反応の繰り返しにより、発がん物質を産生し、膀胱などいろんな臓器にガンを発症させます。これらの相互作用による発がん現象は、十分研究されていません。現在、分っている相互作用による発がんを紹介したい、と考えています。

シュレーゲル博士によると、薬物と食品添加物が化学反応により、体内で発がん物質に変化する例として、ハムやソーセイジに含まれている食品添加物の亜硝酸塩と薬剤のオキシテトラサイクリン、モルフィリン、ピペラジン、N-メチルアニリン、メチル尿素、メチル尿素などとの相互の化学反応による発がん性N-ニトロソ化合物のin vitroでの形成は、内外の多くの研究からビタミンCによりブロックされ、そのブロックの程度は、亜硝酸化合物と実験条件にもよることが分りました。また、in vivoでのそれらの発がん物質の形成は、in vitro同様、ビタミンCと一緒にそれらの相互反応による化学物質を摂取しても、減少することが分りました。このような理由から、現代人は、日々、否応なしにそれらの化学物質を摂取しているので、ビタミンCを多く含む野菜や生果物の日々の摂取が重要、と考えられます。なお、野菜には硝酸塩が含まれていますが、野菜に含まれているビタミンCがその害をを防いでくれます。このことは、緑茶に含まれているカフェインの害を、緑茶に含まれているカテキンが防いでくれるのに似ています。

化学反応を伴った化学的ルミネセンス(化学的発光のことで、化学反応によるエネルギーで発光現象が起ること)が原因で、酸化過程で発生した高エネルギー分子は、光量子、紫外線、可視光線などの照射によりエネルギーを失い、これらの量子は細胞に吸収され、ガンを発生さす変化をもたらす、と考えられています。

健常者、喫煙者、それに非喫煙者の尿中化学的ルミネセンスに関する米国での初期の研究では、膀胱ガン患者の尿中に、より高い化学的ルミネセンス値を認め、ビタミンCの経口投与により、尿中化学的ルミネセンス値が低下したことが、統計学的処理により確認されました。喫煙者と非喫煙者では、喫煙者のその値が高く、喫煙者は、非喫煙者に比べて膀胱ガンが多いことが統計的に証明されました。なお、現在では、化学的ルミネセンス値を、ガンの診断とその治療効果を調べるために、欧米では利用されているようです。更なる研究が待たれます。

Reference

JU シュレーゲル. 膀胱ガン予防におけるビタミンC使用の提案. Annuals New York academy of Science. Vol258,1975