グルタチオンやR-α-リポ酸など硫黄を分子内に含む栄養素やセレン(ネギ類、ゴマ、魚介類などに含まれる)は、体内でガンの防御を始め、体内の代謝系に関係しています。また、グルタチオンとグルタチオン産生酵素は、健康な細胞をガン細胞に変えるオキシラジカルのオキシラジカル誘導変異を防ぐことができるレベルでは、正常細胞の抗酸化物質の存在を維持します。硫黄経路と硫黄の充足(貯え)に関しては、グルタチオンは硫黄を含むので有益です。なお、NAC(N-アセチルシステイン)は摂取すると、グルタミンとグリシンと共に体内でグルタチオンを産生することから、重要な栄養素です。
次に、セレン(セレニウム)化合物は、強力な抗発がん活性を有しています。食品のセレン化合物と硫黄化合物(グルタチオン、R-α-リポ酸など)の生化学的類似点を調べるため、selenocystamine、cysteamine、semethylselenocysteine、s-metylcysteine、selenobetaine-sulfobetaineなどが研究され、これらのセレン化合物や硫黄化合物は、ガン予防活性があり、発がん物質への暴露後の悪性腫瘍の発現の遅延と阻害だけでなく、正常細胞の悪性細胞への変異の予防においても、いろんなメカニズムを有すると、考えられます。そして、ネギ類のニンニクは、セレンや硫黄を含み、グルタチオン酵素に必要で、ネギ類野菜はガン予防に必要です。
また、ポーランドのGdansk医科大学のAlicja Kuban-Jankowska博士らの研究によると、R-α-リポ酸と還元型デハイドロリポ酸は、乳がん細胞の生存能力を減少させ、PTP1B(インスリン伝達に抑制的に働く酵素)とSHP2(発がん性のあるチロシンホスファターゼ酵素)の活性を低下させることがわかりました。このことは、R-α-リポ酸と還元型デハイドロリポ酸が、乳がんの補助療法となる可能性を有していると、考えられます。更なる研究が待たれます。
References
Dr Sircus. Cancer, Sulfur, Garlic &Gultathione. June 25, 2012
Alicia Kuban-Jankowska, et al.Anticancer Research.2017 vol.37 no.6 2893-2898
Novotny L, et al. Alpha-lipoic acid: the potential for use in cancer therapy. Neoplasma. 2008;55(2):81-6
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