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グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

黄色い溶岩流?

2010年12月02日 | 植物
先週のある日のことです。
元町林道のC11火口の横に立ち、ボ~っと山を眺めていたら山肌に縦の黄色い帯が走っている事に気が付きました。
この写真がそうなのですが…。

いくら山の木が秋色に染まる季節だからと言っても、縦一列って何か変だと思いませんか?

「こ、これってもしや溶岩流上に生えた木が黄葉して帯になっているのでは?」
山の中で1人、大発見をしたような気分になりました(^。^)

黄色の帯は林道にも続いていたので、正体はすぐわかりました。
アカメガシワです。こんなふうに葉が黄色くなっています。

アカメガシワのタネは長い年月の間、土の中で眠ったまま生き続けられる能力を持っています。
落雷や枯死木の発生などでタネの上に光が当たり土の温度が上がると、いち早く目覚めどんどん成長します。

でも成長にはある程度養分のある土壌が必要なのか、カルデラ内では殆んど見ることがありません。
タネは鳥たちに運ばれて、当然カルデラ内にも入ってきているはずなのですが…。

この場所の溶岩流上だって、土がそれほどできていないという条件は同じなはず。
アカメガシワはどうやって生えているのでしょうか?

疑問を解決するため、溶岩流に沿って少しだけ登ってみました。

林道を寸断した溶岩流を堰き止めるため、この場所では何か所か柵が作られています。
林道沿いはこんな感じ。


柵の横を登ると10mほど先に、更にもう一つ柵があります。
これはその柵の裏から林道方向を見下ろした図。


巨大なプランターの中にいるような感じ…とでも言うのでしょうか? 
柵と柵の間の20m×10mほどの狭い範囲に、驚くほど沢山の種類の植物が生えています。

溶岩の上にはビッシリとコケが生え、落葉がゴロゴロとした溶岩を隠しています。
落葉が降り積もった場所は一見普通の土の斜面みたいですが、足元はグラグラしていて、隙間だらけです。

こんな溶岩流の上で、高木となったアカメガシワは、自分の体を支えていられるのでしょうか?

ちょっと見渡したらすぐに、アカメガシワの木肌が目に入りました。
他の木よりも一際高く伸びています。1本、2本、3本…結構あります。

木の高さは10mぐらいあり、枝先に黄色い葉をつけています。

根元の土は一体どのぐらいあるのでしょう?
指を入れて土を掘ってみたら6cmぐらいで火山礫につきあたりました。

たったこれだけで、どうやってあの背丈を支えているのでしょうか?
根は横に這っているだけなのでしょうか?
それともたまたま運よく亀裂を見つけて根を下に伸ばせたのでしょうか?

アカメガシワは自分の根から新しい幹を伸ばすことができるようなので、
もしかしたら、すごくいい場所を見つけた者がどんどんコピーを作っているとか???

う~ん、謎は深まるばかり…。
この疑問を解決するには、アカメガシワの根の周りを全て掘ってみないとダメそうです。
…何だかこのまま迷宮入りしそうな気も(^_^;)。

アカメガシワの根元では,大きなシュスランの葉を見つけました。
そして周辺にも、沢山のシュスランが生えていました。

カルデラで暮らすシュスランが、あまり風の当たらない場所でひっそりと暮らしているのに比べて、
葉の色は濃いし、大きいし、まるで別人(?)です。
本来の自分にあっている環境だと、これほど元気なのですね。

この一角でしばらく時間を過ごしていたら、「土壌が安定する=動かない」ということが
植物にとってどれほど大事かが、実感として感じられました。(自分が植物になった気分でした・笑)

元町近くの、同じ溶岩流が流れ下った先端部分は、まだこんな状態なのです。


風や湿度、根を張る場所の安定…等の違いが24年でこれほど違う景色を作り出すのですね。
しかし、アカメガシワの周辺は、あまりに色々な植物が入り込んできていて、なかなか競争が厳しそうです。

住みやすいヌクヌクした場所は皆が詰めかけて競争が激しく、
厳しい環境の所は他者との競争は少ないけれど、今度は風や日照りと戦わねばならず…
結局どの場所も生きるのは大変なようです。

あらら?アカメガシワを調べに行ったのに、ずいぶん話が飛んでしまいました。
長くなったので、今回はこのへんで…。

参考までに、アカメガシワの周辺で見かけた植物達を報告します。興味のあるはご覧ください。

イヌビワ、ハリギリ、ヤブツバキ、ハチジョウイボタ、アオキ、マンリョウ、オオモミジ、オオバヤシャブシ、ニオイウツギ、ウツギ、ガクアジサイ、ラセイタタマアジサイ、ヤブニッケイ、シロダモ、サルトリイバラ,テイカカズラ、センニンソウ、シュスラン、オオシマシュスラン、オオシマカンスゲ、ツワブキ、チヂミザサ、シチトウスミレ、イガアザミetc…(真剣に探せばもっとあるはず…)

(カナ)

P.S HPに「お客様の声」を追加しました。
ツアー後の感想など、ご本人の了解を得て紹介させていただくことにしました。
下記ページでご覧いただけます。
   ↓
http://6715.teacup.com/gscyama/bbs

私達が行っているツアーの様子が、少しでも伝わることを願っています。
投稿に対してご快諾いただいた11月のツアー参加のお客様、ありがとうございました!

コメント (2)
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