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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 818 河埜兄弟

2023年11月15日 | 1977 年 



兄・和正(巨人)から弟・敬幸(南海)へ
やっぱり弟(敬幸)のことは気になるな。朝起きて新聞に目を通す時、先ずはチームや自分のことを見て次はライバルチームのことではなく弟の記事を探している自分がいる。去年までは一軍にいてもあくまでベンチ要員。スタメンに名前を連ねることはまずなかった。ところが今年は桜井選手の調子が芳しくなく弟に出番が回って来て、九番打者ながら二塁手としてスタメンで出場している。とうとうアイツもここまで来たかと思うと嬉しい。正直言って弟が南海に指名されてプロ入りを決めた時は心配だった。実力一本の世界で男として遣り甲斐はあるが、その厳しさは想像以上だから苦しむのは俺一人でたくさんだという気持ちもあった。

それがどうやら弟も一人前になったようだ。曲がりなりにもレギュラー争いに食い込んでいるし、兄貴として、プロ野球選手の先輩として何も言うことはない。それに引きかえ自分は黒江さんから引き継いだショートのポジションを助っ人のリンド選手に獲られてしまったのだから文字通り " 愚兄賢弟 " で情けないよ。でも実力では負けていない自負があるのでレギュラーを取り戻してみせる。弟はチームが関東へ遠征する時は必ず俺の家に来て食事をする。でもなぜか野球の話はしない。お互いやるしかない状況なので敢えて語らないのだ。いずれオールスター戦の檜舞台を一緒に踏み、共にベストナインに選ばれるという夢は是非とも実現させたいと思っている。


弟・敬幸(南海)から兄・和正(巨人)へ
今でこそ巨人と南海と別々だけど兄貴とは小・中・高校まで全て同じ道を歩いてきた。ポジションも遊撃と同じ、体つきまでそっくりだからプロ野球の世界で先ず僕が目標としているのが河埜和正選手だ。今年はリンド選手が加入して兄貴はスタメンから外れているけど、昨年はほぼ全試合出場している。だから兄貴に追いつき追い越せば南海でもレギュラーになれると思っている。今、南海は大事な時期にきている。7連勝と開幕ダッシュに成功したが直近の近鉄、阪急戦でモタついて首位の座を明け渡してしまった。このまま終わるのか、巻き返すのか前期優勝の山場にいるのだが、そんな時に試合に出てチームの勝利に貢献できない自分が情けない。

今シーズンは同じポジションの定岡さんが好調なので現在は " 一軍半 " といった感じ。5月1日の近鉄戦で不調の桜井さんに代わってスタメンに起用された。こうした少ないチャンスを活かすことがレギュラーへの道だと思っている。とにかく試合に出たくてウズウズしている。ただ最近になって野村監督の口癖の「試合に出られなくても勉強することは山ほどある」が分かってきた。相手投手のクセや配球の傾向などベンチから観察するだけでも自分やチームの為になる。以前は当然の代打起用に相手投手のことなど考える余裕もなかったが、最近は狙い球を絞って打席に入るようになった。与えられたチャンスをモノにするだけです。

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