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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 859 週間レポート 読売ジャイアンツ

2024年08月28日 | 1977 年 



仁王様の目がまた鋭く光った
7日間も試合が中止になった13日から19日までの間、目をギラつかせてバットを振っていたのが張本選手。本塁打世界記録の喧騒真っ只中の王選手はリラックスして体調維持に努めていたのと対照的に張本選手は全身に力を漲らせていた。「これからはワンちゃんが敬遠されることが多くなると思うけど、それを少なくする為には後ろを打つ俺がバンバン打つ以外ないでしょ。援護射撃しなくちゃ」と張り切る張本選手。 " 三番・王、四番・張本 " の打順は王選手への敬遠をさせないようにと長嶋監督が取った手段だ。加えて張本選手が目をギラつかせているもうひとつの理由が熾烈な首位打者争いである。

目下トップの若松選手(ヤクルト)を大島選手(中日)や大杉選手(ヤクルト)らと共に激しく追い上げる争いを繰り広げている。昨シーズンは最後の最後で谷沢選手(中日)に逆転され首位打者を逃しているだけに、さぞ今年は是非ともタイトル獲得を熱望している思われるが本人は「首位打者を獲るというよりもチームが優勝する為に打つことが最後に自分の為になると信じている」と敢えて冷静さを装っている様子。だが本心は首位打者に照準を合わせている。その証拠に張本選手は「若松君とは2分の差があるけどこれは5試合もあれば縮められる。秋は夏の疲れが出始めるからそこを如何に乗り切れるかがカギだね」と首位打者を意識した発言をしている。

史上2人目となるセ・パ両リーグに跨る首位打者(初代は江藤慎一)と、自身が持つ首位打者獲得回数記録(現在7回)の更新に燃えている。雨天中止となった15日の多摩川グラウンドで雨の中で黙々と1時間も打ち込んだ。仁王様のような頑丈でいかつい体、古武士のような豪快ツラ。それが雨の中で全身から湯気を立てて打つ様は " 凄絶 " という表現がピッタリ。打ち終わって「これでサッパリしたよ」と笑ったが、このあたりの張本選手はさしずめ本塁打世界新記録を目指す「王牛若丸」と共に連覇を狙う長嶋巨人に仕える「張本弁慶」といった感じ。「用心棒で結構。他人が何と言おうと脇目もふらず用心棒に徹するよ」とギロリと目を見開いた。


指の長い先生
中国から視察にやって来た野球代表団にフォークボールの神様である杉下投手コーチが極意を伝授した。伝家の宝刀であるフォークボールの投げ方を教わったのは弱冠二十歳の王永平投手。王投手は将来性有望な甘粛省のエースで指も長い。杉下コーチの指を見た王投手は「自分より指が長い選手を見たのは初めてでビックリしました。しかも球を指で挟んで投げるなんて二度ビックリです。教えられたことをしっかり学んでフォークボールを投げられるように頑張ります」と目を輝かせた。

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