H's monologue

動き始めた未来の地図は君の中にある

使命の道に怖れなく どれほどの闇が覆い尽くそうと
信じた道を歩こう

正常範囲ということ

2018-01-20 | 身体診察

久しぶりの当番で1時間ほど健康診断(の内科診察)のお手伝いをしたときのこと。
問診票を確認して簡単な内科診察をするのだが,真面目に全員に聴診することって普段の再診外来では,あまりないので意外にこれが楽しかった。聴診の前の診察でも例えば,お,この方はear lobe creaseがある,あれ若い男性なのに随分手が荒れてるな~,あ,調理師さんでしたか,なるほど〜・・とか,薬指の爪だけ妙に欠けてますね~,噛む癖があるんですかね?・・実は子供のころからです・・・あ,やっぱり・・とか,この男性も若いのに手が赤くて荒れてるな~,え?あなたも調理師さん・・などなど,結構新鮮な驚きがあった。加えて10人ほどだったけど,気合い入れて心音を続けて聴くことになって面白い。(ま,たまにやるからでしょ・・これが何十人になったら大変だんだからなんて叱られそうだけど)むかしある先生(徳田先生だったかな・・)に,サパイラが教育回診をしたときに,レジデント達に「君らが全く異常所見なしと思う患者のところに連れて行け。所見を指摘してやるから」と言ったとか。たしかに健診の患者さんをざっと診察しただけでも,何かしらの所見はあるもんだ,と今なら言える気がする。ただしそれを異常ととるかどうかは別問題だが。
 健診で診察する方々は,普段内科外来で診察している患者さんと比較すると,断然年齢層が若い。一部では有名なのだが(笑),私は自称「右脚ブロックマニア」で,2音の分裂がどれくらい聴こえるかがすご~く気になるタチなんですね。若い人では2音の呼吸性分裂はよく聴こえても,高齢者になると分裂が聞こえなくなる。その日は心電図であらかじめ完全右脚ブロックとわかっている方が2名おられた。気合いいれて聴診したが,お二方とも2音の呼吸性分裂は認識できなかった。一方で,若い方ではちゃんと生理的な呼吸性分裂が聴こえた。ま,当たり前といえば当たり前なんだが,ここでふと疑問。高齢になるに従って2音の分裂は聴こえにくくなるが,いったい聴こえにくくなるのは何歳くらいからなんだろう?沢山聴診で聴いていれば何となくわかるかもしれない。興味を持ってやると面白いかな・・・なんて考えました。
 聴診でもう一つ,1音も難しいな~とつくづく思う。今日も,お一人の完全右脚ブロックの方が,2音の分裂は聴こえなかったが,1音がちょっと幅広く聴こえる。よ〜く聴いてみると分裂しているように聴こえた。座位でしかもしっかり膜型を押し付けても聴こえるので4音ではない。完全右脚ブロックのためでいいんだろうか,あるいは大動脈駆出音? たぶんいずれにしても異常とまでとらなくていいんだろうなぁ・・と思うが悩ましい。おそらく少し心音が聴けるようになったからこそ感じることで,以前ならいずれも簡単に「異常なし」としていただろうと思う。
聴診は本当に奥が深い。
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