<この記事は2001年に書かれたものです。少し古いかもしれませんが、相場に関するやり方、見方、考え方などは、今の時代にも十分通用すると思っています。>
歩く銀杏(7)からの続き
以上で基本型“その1”の大まかな紹介を終えます。
これは、あの鎖国と言う特殊な状況下にあっても、世界に先駆けて米相場の先物取引を考え出したり、絶妙なる陰陽足のケイ線を完成させた、いかにも日本人独特の職人技、名人芸に立脚する方法ともいえます。
この傾向の悪しき部分のみが肥大化して、今の私たちが世界でも類例のないほど一発必中 の「上がる銘柄探し」に奔走するようになってしまったのかもしれません。
一方海の向こうでは、やがてポートフォリオ理論としてノーベル経済学賞を受賞する思考法の原型が、心有る人々の間で、受け継がれつづけていました。
それは、あたかもテレビに映し出される野球の如く、投手と打者の1対1の駆け引きにのみ夢中になり、時には投手になって三振を狙い、そのすぐ後に突如打者に変身して今度はホームラ ンを望むと言った相場になれていた私たち日本人に、野球は9人でするゲームなのだと教えてくれるものでした。
これからその基本型“その2”をご紹介するわけですが、その前に、「波乗り法」の特徴のうち、 私たちに役立ちそうな点を、紹介しなかった部分も含めて箇条書きにしてまとめてみたいと思 います。
なおそこに附した解説は、あくまでも中長期逆張り投資の観点から見た私個人の独善的、独断的な考えですので、異論は多々あると思いますが、ご容赦のほどお願い申し上げます。
1) 銘柄を限定する
対象の銘柄を減らせば減らすほど利益は上がりやすくなりますが、反対につまらなくなります。
面白さ、と言うのは皆さんの考えている以上に大切なポイントで、あまりつまらないと、いわゆるマンネリ状態に陥り緊張感がなくなり、嫌気がさしダレや飽きが感覚のゆがみを生み出しま す。
しかし、銘柄の限定は、成功へ向けての疑うかたなき第1条件であるのは論争の余地はありません。
戦争は、地形を知り尽くした場所での局地戦に如くものはありません。
ウォール街で最も喧伝されているあの格言、 ブル(牡牛)は、儲けることができる、ベア(熊)も、儲けることができる、ピッグ(豚)は、儲けることができない。(少しわかりやすく変えました)
は、実に多くの含蓄を含んだ格言ですが、その1つは、儲かりそうだと思えば、昨日は大型、今日ネガサ、明日は店頭はたまたマザーズ、と移りゆく、目を血走らせてwantedを追いかけるさすらいの賞金稼ぎを(せめてカッコ良くいってあげなければ)、皮肉っているものです。
ブルは強気、ベアは弱気の意ですが、ピッグは何にでもむしゃぼりつこうとする雑食性を意味しています。
ちなみに、古代中国には「能」という伝説上の動物がいて、その動物が極めて頭の良いところから能力や才能といった言葉が生まれたのですが、実在の動物としてはクマが最も似ているところから「熊」の字が生まれ、それがさらに発展して「龍」になりました。
つまりベアが最もクレバーなのです。
しかもベアは、何と冬眠までするんですから。
私の場合波乗り法をしているわけではないので、対象銘柄は、東証1部、貸借、有配当でかつ上場後10年以上経過している銘柄と、かなりゆるやかですが、実際の売買はほとんど中低 位、中小型銘柄に片寄っていますので、これも加えて良いのかもしれません。
2) 波動にあわせ、売りと買いの玉の操作をする
私は現在、数ヶ月単位の大きなゆるやかな上げ下げにあわせて、現金、国債、現物株、ツナギ売りの間で、機械的に資金の増減をしています。
以前はさらに空売りも加えていましたが、今はやっていません。
私のようなノミの心臓の持ち主には、少し刺激が強すぎ生活のリズムが壊れてしまいます。
なんて臆病者なんだと、自嘲するのですが、性格的にどうにもいけません。
ツナギ売りでさえも、あくまでも補助的な範囲にとどめているような小心者なのです。
なお、国債は(問題外の低金利のため)もう8年以上一切投資の対象にはなっていませんが、遠い将来はどうなるかわかりませんので、一応あげておきました。
ただし、週に1度くらいは10年国債の金利動向をチェックしておく必要はあると思います。
経済情勢は金利で動き、社会情勢は税金が動かすと私は考えています。(正に独断ですが)
3) 平均値を下げる買い方をする
相場の面白いところは、同じ1つの行為がその拠って立つ立場によって、可ともなれば不可ともなってしまうところにあります。
その代表が、ナンピン(難平)です。
初心者向けの本には8割方否定的なニュアンスを持って書かれていることが多いようです。
順張りの場合、株価の上昇を見こんで買ったわけですから、株価が下がった場合、自らの思惑に反したわけであり、ナンピンより損切りを優先すべきです。(これが言うに易く、行うに難し なんですよね)
しかし株と言うものは、必ずしも上昇を期待して買う人ばかりではないのです。
勿論、下がればいいとは思いませんが、上がるも良し、下がるもまた仕方なし、という、極め てニュートラルな立場で投資している人もいるのです。
「逆張りの場合、下がることは当初から予定されており、株価が下がることは別段思惑に反し たことではありませんので、ナンピンはむしろ必然の行動になります。 これを通常のナンピンと区別するために、普通、ナンピン買い下がりと呼びます。
私の場合、1--2--2の不等3分割を予定しており、最悪さらに2--3--3の3分割まで計画してはいますが、ここまで必要になったのは、過去10年間で2銘柄だけです
平均値を、絶対に上げてはいけません。
いわば、ピラミッド型の買い方が理想であり、平均値が上がっていく扇型の買い方はわれわれ逆張りを志す臆病者の熊の、最も不可とするところです。
これも順張りの方からすれば、逆に、何とけち臭い女々しいやり方よ、ということになり、最悪の方法になります。
しかし私は、損切りもできない、空売りもできない、女々しいのけ者でも何とかこの銀杏の道を歩いていくことはできないのか、と言う事で苦闘してきたのであり、そうした方々に向けて、この今にも消え入りそうなため息にも似た小文書き始めましたので、よろしく御許容の程、お願い致します。
もし、1買って上にいってしまったら、それはそれで、儲かるのですから正に大成功なのです。
もっと買っておけば良かった、などと思ってはいけません。 私が以前書いた「平然と儲け損なう勇気」が試されるのです。
(つづく)
歩く銀杏(7)からの続き
以上で基本型“その1”の大まかな紹介を終えます。
これは、あの鎖国と言う特殊な状況下にあっても、世界に先駆けて米相場の先物取引を考え出したり、絶妙なる陰陽足のケイ線を完成させた、いかにも日本人独特の職人技、名人芸に立脚する方法ともいえます。
この傾向の悪しき部分のみが肥大化して、今の私たちが世界でも類例のないほど一発必中 の「上がる銘柄探し」に奔走するようになってしまったのかもしれません。
一方海の向こうでは、やがてポートフォリオ理論としてノーベル経済学賞を受賞する思考法の原型が、心有る人々の間で、受け継がれつづけていました。
それは、あたかもテレビに映し出される野球の如く、投手と打者の1対1の駆け引きにのみ夢中になり、時には投手になって三振を狙い、そのすぐ後に突如打者に変身して今度はホームラ ンを望むと言った相場になれていた私たち日本人に、野球は9人でするゲームなのだと教えてくれるものでした。
これからその基本型“その2”をご紹介するわけですが、その前に、「波乗り法」の特徴のうち、 私たちに役立ちそうな点を、紹介しなかった部分も含めて箇条書きにしてまとめてみたいと思 います。
なおそこに附した解説は、あくまでも中長期逆張り投資の観点から見た私個人の独善的、独断的な考えですので、異論は多々あると思いますが、ご容赦のほどお願い申し上げます。
1) 銘柄を限定する
対象の銘柄を減らせば減らすほど利益は上がりやすくなりますが、反対につまらなくなります。
面白さ、と言うのは皆さんの考えている以上に大切なポイントで、あまりつまらないと、いわゆるマンネリ状態に陥り緊張感がなくなり、嫌気がさしダレや飽きが感覚のゆがみを生み出しま す。
しかし、銘柄の限定は、成功へ向けての疑うかたなき第1条件であるのは論争の余地はありません。
戦争は、地形を知り尽くした場所での局地戦に如くものはありません。
ウォール街で最も喧伝されているあの格言、 ブル(牡牛)は、儲けることができる、ベア(熊)も、儲けることができる、ピッグ(豚)は、儲けることができない。(少しわかりやすく変えました)
は、実に多くの含蓄を含んだ格言ですが、その1つは、儲かりそうだと思えば、昨日は大型、今日ネガサ、明日は店頭はたまたマザーズ、と移りゆく、目を血走らせてwantedを追いかけるさすらいの賞金稼ぎを(せめてカッコ良くいってあげなければ)、皮肉っているものです。
ブルは強気、ベアは弱気の意ですが、ピッグは何にでもむしゃぼりつこうとする雑食性を意味しています。
ちなみに、古代中国には「能」という伝説上の動物がいて、その動物が極めて頭の良いところから能力や才能といった言葉が生まれたのですが、実在の動物としてはクマが最も似ているところから「熊」の字が生まれ、それがさらに発展して「龍」になりました。
つまりベアが最もクレバーなのです。
しかもベアは、何と冬眠までするんですから。
私の場合波乗り法をしているわけではないので、対象銘柄は、東証1部、貸借、有配当でかつ上場後10年以上経過している銘柄と、かなりゆるやかですが、実際の売買はほとんど中低 位、中小型銘柄に片寄っていますので、これも加えて良いのかもしれません。
2) 波動にあわせ、売りと買いの玉の操作をする
私は現在、数ヶ月単位の大きなゆるやかな上げ下げにあわせて、現金、国債、現物株、ツナギ売りの間で、機械的に資金の増減をしています。
以前はさらに空売りも加えていましたが、今はやっていません。
私のようなノミの心臓の持ち主には、少し刺激が強すぎ生活のリズムが壊れてしまいます。
なんて臆病者なんだと、自嘲するのですが、性格的にどうにもいけません。
ツナギ売りでさえも、あくまでも補助的な範囲にとどめているような小心者なのです。
なお、国債は(問題外の低金利のため)もう8年以上一切投資の対象にはなっていませんが、遠い将来はどうなるかわかりませんので、一応あげておきました。
ただし、週に1度くらいは10年国債の金利動向をチェックしておく必要はあると思います。
経済情勢は金利で動き、社会情勢は税金が動かすと私は考えています。(正に独断ですが)
3) 平均値を下げる買い方をする
相場の面白いところは、同じ1つの行為がその拠って立つ立場によって、可ともなれば不可ともなってしまうところにあります。
その代表が、ナンピン(難平)です。
初心者向けの本には8割方否定的なニュアンスを持って書かれていることが多いようです。
順張りの場合、株価の上昇を見こんで買ったわけですから、株価が下がった場合、自らの思惑に反したわけであり、ナンピンより損切りを優先すべきです。(これが言うに易く、行うに難し なんですよね)
しかし株と言うものは、必ずしも上昇を期待して買う人ばかりではないのです。
勿論、下がればいいとは思いませんが、上がるも良し、下がるもまた仕方なし、という、極め てニュートラルな立場で投資している人もいるのです。
「逆張りの場合、下がることは当初から予定されており、株価が下がることは別段思惑に反し たことではありませんので、ナンピンはむしろ必然の行動になります。 これを通常のナンピンと区別するために、普通、ナンピン買い下がりと呼びます。
私の場合、1--2--2の不等3分割を予定しており、最悪さらに2--3--3の3分割まで計画してはいますが、ここまで必要になったのは、過去10年間で2銘柄だけです
平均値を、絶対に上げてはいけません。
いわば、ピラミッド型の買い方が理想であり、平均値が上がっていく扇型の買い方はわれわれ逆張りを志す臆病者の熊の、最も不可とするところです。
これも順張りの方からすれば、逆に、何とけち臭い女々しいやり方よ、ということになり、最悪の方法になります。
しかし私は、損切りもできない、空売りもできない、女々しいのけ者でも何とかこの銀杏の道を歩いていくことはできないのか、と言う事で苦闘してきたのであり、そうした方々に向けて、この今にも消え入りそうなため息にも似た小文書き始めましたので、よろしく御許容の程、お願い致します。
もし、1買って上にいってしまったら、それはそれで、儲かるのですから正に大成功なのです。
もっと買っておけば良かった、などと思ってはいけません。 私が以前書いた「平然と儲け損なう勇気」が試されるのです。
(つづく)