面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」

2010年02月11日 | 映画
雑誌「ミレニアム」の発行責任者であり、敏腕ジャーナリストとして名をはせるミカエル・ブルムクヴィスト(マイケル・ニクヴィスト)は、大物実業家ヴェンネルストレムの武器密売スキャンダルを暴いた記事を発表したが、逆に名誉毀損で訴えられて敗訴、禁固刑と損害賠償を命じられる。
責任をとって「ミレニアム」を離れ、失意のどん底にあるミカエルに、40年前の少女失踪事件の真相解明の依頼が舞い込む。
依頼主は大企業グループの重鎮ヘンリック・ヴァンゲルだった。
ヴァンゲル一族の住む孤島に渡り、調査を開始したミカエルは、徐々にヴァンゲル一族の“闇”へと足を踏み入れていく。
ある日、更に謎を解くヒントとなる貴重な情報が電子メールで送られてきた。
接触を試みたミカエルの前に現れたのは、優れた映像記憶能力を持つ天才ハッカー、リスベット・サランデル(ノオミ・ラパス)。
彼女の協力により、少女失踪事件の裏に潜む忌まわしい真実が明らかになっていく…

全世界40ヶ国以上で翻訳され、2100万部突破の大ベストセラー「ミレニアム」3部作の映画化第1段。
作家スティーグ・ラーソンによる脅威の処女作は、出版を前に彼が急死したことにより遺作となってしまったのだが、彗星の如く現われ、瞬く間に消えてしまったラーソン自身が、いまや伝説として語り継がれる存在となっている。

本作の特徴は、なんといってもヒロイン・リスベットの強烈なキャラクターにある。
革ジャンに鋲打ちベルト、鼻ピアスと全身タトゥーというパンクな出で立ちでバイクをかっ飛ばす姿は鮮烈。
背中一面にドラゴンの刺青をいれ、ニコリともせず無表情にパソコンを駆使し、天才的なハッキングの腕前と驚異的な映像記憶力で、あらゆる情報を収集し、謎を解き明かしていく様は、今までに無い新たなヒロイン像だ。
普段はまるで感情が無いかのように振舞う彼女は、幼い頃に常軌を逸する経験をしたトラウマを抱えていて、それがためか他人とのコミュニケーションがうまくとれない。
タッグを組んだミカエルに対して突発的に“接触”する彼女だが、それは愛情なのか単なる“本能的欲求”なのか、おそらくは本人も消化しきれないのだろう。
人間関係の構築は苦手な彼女だが、女性に対して悪意を持つ男は決して許さない。
スウェーデン語の原題は、「女を憎む男達」という意味だそうだが、女性を虐待する男に復讐を果たしていくリスベットは、イマドキなヒロインと言える。

ヒロインの際立つ強烈キャラと、映画「セブン」的な謎解きの面白さに引き込まれる佳作。
エンドロールが終わると同時に「特報」が流れ、次回作の予告が流れてびっくり!
いやしかし、次回も観に行こう!


ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
2009年/スウェーデン  監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
原作:スティーグ・ラーソン
出演:ノオミ・ラパス、マイケル・ニクヴィスト、スヴェン・バーティル・トープ、ステファン・サウク

訃報

2010年02月10日 | ニュースから
作家の立松和平さん死去 小説「遠雷」、環境保護活動も(共同通信) - goo ニュース


立松和平で思い浮かぶのは「遠雷」だが、原作を読んだのではなく、永島敏行と石田えり主演、ジョニー大倉も共演の映画が印象深い。
あとは「ニュースステーション」での海中からの中継か。
作家なのに、自分の中では著作以外の印象ばかりが残っているのは、いかに本を読んでいないかの証左。

62歳とは、今時まだまだ若いのに残念。
ご冥福を祈るばかり。

合掌


ぎ~んちゃ~ん by 結城哲也

2010年02月09日 | ニュースから
「金貸して欲しいなら風俗で働け」 売春させた疑い(朝日新聞) - goo ニュース


「ミナミの帝王」を地でいくような話。
金を貸した女性に対して万田銀次郎がよく言うセリフそのままの世界があるのだと、認識を新たにした。

…だからどうということもないのだが、これが相手が男だったら、
「腎臓売るかマグロ漁船に乗ってもらおか」
となっていたのだろうか?


「インビクタス/負けざる者たち」

2010年02月08日 | 映画
1995年のラグビー・ワールドカップ。
開催国である南アフリカ共和国が優勝したというニュースに、
「へぇ、南アフリカが優勝したんや、開催国やから頑張ったか」
とは思ったが、日本がニュージーランド代表のオールブラックスに記録的大敗を喫したことの方に気をとられていた。
(というより、日本チームのあまりの弱さに腹が立っていたのだが)
しかし、この南アの優勝には、とてつもない“舞台裏”があったことをこの映画に教えられた。

1994年、南アフリカ共和国初の黒人大統領に就任したネルソン・マンデラ。
彼は、反アパルトヘイト運動の活動家として、国家に対する反逆罪で終身刑を受け、27年間にわたり獄中生活を送ってきた。
しかし、アパルトヘイトによって国際社会からの孤立を深めていた南アは、1980年代には経済的に行き詰まり、徐々に政策による規制を緩和、マンデラも1990年に釈放される。
時のデクラーク大統領と共にアパルトヘイトの廃止へと国を導いたマンデラは、1994年に行われた全人種による初の総選挙の結果、囚人から大統領へと登りつめたのである。

大統領就任初日。
官邸に入ったマンデラは、執務室へ向かうまでの間、職員たちの行動に違和感を感じた。
共に官邸入りした秘書から、白人の職員たちが、黒人大統領の誕生によって自分たちは解任されると考え、荷物をまとめていると聞かされた彼は、即座に全職員を招集した。
そして、「自分が大統領になったことで職を解かれると想定して出て行こうとしているのなら残ってほしい」と思いを伝え、この国の未来に向かって一緒に進んでいこうと呼びかけるのだった。

また、大統領の身辺警護にあたるSPは、新たに黒人メンバーで構成されていたが、人員不足が明らかになると、マンデラは前政権における公安スタッフを補充人員として招集した。
白人がメンバーに加わることは危険だと、SPのリーダーはマンデラに対して異を唱える。
彼の心配は当然で、黒人達は白人政府から様々な迫害を受けてきた。
中でも公安からは、反政府的な行動として黒人達の政治活動は目を付けられ、しかもマンデラ自身が政治犯として長期間投獄されていたのだ。
黒人政権が誕生したことで、今度は自分達が報復として迫害を受けることになると白人達が考え、その中心人物であるマンデラを亡き者にしようとするのではないかと、SP達は心配したのだ。
しかし、リーダーに向かってマンデラは言う。

「“赦し”こそが、恐れを取り除く最強の武器だ。」

南アフリカで実施されてきたアパルトヘイトとは、全人口の16%程度の白人が、残り84%の有色人種を、人種に基づいて差別してきたものであり、国連においても「人類に対する犯罪」とまで言われた政策だ。
特にアフリカ人に対しては厳しく、居住区域が制限されただけでなく、白人地域での移動や住居も制限を受け、職場では白人が保護され、教育も人種別に施されるなど、日常生活から政治・経済など社会のあらゆる分野にわたって法制化され、強化されてきた歴史がある。
マンデラも、生まれたときから黒人であることだけを理由に差別を受け、長じては反アパルトヘイト活動の中心人物として反逆罪の罪を着せられて刑務所に収容され、27年もの間狭い独房に押し込められている。
人生のほとんどを、白人社会からの抑圧のもとに生きてきたと言っても過言ではない。
しかし、それでもなお彼は、全てを赦そうとした。
そしてその意思を、まずは身の周りのスタッフ全員に徹底して浸透させると同時に、勇み立つ黒人達に向かって説いていく。

マンデラはある日、ラグビー南ア代表チーム・スプリングボクスの試合を観戦する。
熱狂的に応援する白人に対して、黒人の観客は、あろうことか相手チームが得点すると歓声をあげる。
ラグビーは白人達が愛好するスポーツであり、黒人にとってはアパルトヘイトの象徴だったのだが、その状況をマンデラは憂慮した。
そしてメンバーのほとんどを黒人が占めた国家スポーツ評議会で、ラグビー代表チームに対して、チームの愛称やエンブレム、ユニフォームなど全て変更すると決したことを聞いたマンデラは、即座に評議会へと乗り込み、チーム一新の決議を否定して会場に集まった人々に訴える。
「今は姑息な復讐に走るときではない。」

その後マンデラは、1年後に自国で開催されるラグビー・ワールドカップに向け、スプリングボクスを国民が人種を超えてひとつになるための象徴とすることを決める。
そしてチームの主将であるフランソワ・ピナールを官邸の執務室での“お茶”に誘い、新しい南アを作るために力を貸してほしいことを伝え、更には優勝を目指すことを示唆する。
大統領の人柄に触れて感銘を覚え、その意を汲んだピナールは、国民をひとつにまとめるという大義を背負い、ワールドカップに向けてチーム強化に尽力する。

黒人達の暴走を抑えると同時に、迫害を恐れていた白人達を安心させたその手腕は、単なる政治手法ではなく、マンデラの人間性に拠るものだろう。
官邸スタッフひとりひとりに常に声をかける細やかな気配り。
スプリングボクスのメンバー全員の顔と名前を覚え、ひとりひとり握手を交わしつつ、名前を呼びながらの激励。
随所に描かれる彼の心の広さ、温かさが、アパルトヘイト廃止直後の新たに生まれ変わった南アフリカを、混乱から防いだのではないだろうか。

「“赦し”こそが、恐れを取り除く最強の武器だ。」
始まってまだ数分しか経たないうちに出たこのセリフに、マンデラの大きな器に触れて琴線ををわしづかみにされた自分は、それから後、上映時間のほとんどを落涙との闘いに費やすハメに陥った。

「ミリオンダラー・ベイビー」や硫黄島シリーズ、「チェンジリング」と、いつも深く心に染みる作品を見せてくれるクリント・イーストウッド監督。
これまでは、深々と雪が降り積もるように心に響いてきたが、本作は、ラグビーというスポーツを扱っていることとマンデラ大統領の温かな人柄とが相まって、春の陽気のように心が温まる作品に仕上がっている。

ただ感動という言葉だけでは言い尽くせない、心が震える逸品。


インビクタス/負けざる者たち
2009年/アメリカ  監督・製作:クリント・イーストウッド
原作:ジョン・カーリン
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、トニー・キゴロギ、パトリック・モフォケン、マット・スターン

「フラガール」

2010年02月07日 | 映画
石炭から石油へとエネルギー需要の中心が移行していく中、福島県いわき市の炭鉱会社は、地元の温泉を活かしたレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」の計画を進めていた。
その目玉にフラダンスショーを据え、本場のハワイでフラダンスを学び、松竹歌劇団で踊っていたという平山まどか(松雪泰子)を東京から招き、地元の娘たちを集めてフラダンスの特訓を始める。
しかし、数世代にわたって“ヤマ”で生きてきた住民達は、炭鉱を閉山して“ハワイ”を作る計画に大反対、まどかや娘たちへの風当たりも強く…

親の代から、落盤事故の危険と隣り合わせの過酷な環境の、暗い炭鉱の穴の中で、コツコツ一生懸命に石炭を掘ることが自分たちの仕事だと信じて生きてきた“ヤマ”の人々にとって、レジャー施設に活路を見出すという発想など、出て来ようはずがない。
ましてや、自分の娘や、あるいは自分自身が、フラダンスを人に見せることを仕事にするなど、夢にも思わなかったことだろう。
しかし、斜陽産業となっていた石炭採掘に頼る町は明らかに活気を失い、落ちぶれていく様子を目の当たりにしている“ヤマ”の娘たちは、自分たちの力で、町にもう一度活力を呼び戻そうと立ち上がる。
“ヤマ”に頼りきって生きてきた旧世代の人々は、“ヤマ”以外から生活の糧を得ることに対して思考停止に陥っているが、自分たちの時代を築いていかなければならない新世代は、「常磐ハワイアンセンター」を受け入れる柔軟性を持っていたと言える。

“ヤマ”を中心とした生活しか経験の無い娘たちにとって、フラダンスは正に未知の世界だったに違いない。
しかし、そんな彼女達の心を動かした平山まどかのダンスは、きっと素晴らしかったことだろう。
そんな平山まどかのダンスを再現してみせたかのような、情感溢れる松雪泰子のダンスは見事。
また、猛特訓に励んだ「ヤマの娘」たちのフラダンスシーンは圧巻。
中でも、クライマックスとなる蒼井優のダンスは素晴らしい!

言わずと知れた(?)2006年の大ヒット作品。
こりゃ、ヒットするわ。
当時、劇場で観損ねてしまってそのままだったのだが、週末にテレビで放映されていてようやく観ることができた。
常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)の誕生秘話を映画化したものだが、「プロジェクトX」に“豪華俳優陣”を配し、楽しいドラマ仕立てにしたような、観ていて元気になる秀作。


「フラガール」
2006年/日本  監督:李相日
出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子

はるかなおぜ…

2010年02月06日 | 野球
球界に大きな衝撃…オリ・小瀬外野手が自殺か(サンケイスポーツ) - goo ニュース


金曜の夜、テレビのニュースを見て驚いた。
転落死か自殺か?
思わず今日、いつも買う大阪スポーツの他に、喫茶店に行けば必ず読むニッカンスポーツも買った。
転落死の原因も、自殺の理由も、何も分からない。

関係者によると、大学時代から精神的に弱い一面があり、最近はプライベートでも問題を抱えていたとかなんとか。
年末に結婚したばかりだと言うのに、そのことに起因する何か問題を抱えていたのだろうか。

真相は闇の中であるが、昨シーズン度々スポーツニュースで活躍の様子を見ていただけに、惜しい人材が逝ってしまったのが残念無念…

合掌

無水式トイレ

2010年02月05日 | よもやま
最近、用を足した後に水が流れないタイプのトイレがある。
(あくまで男性用の“小”のトイレの話です)
しかしあの便器。
ゴミが便器内に落ちているのだろう、詰まってたり、はたまた体毛が落ちて流れてなかったり、あまり快適には使えないことが多い。
特に利用者の多い駅の夜は、トイレ内に入るのもはばかられるような汚れ方をしていたりする。

環境には優しいのだろうが、人にはあまり優しくない…

ドルゴルスレン・ダグワドルジ引退

2010年02月04日 | ニュースから
朝青龍が引退、暴行問題は明言避ける(読売新聞) - goo ニュース


帰宅してテレビのニュースを見て驚いた!
とうとう朝青龍が辞めたという。
前日の安治川親方の例もあるので、明日になったら撤回してる、てなことはないのだろうか?

てなことがないのであれば、もうちょっとうまいこと立ち回ればよかったものを、と思ってしまう。
そもそもモンゴル人なのだから、横綱という地位についたからと言って、日本人と同じ精神性を持てというのは難しいのは分かっていたこと。
それが、あそこまで傍若無人な振る舞いが止まらないというのは、やはり日本における親とも言える親方の教育(と言うより躾か)がなってなかったということだろう。

これでもしかすると、白鵬の引退も早まるかもしれない。


がんばってください。

2010年02月03日 | 野球
今岡、ロッテ入団決定=背番号2、「感謝に尽きる」-プロ野球(時事通信) - goo ニュース


ロッテが今岡を採用したという。
背番号も「2」とは、期待が表れている。
まあ、もとバレンタイン監督の背番号だけに、ロッテの生え抜き選手には付けにくいということもあろうが。

テレビのニュースでも感謝を訴えていたが、本当にそう感じるなら、ホンマにがんばってもらいたい。
ぜひレギュラーを勝ち取って、両リーグ首位打者か打点王を獲得してもらいたいもの。
そうすれば、ロッテも優勝できるだろう。
タイガースでは、彼がタイトルを獲れば優勝だったのだから。


「サロゲート」

2010年02月02日 | 映画
近未来。
人類の98%は、「サロゲート」と呼ばれるロボットに日常生活を代行させていた。
街中を歩いている美男美女は、実は人間ではなく全て「サロゲート」。
人々は自宅で、「サロゲート」と“リンクをはる”ための通信装置に身を委ねたまま、代理ロボットを通じて世の中と関わっているのだった。

ある夜、クラブの前で青年と若い女性が殺された。
と言っても二人は「サロゲート」で、どちらも眼球を破壊され、後頭部に埋め込まれているIDチップも黒こげになっていた。
FBI捜査官のグリアー(ブルース・ウィリス)とピータース(ラダ・ミッチェル)は、女性の「サロゲート」の持ち主を訪ねると、そこには太った男が目から血を流し死んでいた。
「サロゲート」の破壊によって持ち主まで死んでしまうという、安全神話を覆す、ありえない事件が発生したのだった…

「サロゲート」の持ち主は、自らが事故や犯罪に遭う心配はなく、また危険な仕事や汚い不潔な作業などは「サロゲート」にさせればよい。
しかも「サロゲート」は、何も自分自身をそのままモデルにする必要はないのだから、必然的に街中には美男美女が溢れる。
「サロゲート」を通した生活を謳歌する人類。
その世界は正にユートピア♪
…のはずだったが、「サロゲート」を介した殺人事件が勃発し、一気にその理想が崩れていく。

しかしそもそも、「サロゲート」なる代行ロボットを介した生活が、本当に理想的な生活なのか?
もともと「サロゲート」は、身体に障害を持った人々が、健常者として生活できるようにとの意図で開発されたもの。
それが、戦場で兵士の代わりに戦う武器となって量産され、改良が加えられて日常生活で用いられるものとなっていく。
人間が本来持っている“ズボラな心”と“虚栄心”をくすぐり、瞬く間に全世界へと普及したのだろうが、生活の全てを委ねてしまったとき、果たしてそれは“生きている”と言えるのだろうか?

「ネトゲ廃人」なる本が話題になったりしているが、バーチャルな世界でしか生活できない人間が増えている昨今に一石を投じ、警鐘を鳴らすSF活劇。
ツルンとした肌に、フサフサした金髪のブルース・ウィリスの姿は一見の価値アリ♪


サロゲート
2009年/アメリカ  監督:ジョナサン・モストウ
出演:ブルース・ウィリス、ラダ・ミッチェル、ロザムンド・パイク、ジェームズ・クロムウェル