面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「恋とニュースのつくり方」

2011年02月26日 | 映画
地方テレビ局の番組プロデューザー・ベッキー(レイチェル・マクアダムス)は、朝の情報番組を担当して奮闘していたある日、いきなり局のリストラに遭い、クビを宣告されてしまう。
突然のことに落ち込んで母親に愚痴るも、「もう夢を追いかけるのはやめなさい」と引導を渡すような言葉を投げかけられて、更にガックリ。

しかし、落ち込んでなんかいられない!
片っ端から放送局に売り込みをかけまくっていると、ある日ニューヨークの局から面接に招かれる。
憧れの“大都会”からのオファーに喜び勇んで駆けつけたベッキーだったが、気合いが入りすぎて空回り。
面談相手のジェリー(ジェフ・ゴールドブラム)には呆れたような顔をされ、失意に打ちひしがれながら局を後にすると携帯が鳴る。
電話の内容は、採用!

晴れて局に出社してきたベッキーに託された番組は、超低視聴率でお荷物番組扱いされている朝の情報番組「デイブレイク」。
しかし、夢に見たニューヨークでの仕事に大張り切りの彼女は、持ち前の元気と負けん気を武器にスタッフミーティングに乗り込み、テキパキとした仕事ぶりを見せつけてスタッフに一目置かせることに成功。
その勢いのまま、番組建て直しのためにメインキャスターの交代を図った彼女は、自分がテレビ業界を目指すきっかけとなった憧れのキャスター、マイク・ポメロイ(ハリソン・フォード)に白羽の矢を立てる。
彼は過去に、ピューリッツァー賞やエミー賞を始め、数々の栄誉ある賞に輝いたことのある伝説の報道キャスターだったが、局側と衝突して報道番組を降板していた。
報道一筋のうえに偏屈で通っている彼が、朝の情報番組のキャスターなど引き受けるわけがないと誰もが思っていたところを、局とマイクの契約書を利用して抜擢に成功する。

これをきっかけに局内で一目置かれたベッキーに、局内の女性社員の憧れの的となっているプロデューサー、アダム(パトリック・ウィルソン)がデートの誘いをかけてきた。
恋に仕事に新たなスタートを切ったベッキーの前途は洋々!
…に思えたのだが、プライドの高いマイクは、番組内で数少ないニュース報道以外の仕事は拒否し、パートナーのキャスター、コリーン(ダイアン・キートン)との掛け合いも無視して笑顔さえも見せず、番組の雰囲気は最悪。
しかもスクープも他局に抜かれ、視聴率は下がる一方。
ついにベッキーは、上司のジェリーから、6週間以内に視聴率を上げなければ番組を打ち切ると宣告されてしまう。

アダムと一緒にいても番組のことで頭が一杯になってしまうベッキーに、二人の関係は危うい状況に陥ってきた。
次々襲いかかるトラブルと強烈なプレッシャーの中、ついに彼女はブチ切れて…


ベッキーの明るく元気でパワフルな仕事ぶりが、まずどんよりと澱んだ空気に包まれていたスタッフの間に風を起こし、“お局”と化していたコリーンを動かしていくプロセスをコミカルに描き、彼女を応援しながらこちらも楽しい気分にさせられていく。
このあたりは、さすが「プラダを着た悪魔」の脚本家と「ノッティングヒルの恋人」の監督とのタッグならでは。

一方、軽快に動き回るベッキーとは対照的に、番組の中心にドーンと腰をすえて“不動”のロートル・キャスター二人が、ノロノロとしたリズムを創りだして物語に妙味を加えている。
ハリソン・フォードとダイアン・キートンの大御所二人による絶妙の掛け合いが、シニカルな笑いを巻き起こして実に愉快。
そして、ベッキーの若いだけではない強烈なパワーと爆発力に、まずはコリーンが触発されて動きだす。
こうなれば、自ずと番組も大きく動き始めるもの。
ほぼ成功は約束されたといっていい。

主人公ベッキーが携わっている仕事はテレビプロデューサーであるが、そんな特定の職業に関わらず、「仕事をする」ということの本質がうまく描かれている。
仕事を進めるうえで直面する様々な苦労や葛藤、強い気持ちで成功を目指して突っ走っていく先に待っている喜びの大きさなど、特に社会人には共感を持って受け入れられるに違いない。
「思い」があれば人は動くというような単純なものではなく、「思い」を原動力に自分自身が動けば、周りも自ずと動き出すもの。
「仕事とは」、あるいは「働くとは、どういうことか」をシンプルに示し、社会人にはエネルギーを、学生には就活のベースとなる心構えを与えてくれるヒロインの活躍がgood!

「がんばる女性が、がんばれない時こそ応援する、ハッピー・ムービー!」という宣伝文句が実にピッタリの快作。


恋とニュースのつくり方
2010年/アメリカ  監督:ロジャー・ミッチェル
出演:レイチェル・マクアダムス、ハリソン・フォード、ダイアン・キートン、パトリック・ウィルソン、ジェフ・ゴールドブラム


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