面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「この愛のために撃て」

2011年08月23日 | 映画
パリ市内の病院に勤務する看護師助手のサミュエル(ジル・ルルーシュ)は、妊娠中の妻ナディア(エレナ・アナヤ)と二人、愛情に満ちた平和な毎日を過ごしながら、間近に迫った我が子の誕生を心待ちにしていた。
ある日、彼が勤める病院に交通事故で意識不明の重体となった男が運び込まれてくる。
夜勤のサミュエルが患者の運び込まれた病室に向かうと、見かけない白衣の男が立ち去る。
患者のもとに駆けつけると、医療器具が取り外されて危険な状態に陥っていたが、サミュエルの懸命の看護によって一命をとりとめる。

翌日、帰宅したサミュエルは、謎の侵入者に襲われて頭部を殴られ、気を失ってしまう。
携帯電話の音で目覚めると、電話の向こうから妻の泣き声とともに男の声がした。
「今から3時間以内に、お前が勤める病院から警察の監視下にある男を連れ出せ。さもなければ妻を殺す。」
昨夜、交通事故により重体を負って病院に運ばれ、サミュエルが看護した男は、指名手配中の強盗殺人犯サルテ(ロシュディ・ゼム)で、その仲間からの要求だったのだ。

誘拐犯の要求を呑むしかないサミュエル。
決死の覚悟でサルテを連れ出すのだが、妻との交換が叶わないまま謎の男たちに追われて逃走、気がつけば警官殺しの罪を着せられて、自分も指名手配されていた…


ごくフツウの看護師助手が、ある日突然事件に巻き込まれ、命をかけて戦うハメに陥る。
観客は、あれよあれよという間に映画の世界に引きずり込まれ、グイグイ引っ張られていく。
パリの中心街を舞台に繰り広げられる追跡劇のテンポとスピードは圧巻!
序盤から息もつかせぬスリリングな緊張感の連続で、最後までスクリーンから目が離せない。

映画の中盤、事件の真相が明らかとなったところで物語は大きくうねり、極悪非道の犯罪人であるはずのサルテが、サミュエルに力を貸すことになるのだが、この転換が実に愉快痛快!
逃亡と追跡によるスリルだけでなく、臨月の妻のお腹は大丈夫なのか!?という一風変わったハラハラ感も味わえる、サスペンス・アクションの快作!


この愛のために撃て
2010年/フランス  監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ジル・ルルーシュ、エレナ・アナヤ、ロシュディ・ゼム、ジェラール・ランヴァン、ミレーユ・ペリエ