面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「怪談」

2007年09月02日 | 映画
これは「恋愛映画」である。

しかし、ただのラブストーリーではない。
強烈な愛に内包される凄まじいまでの“念”が、肉体が滅んでもなお現世に残りつづける恐怖を描いた、深すぎる愛の物語なのである。
それゆえ、ラストシーンでおどろおどろしく新吉(尾上菊之助)を抱きしめる豊志賀(黒木瞳)の姿は切なすぎて、恐怖よりも哀れさが先に立ち、涙がこぼれそうになる。

因縁や人間の“業(ごう)”の恐ろしさを描き、情念の世界が展開する三遊亭円朝原作の怪談の一つである「真景累ヶ淵」を、Jホラーの旗手・中田秀夫がどのように“料理”するのかも興味深かった。
煙草屋から豊志賀の屋敷へ戻ろうとする駕籠の中や、新吉とお久(井上真央)が橋の下から見上げたときの演出は、ハリウッド的ホラー映画の基本パターンを踏襲した、思わず“飛び上がる”恐さがあって面白い。
しかしながら、「私はいつもお前を見ているんだよ…」的な、“豊志賀視点”の天井から新吉を眺める演出は興醒めであった。
また、伝統的な日本建築の持つ“暗さ”を効果的に使えば、より和風ホラーとしての“怪談”色が引き立ったのに…という物足りなさも感じた。
(この点については、やはり山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」は秀逸である)

とはいえ、後になればなるほど、夜が更ければ更けていくほど、映画のワンシーンを、いや黒木瞳の顔を思い出すほどに恐怖心がこみ上げてくるのだ。
後を引く恐怖を覚える映画も、そうそうあるものではない。
やはり中田監督はただ者ではないということか。
ハリウッドが高く評価するのもムリは無い。

そして、観る者の脳裏に恐怖を植え込む黒木瞳も、やはりタダ者ではない…


怪談
監督:中田秀夫
原作:三遊亭円朝
出演:尾上菊之助、黒木瞳、井上真央、麻生久美子、木村多江

広島の宝

2007年09月02日 | 野球
広島カープ前田外野手が、史上36人目の2千本安打を達成した。
ケガさえなければ3千本安打も狙えたはず(私見)の非凡な打撃センスを持ちながら、度重なる足のケガに泣かされてきた。
何度も選手生活のピンチに立ちながら、挫けず諦めず、ストイックなまでに自身を鍛えてここまで頑張ってきた彼の努力に敬意を表したい。

「こんな選手を応援していただいて、ありがとうございます!」
万感の思いを込めたインタビューには、多くのカープファンが涙したことだろう。

FA移籍などクソくらえ!
タイガースファンの自分が言うのもなんだが、侍・前田は、黒田と共に広島カープの宝である。
これからも広島一筋に、ファンと共に歩んでほしい。