面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

最後の雄姿

2013年11月03日 | 野球
里田まい泣いた…マー君楽天最後まで声援(日刊スポーツ) - goo ニュース


東京のウサギ小屋で王手をかけて仙台に凱旋してきた楽天。
今季無敗の大エース田中を押し立てて、イッキに日本一を狙いにいったが、よもやの敗戦。
楽天が2点先制したのをスマホでチェックした時には、楽天の日本一は決定的だと思ったが、しばらくしてチェックすると負けていた!
まあ、野球に“絶対”は無いし、田中も野球漫画のヒーローではないので、必ず勝つワケではなく。
「ドカベン」の里中も弁慶高校に破れたのだから。
(…何人が分かる話だろう)
「神の子」扱いを受け続けてきた田中も、やはり「人の子」だったということに過ぎない。
天皇も「神」ではあり続けることはなかったのだから当たり前。
(“その筋”から「不敬罪」で怒られそうだが)
相棒の嶋がステキなコメントを残している。
「中5日で160球も投げた投手に文句を言う人はいない。彼一人に背負わせちゃいけない。明日勝てば、救われる。」
震災後に復活したシーズン最初の試合、見事なスピーチで観客の心を震わせた嶋らしい、胸を打つコメントだ。

5回表に3点取られて逆転され、更に6回にも追加点を取られた田中は、8回が終わったところで141球を投げていたという。
星野監督は「代われ」と言ったが、本人は最後までいきたいと言ったとか。
最後の打者・高橋由伸を空振り三振に仕留めたときの球速は152km/h。
160球目にしてこのスピードが出ることこそ、田中の田中たる所以。
「魂の投球」の真骨頂である野球

さて、いわゆる「無敗神話」は途絶えた田中だが、シリーズ終了後も、大いなる注目を浴びることになるのは必定。
なんとなれば、大リーグ移籍ありやなきや、である。
昨シーズンオフ、制度見直しのために一旦失効しているポスティングシステムだが、このオフには新制度によって復活の見込みとの記事が朝刊には掲載されている。
そうなればもちろん、最大の目玉は田中の入札。
星野監督も了承済み。
三木谷オーナーも、莫大な入札金が手に入るのだから、ホクホク顔が目に浮かぶというもの。
そして何より、更なる高みを目指す田中の心次第。
日本シリーズは敗れたとはいえ、シーズン無敗で生きた伝説となっている今、大リーグに挑戦したい思いが高まっていることだろう。
プロ入り最多となるという160球を投げて完投した昨夜。
仙台のファンへの“最後のご挨拶”の意味もあったに違いない。
ファンの盛り上がりを考えると、最後のバッターを空振り三振に切ってとれたのは良かったという田中のコメントに、その思いが込められていると考えるのは、うがち過ぎではあるまい。

ライトスタンドから田中の背中を見ていた最終回。
その気迫に飲み込まれるひ弱なタイガース打線。
この日投げ合った藤浪には、この日の田中の姿を忘れずに、大エースへと登りつめてほしいもの。
高校生として伝説を作った甲子園のマウンドで、今度はプロ野球選手として伝説を作ってもらいたい。
村山以来二人目の、「ミスタータイガース」になれる素材なのだから。

王手

2013年11月01日 | 野球
楽天、延長戦制し日本一へ王手!銀次が勝ち越しタイムリー(サンケイスポーツ) - goo ニュース


ウサギ小屋で2勝をあげた楽天。
通算3勝2敗として、いよいよ日本一にあと1勝と迫って地元へ凱旋となった。

これまで日本シリーズに出場するものの勝ったことのない星野監督。
いよいよ“日本一監督”の称号を獲得できるか!?
その決めのマウンドを任されるのは、無敵の田中将大(のはず)。
今季無敗を誇る大エースが、そのまま無敗を続けることができれば、そのまま星野監督に初めての日本一を贈ることができるのだが、果たして野球漫画の大家・水島新司でも描かないような展開が繰り広げられるだろうか。

期待ふくらむ杜の都。

日本シリーズたけなわ

2013年10月30日 | 野球
楽天快勝、2勝1敗に=美馬が好投―プロ野球日本シリーズ(時事通信) - goo ニュース



帰宅したら楽天が日本シリーズ2勝目をあげていた。
早々に4点リードをとった楽天が、美馬の好投もあってそのまま逃げ切ったという展開のようで。
仙台でも楽天の打線は讀賣よりもヒットは打てていたが、狭く、ホームランが出やすい東京ドームに来て、更に打撃陣が調子づいてきたのなら面白い。

楽天先発の美馬は、クライマックスシリーズでプロ入り初となる完封勝利をあげたのに続き、この試合も讀賣打線をよせつけない好投を見せた。
強烈な打球を身体に受けて降板することになってしまった不運に見舞われたが、あれがなければまた完封していたかもしれない。
シーズン中よりもポストシーズンに入ってからの方が絶好調に見えるが、単なる体調などのピークが今来ているからなのか、それとも何かコツのようなものをつかんでの好投なのか、そこは素人目には分からない。
このシリーズも最後までもつれればまた投げることもあるかもしれないが、来季の成長も楽しみだ。

明日の先発投手は、今季大して活躍した印象の無いホールトンと、東京ドームのマウンドに慣れないであろうラズナーという両外国人投手。
今シリーズ初の大打撃戦になるかも!?

楽天パ制覇

2013年10月22日 | 野球
楽天・星野監督 喜び&決意の一問一答…「幸せな男だな、僕は」(デイリースポーツ) - goo ニュース


楽天がCSをしっかり勝ちぬき、パ・リーグ制覇を決めた。
3点リードで迎えた最終回は、またしても田中がリリーフに立つという“ご褒美登板”が、いかにも星野監督らしい。
テレビニュースを見ていると、さすがの田中も気合が入り過ぎたか二死を取ったところから連続ヒットを許していたものの、そこからはいつもの“ギアチェンジ”が見事に決まってゲームセット。
お約束どおり胴上げ投手の栄誉を得た。
年間通して24勝0敗1Sという凄まじい成績を残した大エースなのだから、これくらいはあってしかるべしだろう。

この土曜日からはいよいよ日本シリーズ。
初出場となる楽天を迎え撃つは連覇を狙う讀賣。
しかし今シリーズが何よりも感慨深いのは、原監督と星野監督の対決であること。
今を去ること10年前。
2003年の秋、優勝を決めたタイガース監督の星野さんと、ナベツネから「讀賣の社内異動」などとワケの分からない言い渡しと共に解任された原が、甲子園での試合で別れの挨拶を交わしたシーンは、今も鮮明に覚えている。
そして「帰ってこい」とエールを送った星野監督に、思わず原監督が涙を流していたのには、讀賣の監督ではあるが感動的であった。
(ナベツネに対する怒りの方が勝ったということでもあったが)
渡辺美里の歌ではないが、あれから10年。
互いにリーグ覇者として相まみえることになろうとは、両監督共に思うところがあるのではないだろうか。
“師弟対決”的な面白さが興味深い。

これで日本シリーズは順当に両リーグの年間1位チームの対決となったが、曲がり間違えばカープvsマリーンズだったかもしれず。
CSという狂った制度の是非を問うためにもカープには勝ち上がってほしかったが、やはり最後は讀賣の地力の前に歯が立たなかったのは残念。
せっかく球団創設初優勝だったにも関わらず、CSにめっぽう強いマリーンズに飲み込まれれば、これまたCS制度の是非を問う声が高まったであろうが、こちらも無事に楽天が押し切って事なきを得たところあり。
またもCSの是非がうやむやになるのだろうが、報道各社には冷静にこの是非を問うてもらいたいもの…

本塁打日本新記録

2013年09月16日 | 野球
【バレンティン一問一答】鳥肌立った日本新「王さんは本当に尊敬できる、偉大なホームランバッター」(デイリースポーツ) - goo ニュース


1985年、史上最強の助っ人と呼ばれたタイガースのランディ・バースが、残り3試合で54本のホームランを打っていた。
しかしそのうちの2試合が讀賣。
結局、讀賣戦では6四球とまともに勝負されず、55本の日本記録に並ぶこともできなかった。
あれから28年。

既に日本記録の55本を放っているバレンティンと対戦することとなったタイガース。
14日(土)の試合では若きエース藤浪が堂々勝負に出て、ヒットは許したものの、その他の2打席は三振とサードフライに打ち取る天晴れなピッチングを見せた。
第4打席で対戦したリリーフの渡辺は、得点圏にランナーを置いて1塁が空いたた状態でバレンティンを迎えたことから、敬遠に近い四球を出して勝負を避けた。
タイガースファンの中からも「勝負せんかー!」と渡辺や和田監督を非難する声が上がったが、試合の勝利を考えるなら当然の策。
追加点を許すことなく後続を断ちきったのだから、この敬遠策は成功。
打線が不発で逆転することがなかったために采配を悪く言われるなら言語道断だ。

そして迎えた15日(日)。
先発の榎田まバレンティンに対して真っ向勝負を挑んだが、ものの見事に捉えられてスタンドへと運ばれてしまった。
これでついに、年間56本塁打という日本新記録が生まれた。
気を良くしたバレンティンに、次の打席でも一発くらってしまったのは本当に余分なことだったが、何はともあれ堂々たる勝負に出て敗れたことは仕方ない。
そんなことよりも、正々堂々勝負に出たことが大事なのである。

かつて、日本記録に王手をかけたバースが、讀賣から露骨に勝負を避けられた苦い経験のあるタイガース。
あの悔しさ、やるせなさを知る我々古くからの虎ファンとしては、同じ思いをスワローズファンにさせるワケにはいかない。
だからこそ、タイガース投手陣には皆、正々堂々と立ち向かうことを望んでいた。
その結果として、一発を許さなかった藤浪は天晴れだったし、被弾した榎田には、二発目の反省を促しつつ労いたい。

見事に記録を打ち立てたバレンティンには祝福を送ると共に、60発の大台をを期待したい!

明らかな誤審に対する善後策について

2013年08月24日 | 野球
阪神 和田監督退場で一時選手、コーチ引き揚げる(サンケイスポーツ) - goo ニュース


スポーツニュースで見たが、確実にライトフェンスにバウンドした打球を平田が捕っている。
明らかな誤審だったが、一塁塁審からあれを判別せよというのはかなり酷な話かもしれないとは思う。
昔のように両翼の線審を復活させてはどうか?

そもそも、なぜ線審を置かなくなったのか、明確な説明がNPBからあったという記憶がないが、「統一球事件」と同根だとすれば根は深い。
確か人件費削減から、というような話を何かで読んだか聞いたようには記憶している。
線審を置かずにビデオの判定に頼る(今回のケースではビデオ判定にはならないが)というのは本末転倒な気がするのは自分だけだろうか。

久方ぶりの奪首

2013年06月02日 | 野球
G今季ワースト5連敗で首位陥落…内海3失点で2敗目(サンケイスポーツ) - goo ニュース


日曜日の試合とて、タイガースの先発は藤浪。
高卒ルーキーにして、早くもエースの風格さえ漂わせる投球スタイルは今日も健在。
とにかくランナーが得点圏に達したときの粘りは凄まじい。
2回裏に先頭打者から連打をくらって無死1、2塁のピンチを招くも、強打のラヘア、柳田、巧打の今宮の3人を三者連続に切って取る圧巻のピッチング。
3回裏も同じくピンチを招きながら、セ・パ両リーグ首位打者の内川を追い込んでから空振りをとり、見事な三振ゲッツーを決めた。
クソ度胸が据わっているというか、なんというか。
彼を凌ぐ強心臓の先輩投手が、果たしてタイガースに何人いることだろうか?
残念ながらその後のピンチで失点し、投球数が100球を超えたところで助っ人にやられて2点目を喫して降板したが、6回途中までで2失点とキチンと“試合を作った”天晴なピッチング。
そして降板直後の7回表、ようやくホークス先発パディーノをとらえた打線が逆転。
藤浪に勝ち星はつかなかったものの、チームは逆転勝ちをおさめることができ、更にはライオンズに破れた讀賣と入れ替わって首位に立つこととなった!

先に失点して降板しながら負けがつかない運の強さは相変わらずだが、チームに勝ち運を呼び込むことができるパワーを持っているのがいい。
藤浪は、タイガースにとって待望久しい、いわゆる“持ってる”選手だ。
正に彼がいたからこその“奪首”と言っても過言ではあるまい!

「対決」

2013年05月27日 | 野球
虎・藤浪4勝目!大谷との対戦は「本塁打にならなくて良かった」(サンケイスポーツ) - goo ニュース


久しぶりにタイガースの試合をテレビ中継で見た。
先発は藤浪と決まっていたこの日ハム戦。
話題の中心は、高校野球の頃から注目を集めてきた藤浪と大谷の対決。

事前のコメントでは、既に3勝を挙げている藤浪が、あまり相手にしていないような様子だったが、いざ大谷を打席に迎えると、やはり意識したような剛速球連発で面白かった♪
まあ、リードする藤井の“演出”も多分にあったかもしれないが、初球から150km/mを超えるストレートを続けざまに投げ込んで追い込み、最後は外角に変化球を投じてレフトフライ。
大谷もストレートで来るであろうことを予測していたであろうが、ファールにしかならず。
それでも、最後にきた変化球をしっかりとらえてレフトまで飛ばしたバッティングはさすが。
そして第2打席では、同じようにうまくレフト線へ打球を飛ばすと、マートンのやや緩慢な動きを見てとってか果敢にセカンドを陥れる走塁が見事!
投げて打つだけでなく、走塁面での勘の良さも見せ、正に野球センスの塊。
第3打席では、甘く入ったストレートをしっかりとらえると、低い打球が二塁手の上を超え、そのままあっという間に右中間を抜けていった。
いや、確かにスゴイ選手やね、大谷は!

いわゆる「二刀流」として、投手と野手の両方での活躍を目指す大谷だが、落合が解説で言っていたように「投げた翌日は休む」というようなことではなく、「投げない日は全て野手で先発」という出場をしてほしいもの。
個人的には、戦前の選手のような、例えば景浦や呉、御園生のような活躍を期待したいところ。
打っては豪快な打球をかっ飛ばし、投げては相手打線をピシャリと抑え込む。
先発の日も、途中降板すればそのままライトの守備につき、野手で先発していても味方のピンチにはマウンドへ駆けつける。
そんな八面六臂の活躍を見ることができたら、こんな楽しいことはない♪

投手でも打者でも、類稀な素質を見せる大谷だからこそ、そんな夢が膨らむというもの。
北海道のファンも、そんな大谷の姿を夢見て応援しているのではないだろうか。
そしてそれと並行して藤浪との対決も、新しいカタチが期待できるというもの。
先発同士の投げ合いとしての対決と、投手・藤浪対打者・大谷の対決の「対決2本立て」が実現すれば…

夢が膨らむのも、藤浪・大谷の二人のセンスがずば抜けているからこそ。
しかしこれぞプロというもの。
新世紀の“ニュータイプ”対決が実現することを祈って……!

ベンチがアホやから。

2013年03月18日 | 野球
内川涙「申し訳ない」重盗失敗/WBC(日刊スポーツ) - goo ニュース


第3回WBCは、あっけなく終わった。
午前中の試合とて仕事中に見るわけにもいかず、出先で仕事の合間にスマホで結果を確認していたが、反撃があまりに遅かったというのが最大の敗因に見える。
しかし本当の敗因は、無能無策な首脳陣による腐ったベンチワークに他ならない。

「ドミニカに比べて与し易し」との楽観的予測が大勢を占めていたように思う準決勝のプエルトリコ戦。
帰宅してからテレビのニュースで試合を見ていたが、先発の前田が先制点を奪われてしまったことで、打撃陣に硬さが出てしまったか。
7回に能見がツーランを浴びて点差が開き、更に8回裏へと追い込まれたことでようやく開き直れてきたところへ、相手の投手もレベルが合ったのだろうか、ようやく連打で1点返してなおも1、2塁とチャンスを広げて押せ押せムードに。
ところがここで、あろうことか2塁ランナーの井端が3塁へ進んでいないにも関わらず1塁ランナーの内川が2塁へ向かって突進。
2塁に井端が残っていることに気づいたときにはどうすることもできずにタッチアウト。
一瞬にして反撃ムードは消え去ってしまった。

見てすぐわかるダブルスチールの失敗。
テレビで解説の工藤公康が説明していたように、確かに2塁ランナーの動きを確認せずに“猪突猛進”した内川に、走塁上のミスはある。
しかし同じく工藤が話していたように、2点差での1塁ランナーである内川は、自分が「同点のランナー」であるという意識が、物凄く強かったはず。
自分が2塁に行けばワンヒットで同点になる。
何が何でも2塁でセーフにならなければ!
ダブルスチールを狙った時点で頭の中は「2塁で絶対セーフにならねばならない」という意識で占められていたことだろう。
8回裏まで進んだ試合で、このチャンスは絶対にモノにしなければならない。
凄まじいプレッシャーの中、いつもならしでかさないような単純ミスを犯してしまう可能性は極めて高い。
そんな状況下でベンチが出したサインは、「ダブルスチールできそうなら、してもいい」。

内川は決して凡庸な選手ではない。
史上二人目のセ・パ両リーグで首位打者を獲得するほどのセンスを持った男であり、走塁面でも決して“箸にも棒にもかからない”ようなレベルの選手ではない(昨季も6盗塁している)。
それでも前述のようなミスをしてしまうのが、“負ければ終わり”のWBC決勝トーナメントが生み出す極限の緊張状態というものだろう。
そんな状況に置かれた選手に対して、「ダブルスチールできそうだったらやれ」という極めて曖昧かつ判断の難しいサインを出すとは、首脳陣の無能と無責任さはプラナリアにも劣る。
(プラナリアにも「生命を維持・継続する」という責任感があるというものだ…「責任感」と呼ぶかどうかは別にして)
どのようなサインの出し方があったのかは知らない。
3塁コーチャーがサインを出したとき、井端は冷静に「イケそうならGOか」と解釈したが、気が焦っていた内川は「ダブルスチールせよ」と理解したのではないだろうか。
VTRで見る内川の走塁は、「2塁ランナーが3塁へ走っている」という前提に立っているとしか思えない。
首脳陣は言うのだろう。
「選手を信頼していた。」
ふざけるな!
本当に選手を信頼するならば、極限状態においては、自己の強い意志と責任感に基づいて作戦を立て、明確なサインを出して選手を動かせるはず。
それが、選手自身でダブルスチールができると思ったらやったらいいなどと、プレーの責任を選手に負わせる曖昧なサインを出すのだから言語道断。
作戦の失敗を非難されることを恐れた責任逃れのサイン(指示)でしかない。
「敗戦の責任は全て自分にある」と山本浩二は言うのだろうが、この「責任」ほど空虚な響きを持つ言葉はないだろう。

台湾戦の鳥谷、井端に始まり、最後の最後まで選手達がそれぞれ自分自身でなんとかしなければ勝てなかったこのチーム。
同じく台湾戦で田中を引っ張って失点させたことに始まり、8点取ったあとじわじわ追い上げられても為すすべもなく選手達の奮起に助けられ、そしてこの最後の試合では曖昧な“クソサイン”で敗戦を呼び込むような首脳陣にも関わらず準決勝まで勝ち残れたのは、選手たちの力の賜物以外の何ものでもない。
いみじくも選手たちがインタビューで「一丸となってまとまった」と口をそろえて答えているが、当然だろう。
首脳陣の無能ぶりに、選手たちは自然と「自分達で何とかしなければ」と、まとまっていったに違いないのだから。

最後の最後まで、ベンチが選手たちの足を引っぱって幕を閉じた今回のWBC。
内川の精神的なダメージが一番の心配となる、後味最悪の大会に終わった…。

なぜ薄氷を踏まねばならないのか。

2013年03月13日 | 野球
【WBC】長野、復活5打点!阿部は1イニング2発!日本1位通過(スポーツ報知) - goo ニュース


日本の敵は慢心であると考えていたが、心配していた通りの展開になって愕然。
薄氷を踏む思いでようやく勝ち星を拾うことができた。
先制されながらもイッキに8点取って逆転したところで油断したのは間違いない!

2回裏に繰り広げられた猛攻は、阿部が1イニング2本塁打を記録するなど、2戦続けてオランダにコールド勝ちか!?とさえ思えた神がかり的な勢いだった。
その流れと勢いを続けられれば圧勝で終わることができたはずのものを、2試合連続の大量得点で気が緩みきったように淡白な攻撃に陥る。
追加点の気配が無くなっていくと同時に、じわじわと流れは日本から離れていく。
そして森福が登板したところでイッキに流れが傾いた。
先頭打者を歩かせてしまったところで完全に流れはオランダに。
中途半端な高さとスピードとキレの無い変化球をいとも簡単に弾き返され、打ち取ったはずの当たりがヒットになり、あっという間に2点を返され、オランダ・ペースにハマっていく。
続く8回に登板した山口も、昨季のタイガース戦で見せたようないやらしいほどのキレとスピードとコントロールは微塵も無く、あれよあれよという間に2点を奪われ、慌ててつぎ込んだ涌井も勢いに飲み込まれて失点。
気がつけば2点差にまで迫られた。

8回裏、先頭の中田が大振りを捨ててしっかり中前に弾き返してチャンスメイクするも、続く角中が送りバントを失敗したときには、まだまだ流れはオランダにあった。
代打稲葉もセンターフライに倒れたときには相当マズイ状況になった。
しかし角中が盗塁を成功させて試合を動かしたことで、再び日本に流れが傾き始めた。
オランダにバッテリーエラーが出た時点で流れは日本のものに。
2、3塁のチャンスを作ると、2回のツーベースで感覚を取り戻した様子の長野が、相手投手の執拗なカーブ攻撃にしっかり対応して2点タイムリー。
リードが4点に広がったことで、少し安心感が出た。

テレビ解説の桑田が、キャッチャーの相川は交代して出てくると必ず失点するという不吉なデータを紹介してイヤな空気を作りだしたが、牧田がなんとか抑えてゲームセット。
終わってみれば、オランダvsキューバ戦のような“どつき合い”の如き点の取り合いに。
2回の大量得点後、完全に日本勝利に傾いていた試合の流れを、むざむざとオランダに渡すことになったのはベンチの無策。
淡白な打線を引き締めることなく0点を重ね続けて何ら手を打つことが無かったのは、
「7点も点差があるねんから、あとはピッチャーが抑えて終わり」
と決めつけていたからではないか。
それはベンチの油断にほかならない。
その結果、福森、山口の不調で相手を勢いづかせてしまい、慌てふためくことになるのである。

それでも、選手たちが持つ高い地力によって、あれだけオランダに試合の流れが傾きながらも逆転を許さずに押し切ることができた。
典型的な結果オーライの試合。
ベンチワークのレベルの低さをカバーして余りある選手のレベルの高さには感動さえ覚える。
そう考えると今回の全日本チームの監督は誰がしてもいいワケで、采配のセンスは無いが、無類の勝負強さを誇る山本浩二が監督になったというのは、これまた結果オーライな天の配剤かもしれない。
試合後にチャーター便でアメリカに向かうという全日本。
阿部を中心に、稲葉、井端、鳥谷らが協力して、首脳陣は無視して選手たち自身でチームを引き締め直せば、三連覇の可能性は限りなく透明に近いブルー……もとい、限りなく100%に近づいていく。