青山潤三の世界・あや子版

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ElvisとBeatlesのはざまで~Johnny Tillotsonの時代(37)

2011-11-11 14:10:21 | アメリカン・ポップスearly60’s



Bobby Vinton V.S. Johnny Tillotson

前回紹介した「そっくりさんコンテスト(?)」で示されたように、ボビー・ヴィントンは、結局のところ「元ティーン・アイドル」ということらしいのですね。まあ、間違いではないのでしょうが、、、、モロに“いかにもメンバー”の中に埋没しちゃっているとなれば、やはり違和感は禁じ得ません。Jack Jonesジャック・ジョーンズとか、Johnny Mathisジョニー・マティスとかとも、かなりの共通点(同世代の“ティーン・アイドル的大人の歌手”)がありそうなのですが、彼らは完璧に大人の歌手とみなされているわけで、ボビー・ヴィントンにおける現在の一般の人々の認識とは、相当にかけ離れているわけです。

といって、本当に「元ティーン・アイドル」の一員として扱われているのかと言えば、そうでもない。なんだかすごく中途半端な立場にいるみたいなのです。例えばボビー・ダーリンならば、(リアルタイムに於いてはともかく)今ははっきりと“大人の歌手”と見做されているようですし、ロイ・オービソンやデル・シャノンやジーン・ピットニーやディオン、それにエヴァリー兄弟らは、エルヴィス以下創成期のロックアーチスト、あるいはビートルズやストーンズ以下のイギリス勢との繋がりをもって、後の評価を得ている、という側面があるように思います。でも、ヴィントンには、そのように括り得る受け皿のような場が見当たりません。言い換えれば、自分一人で、“ジャンル”を成すことの出来るだけの、実力と実績があるわけです。

“ポップス黄金期”の前半ではリッキー・ネルソン、後半ではボビー・ヴィントン。この2人の実績・実力は、飛び抜けていると思うのだけれど、あまりにも評価が低い(一般大衆の中で語られることが少ない)のではないかと。それも、彼らの存在が大きすぎて、かつ曖昧でもあり、評価の物差しを当て難い、、、(で結局は、“ティーン・アイドル”の一人として括られてしまう)。

後年の(一般大衆の)評価というものは、自分の実力や実績だけでは成しえないもののように思えます。上記したごとく、「エルヴィス周辺に位置づけられるロック創成期の一員である」か、「ビートルズやディランなど後年の著名アーティストとの繋がりを持っている」か、「ジャズなりR&BなりC&Wなり明確なジャンルの内側に存在している」か、でなければ「典型的な“ティーン・アイドル”としての履歴を持っている」か、、、、、(ジョニーの場合も、“ティーン・アイドル”としての顔以外に様々な顔を持ってはいるのですが、それらは典型的なものではない、よって、最も分かりやすい“ティーン・アイドル”としての側面のみに集約・評価されてしまうのでしょう)。

おおむね現存する“元アイドル”達は、(程度の差はあれ)それぞれに仲良し関係にあるようで、ジョイント・コンサートを行ったり、互いのH.P.のリンク欄に載せあったりと、何らかの形でエールを交わし続けているわけです。ところが、Bobby Vintonだけは、そのどこにも顔を出すことがありません。他の“元アイドルたち”に比べて、メジャーすぎるということもあるのでしょうが、よく言えば“わが道を行く”、言い方を変えれば(“オレ流”の落合みたく)“偏屈”という部分があるのかも知れない(笑)。

“わが道を行く”なのか“偏屈”なのか、微妙な現れ方をしているのが、以前にも記した、“偏執的”とも言える、同世代歌手のごく最近のヒット曲を、シングルA面にカバーしまくっていること。同世代といっても、おおむね年下で、いわば“格下”の歌手が多いのです。不思議なのは、ふつうカバーする場合は、オリジナルにない趣向を凝らすもの。ところが、逆に限りなく単調に焼き直しているのです。そして、そこそこのヒットは記録しますが、大抵はオリジナルより下位のチャートに留まっている。ごく古いスタンダードナンバーのカバーや、自作の曲の場合は大ヒットに結びついているのと対照的です。

何のために執拗に「格下歌手の直近ヒット曲」のカバー(シングルA面)を繰り返し続けるのか? 単にそのような曲が好きなだけで、良い曲だから自分も歌いたい、自分の歌として表現するのに自信があるから、という素直な受け取り方も出来るでしょう。でも角度を変えれば、「こいつらよりおれの方が上手」という穿った見方も出来そうです(笑)。

ジョニーに対しては、どのような想いがあるのでしょうか? おそらくは“無視”に近いものと思われますが、少なくとも、62年のデビューヒットから暫くの間は、よく似た“ティスト”のヒット曲を互いに連発していたことから、無視できる存在ではなかったものと思われます。

Johnnyの「涙ながらに」がヒットしだした直後(チャートインは4週間後)に、よく似た曲調の「涙の紅バラ」をぶつけてきて以来、その後丸一年余に亘って、非常に良く似たティストのヒット曲が続きます。成果(チャート上の数字)も拮抗しています(Bobbyの方が僅かずつ上ですが、最初の1年間はほぼ互角と言っても良いでしょう)。

もっとも、63年後半からの、Bobbyの「Blue On Blue」「Blue Velvet」「There I’ve Said It Again」は、Pops史上に残る圧倒的 な成績、Jonnyも健闘はしているのですが、適うわけがありません。

■It Keeps Right On A-Hurting(涙ながらに) 62.05-62.09 H第3位、C第4位、R第6位 
●Roses Are Red My Love(涙の紅バラ) 62.06-62.09 H第1位、A第1位、R第5位

■Send Me The Pillow You Dream On(夢の枕を) 62.09-62.11 H第17位、C第11位、A第5位
●Rain, Rain Go Away (涙の太陽) 62.08-62.10 H第12位、A第4位

■I Can’t Help It If I’m Still In Love With You(どうにも出来ない) 62.10-62.12 H第24位、A第8位
●Trouble Is My Middle Mane(僕はトラブルメーカー) 62.12-63.01  H第33位、A第7位

■Out Of My Mind(涙でいっぱい) 63.03-63.05 H第24位、A第11位
●Over The Mountain(オーバーザマウンテン) 63.03-63.5 H第21位、A第8位

■You Can Never Stop Me Loving You(恋に弱い子) 63.08-63.10 H第18位、A第4位
●Blue On Blue(ブルーオンブルー) 63.05-63.08 H第3位、A第2位

■Funny How Time Slips Away(時のたつのは早いもの) 63.10-63.11  H第50位、A第16位
●Blue Velvet(ブルーベルベット) 63.08-63.11 H.第1位、A第1位

■Talk Back Trembling Lips(トレンブリンキッス) 63.11-64.02 H第7位、A第6位      
●There I’ve Said It Again (ブルーファイアー) 63.11-64.02 H第1位、A第1位

注:ほかに、B面ヒット曲として、Bobbyに「Let’s Kiss And Make Up」(62.12-63.1 /H第38位、A第10位)、Johnnyに
「What’ll I Do」(62.9/U第106位)、「I’m So Lonesome I Could Cry」(62.12 /H第89位)。旧レーベルからのリリースとして、Bobbyに「I Love You The Way You Are」(62.8-62.10 /H第38位)。

Bobby Vinton「I Can’t Help It」 (Album「Roses Are Red My Love」1962)


Johnny Tillotson「I Can’t Help It」 (Album「It Keeps Right On A-Hurting」1962)


Johnny Tillotson「Blue Velvet」 (Album「Take Back Trembling Lips」1963)


Bobby Vinton「Blue Velvet」 (Album「Blue On Blue」1963)


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