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功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ファイティングモンキー昇龍拳』

2008-10-24 17:03:50 | 成龍(ジャッキー・チェン)
「ファイティングモンキー昇龍拳」
「ファイティング・マスター」
原題:順天立地/頂天立地/北派功夫/決鬥東洋客
英題:Not Scared to Die/Eagle's Shadow Fist
製作:1973年

●最近はマイナー作品ばっかり紹介していたので、今回は久しぶりにジャッキー作品を紹介します。とはいえ、これまで私が当ブログで取り上げてきたジャッキー作品と同様、微妙な作品である事は間違いないのだが(爆
本作はジャッキーが始めて準主役を演じた作品として知られている抗日功夫片だが、ジャッキーファンからは一様に「酷い」作品であるとされている。ではここで当ブログで紹介済みの、同時期に作られた抗日功夫片を列挙してみよう。『猛獅』『七殺街』『蕩寇灘』『擂台』『大惡寇』『雙龍谷』『餓虎狂龍』…これらの作品に共通しているのは、主役やその周囲の人間がある程度生き残っている事や、決して陰惨なだけの物語ではないという事である(例外もあるが)。
本作は上演禁止だった演目を演じた京劇一派が、日本軍(殺されるリーダーに袁祥仁)を殺害してしまった事から起こる追跡劇を描いた物語である。その内容は極めて陰惨であり、ユーモアのある描写など全く無い。そればかりかストーリーが進むに連れて犠牲が増えていき、ジャッキーが、元秋(ユン・チウ)が、李文泰(リー・マンチン)が、そして最後には女子供までもが全て殺されてしまうのだ。
確かにこれは明らかにやりすぎな描写である。日本軍の悪質さを現す演出と考えても、主人公以外の善玉キャラクターを全て殺してしまうとは常軌を逸している。最終的に生き残るのもラスボスの永田晃を派遣した朱牧と、主役である王清(ワン・チン)だけという惨状だ。このあと朱牧と王清の2人は和平を結び、方世玉と洪熙官ら反清派の壊滅を誓って活動していく…訳は無いのでご安心を(笑
まぁ冗談はさておき、話の酷さとは打って変わって功夫アクションはそこそこ頑張っている。なにしろ武術指導は袁祥仁。準主役のジャッキーも奮闘しているし、永田晃のアクションもキレがいい。少なくとも上記に挙げた作品の中では、『猛獅』『大惡寇』『雙龍谷』よりも良かったと言える。ただ残念なのは、最後の王清VS永田が異様に長く、メリハリがついてないので見ていて辛かった点だろう。それ以外では絡み役での接触だが、ジャッキーVS袁日初なんていう顔合わせも見れたりするのも特筆かな?
しかし本作で1番の疑問といえば、何故王清を主役に添えたかという事だ。あの悪役面の王清が正義の味方を演じる事自体かなり違和感があったのだが、それでいて主役とは…これはかなり奇妙な取り合わせである。本作を製作した大地影業は極貧プロで、ジャッキーは給料さえ貰えなかったとは周知の事実。王清が主役に抜擢されたのも、主役に出来るようなスターを呼ぶ金が大地影業に無かったからだと考えると納得できる。
花の無い主役、迫力の無い悪役、魅力の無い脇役、面白く無い物語、あんまり無い予算…ないない尽くしの状況下で、あるのは唯一武術指導の手腕のみ。『プロデューサーズ』という映画は最悪のキャストで最高の舞台を演じていたが、現実は映画のように上手くいかなかったという事か。そう考えてみると、このネガティブな作品も何となく許せる気がしてくるから不思議である(苦笑

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