功夫電影専科

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よろしくユン・ピョウ(終)『プロジェクトBB』

2015-04-29 22:58:50 | 成龍(ジャッキー・チェン)
「プロジェクトBB」
原題:寶貝計劃
英題:Rob-B-Hood
製作:2006年

成龍(ジャッキー・チェン)、古天樂(ルイス・クー)、許冠文(マイケル・ホイ)の3人はコソ泥トリオ。盗みの腕は確かなものであるが、そのプライベートは荒れに荒れていた。
そんなある日、引退を考えていた許冠文の自宅に空き巣が入り、老後の蓄えに残しておいた貯金をごっそり盗まれてしまう。そこに盗みの依頼が舞い込み、切羽詰まった彼はこれを引き受けるのだが…。
 多額の報酬に目が眩んだジャッキーと古天樂も加わり、一行は巨大な屋敷へと侵入する。ところが驚いたことに、盗みのターゲットとは金庫でも宝石でもない、大富豪の赤ん坊だったのだ!
後に引けなくなった3人は赤ん坊を連れ去るが、検問にぶつかって許冠文が逮捕されてしまう。その結果、仕事の詳細を知っている彼が出所するまでの間、ジャッキーたちは赤ん坊の面倒を見ることとなった。
しかし彼らにとって子育ては至難の業であり、おまけに盗みの依頼主である組織までもが動こうとしていた。いつしか赤ん坊に情が移り始めたジャッキーたちだが、果たして物語の結末は…?

 長年にわたって香港映画界で活躍してきた元彪(ユン・ピョウ)ですが、00年代に入ると仕事のペースを徐々に落とし始め、助演や客演としての仕事が目立つようになってきました。
この当時、彼は積極的に電視劇(TVドラマ)へ参加するようになり、役者として新たな可能性を見出そうとしていた事が伺えます。本作はそんな時期の作品で、久し振りにジャッキーとの共演が叶った作品です(今回は彼の幼馴染の警部役!)。
 物語は3人のダメ男を中心にした人情ドラマで、赤ん坊との出会いを通して自分自身を見つめなおし、更生に至るまでを描いています。日本では痛快なコメディ・アクションとして宣伝されたため、内容を見て驚いた人も多いことでしょう。
作品としてはストーリーの流れが雑然としており、最後のオチも出来すぎている印象を受けました。しかしコメディ描写は安定しているし、「あざとい」と思いつつつもホロリとくるカットが何ヶ所か存在します(笑
 許文冠&元彪のビッグネーム2人についても、それぞれに見せ場となるシーンを配置。持ち味を生かし切れたとは言えないものの、彼らを単なる賑やかしで終わらせてはいません。
アクションや危険なスタントは今回もバッチリで、久々の接触となるジャッキーVS元彪(ここはもう少し尺を割いて欲しかったかも)、強敵を相手にしたラストバトルもしっかり用意されていました。
 …と、このように傑作とまではいかないまでも、佳作レベルのクオリティに達している本作。しかし直訳とはいえ誤解を招くような邦題、豪華すぎるキャストが期待値を吊り上げる要因となり、作品の評価を相対的に引き下げている感があります。
個人的には嫌いじゃない映画(むしろ好きな方)なので、もっと評価されてもいいと思うのですが…う~ん。

 これまで傑作・珍作・失敗作と、様々な元彪の出演作を追ってきた「よろしくユン・ピョウ」ですが、とうとう本日で最終回と相成りました。しかし彼の戦いは終わっておらず、10年代に突入した現在も続いています。
近年は往年の功夫スターがフィーチャーされる機会が多く、元彪も『マイ・キングダム』『イップ・マン 誕生』などでその雄姿を披露。アクション俳優として健在であることを満天下に示しているのです。
 彼が今後どのような動きを見せるのかは解りませんが、私としては“BIG3の勢揃いを再びスクリーンで見てみたい!”と切に願っています(もっとも、ジャッキーとサモハンが多忙なので非常に難しい話なのですが…)。
さて、来月から更新は通常どおりに戻りますが、今のところ次の特集は未定です。5月の末に何らかの発表は出来ると思うので、とりあえず今日の所はこれで終わりたいと思います。 <特集、終わり>

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