確定拠出年金で年金資産が運用されないままになっている人が
約8万人いるということの背景には、事業所登録の問題もあると
思います。
郵便局の確定拠出年金・個人型の担当者から以前、
「企業型を実施している企業を退職した人が、再就職した会社で
個人型に加入しようとしたところ、事業主が事業所登録をしてくれ
ないので、個人型に加入できないでいる」という話を聞いたことが
あります。
企業型を実施していた企業から、他の企業に就職した場合、その
再就職先の企業で、確定拠出年金・企業型や確定給付型の企業
年金(厚生年金基金、適格退職年金、確定給付企業年金)を導入
していない時は、個人型の加入者となることができます。
但し、企業が個人型の登録事業所であることが必要で、そうなって
いない場合は、「事業所登録」をしなければなりません。
「事業所登録」は、運営管理機関となっている金融機関で手続きで
きます。運営管理機関となっている金融機関については、国民年金
基金連合会のホームページで調べることができます。
取引のある金融機関(銀行・生損保)にお尋ねになってもいいでしょ
う。農協でも手続きができます。
「事業所登録」には、お金は一切掛かりません。
事務手間も僅かです。登録申請時の申込書の作成と年1回の現況届
けだけです。年1回の現況届けは、レ点チェックを入れるだけの簡単な
ものです。掛金の引き落としは、給与天引きではなく個人払い込みを
選択すればいいのです。
事業主へ「事業所登録」をお願いする時、私はまず、「お金は掛かり
ません。事務手間も僅かです。」と、強調します。ご理解いただけない
ことはまずありません。
運用漏れが「事業所登録」でつまずいているとしたら、本当に残念です。
確定拠出年金は、掛金を運用していた期間が10年ないと60歳で受け取
れません。運用だけしていた期間や運用漏れとなっていた期間は受給
資格に必要な期間とみなれません。ご注意ください。
但し、他の制度(退職一時金、適格退職年金、厚生年金基金)から資産
を確定拠出年金へ移換している場合は、その制度に加入していた期間が、
移換後に掛金を拠出していた期間と通算されます。