コンサルティングは自転車に乗って⇒企業年金総合プランナーのブログです。

企業年金・退職金制度全般に関するご相談を行っています。
お気軽にご連絡下さい。

生損保代理店で退職金を個人型DCで導入

2008-04-28 15:59:17 | 確定拠出年金・個人型

ある生損保の代理店からの、個人型DCで退職金制度を作ることにしたと
いう連絡を受けました。
この代理店様からは、数年前に、退職金制度を導入を検討している会社を
何社かご紹介いただいており、そのうち2社に個人型DCを使った退職金制
度を作らせていただきました。
それと同じように、前払い退職金を個人型DCで積み立てていくということ
にしたご様子でした。
正直、大変嬉しかったです。
ご紹介いただいた会社で行った説明が、思わぬところで生きたようです。

生損保の代理店や営業員の皆様は、FP(ファイナンシャルプランナー)資格
をお持ちのことが多いです。でもやはり専門は、保険やライフプラン。
DC制度にご加入になると、資産の運用、投資信託に親しむことになります。
知識の幅が広がり、より一層充実したサービスをクライアントに提供できると
思います。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


退職給付会計に対する考え方

2008-04-24 10:56:28 | 企業年金・退職金制度

退職給付会計は、中小企業には関係ないでしょうか?

退職給付会計が強制適用されるのは、証券取引法が適用される株式公開
会社や資本金が5億円以上の会社です。
平成18年5月施行の新会社法の下で、中小企業にも退職給付会計の採用
が推奨されています。(平成17年の「中小企業会計の指針」による。)

中小企業へのコンサルティングとしては、税理士、社会保険労務士、中小
企業診断士、公認会計士、そして銀行、生命保険会社や損害保険会社が
それぞれの得意分野を生かして携わっています。
しかし退職給付会計については、脇にどけられているような気がすること
があります。それは、保険会社からの保険商品を使った提案に多いです。
退職給付会計、退職給付債務は、企業が経営を考えていく上で、大切な
ツールだと思います。退職一時金制度、企業年金制度がある場合、その
支給額はどのくらいになるのか、資金の手当状況を計る上で、退職給付
債務の認識は重要です。
・退職金制度が年功型で、給付が膨らむリスクがないか
・確定給付型の企業年金で、運用利回りのリスクを受けないか
・生保・損保商品による積立で、自己都合要支給額以上となっていないか
退職給付会計の導入によって、企業の退職給付制度の問題点が明らかと
なり、適切な退職給付制度へ見直すことが可能です。
コンサルティングは、企業の成長のお手伝いをすることだと思いますので、
退職給付制度にとって、退職給付会計は重要なツールです。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


退職給付債務⑤

2008-04-22 08:07:53 | 企業年金・退職金制度

「退職給付会計」を導入し、「退職給付債務」の影響をうけるのは、
大企業だけと思われがちですが、実はそうではありません。
2006年5月の新会社法の施行に伴い、2005年8月に「中小企業
会計の指針」が中小企業庁・公認会計士協会・税理士会連合会・
商工会議所・企業会計基準委員会から公表されました。
その中で、中小企業で退職金制度や企業年金制度がある場合に
は、退職給付債務を計算し、積立不足は、退職給付引当金とする
ことが推奨されています。
一般的に、中小企業では退職給付債務を簡便法で計算し、期末
自己都合要支給額とすることが多いようです。
退職一時金制度で、この期末自己都合要支給額の積立を、全く
行っていない場合は、そのまま貸借対照表の負債額となります。
利益や自己資本が大きく左右されることになります。

さて、保険商品を使った準備は、この退職給付会計でいう準備済
資金とはなりません。いくら保険商品で積み立てていても、退職給
付引当金を減らすことはできません。くれぐれもご注意ください。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。

◆いつも、ブログをお読み下さり、ありがとうございます。
 ご質問、ご意見は、コメントとしてではない場合は、
 gooメールへお送りください。
 アドレスは、goo0218_2007@mail.goo.ne.jp です。
 回答やお返事は、早ければ翌日、遅くても1週間以内に
 お送りします。宜しくお願い致します。


退職給付債務④・・・簡便法

2008-04-17 11:33:10 | 企業年金・退職金制度

退職給付債務の計算方法で、主に従業員300人未満の会社が使う簡便法には
次の8通りの計算方法があります。

◆退職一時金制度のみの企業
  ① 「期末自己都合要支給額×比較指数」とする方法
  ②「期末自己都合要支給額×昇給率係数×平均残存勤務期間に対応する
    割引率」とする方法
  ③「期末自己都合要支給額」とする方法

◆企業年金制度のみの企業
  ④「直近の年金財政計算上の責任準備金×比較級数」とする方法
  ⑤「在籍する従業員の前述の②又は③の額」に「年金受給者及び待期者の
    直近の年金財政計算上の責任準備金」を合計した額とする方法
  ⑥「直近の年金財政計算上の責任準備金」とする方法

◆一部企業年金制度に移行
  ⑦退職一時金制度の未移行部分と企業年金制度に移行した部分をそれぞれ
   ①~③、④~⑥から選択して計算する方法
  ⑧在籍する従業員については「退職給付制度全体(一時金+年金)として自己
   都合要支給額×昇給率係数×割引率係数」、年金受給者及び待期者につい
   ては「直近の年金財政上の責任準備金の額」とする方法
 
以上から企業の実態にあった合理的と判断される方法を選択できます。


前回のブログ「退職給付債務③・・・原則法」の退職給付見込み額と退職給付の
発生確率の記述が不正確でしたので、訂正いたしました。
                        


退職給付債務③・・・原則法

2008-04-15 06:30:28 | 企業年金・退職金制度

退職給付債務の計算には、原則法と簡便法があります。
簡便法は、従業員300人未満の会社で使うことができます。また、従業員が
300人以上でも、年齢や勤務期間に偏りがある等の理由により、原則法での
計算の結果に高い水準での信頼が得られないと判断される場合には、費用
対効果の観点から、簡便法を使うことができます。
それ以外は、基本的に原則法で計算します。

原則法は、以下のように計算します。
 
 従業員ごとの退職時給付見積額の総額×退職給付の発生確率×

 (入社から期末までの勤務年数/入社から退職までの勤務年数)×
            n
 {1/(1+割引率)}   nは、残存勤務年数


・退職時給付見積額の総額は、現在給与×昇給率×退職時給付率
 現在給与は、退職金を計算する時に使う給与(基準給与等)
・退職給付の発生確率は退職率と死亡率
 退職率は、過去の企業の実績を基に計算します。生命保険会社の経験予定
 脱退率(小規模の会社の適格退職年金の計算において使用する。5万社の
 実績を基に計算されている。)を修正して使うこともあります。
 死亡率は、全人口の生命統計表(国民生命表)を使います。
・割引率は、安全性の高い長期債権の利回りで、通常は、長期国債の利回り
 を使います。
              →簡便法については、次回のブログでご案内します。


退職給付債務②

2008-04-10 12:50:13 | 企業年金・退職金制度

退職給付会計は、国際会計基準の導入に伴い、平成12年4月1日から始まる
事業年度において、「退職給付に係わる会計基準」が適用されました。
「退職会計基準」では、企業が従業員の退職時に備えた退職一時金と企業
年金は、「労働協約等において従業員が提供した労働の対価として支払わ
れる賃金の後払い」としています。
この債務にたいして、退職金制度や企業年金で、準備されていない部分は、
退職給付引当金として、決算書の固定負債に計上することになります。

従来バランスシートに反映されなかった、企業の退職給付債務が反映される
ことは、企業の財務諸表へ影響を与えます。
退職給付引当金が負債に計上されるということは、以前の退職給与引当金の
ように非課税ではありませんので、企業の利益、自己資本が減少することに
なります。

退職給付債務の計算には、原則法と簡便法があります。
簡便法は主に従業員が300人未満の企業や、300人以上の企業でも原則法
では計算結果に信頼性が得られない、計算が極めて面倒等の場合に、使用
が認められています。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。

◆いつも、ブログをお読み下さり、ありがとうございます。
 ご質問、ご意見は、コメントとしてではない場合は、
 gooメールへお送りください。
 アドレスは、goo0218_2007@mail.goo.ne.jp です。
 回答やお返事は、早ければ翌日、遅くても1週間以内に
 お送りします。宜しくお願い致します。


退職給付債務①

2008-04-08 12:44:59 | 企業年金・退職金制度

退職金・企業年金制度を考える時に、一番問題なのは、退職給付会計と
退職給付債務だろうと思います。

退職給付会計による退職給付債務は、これまでの退職給与引当金とは違い
ます。
退職給与引当金は、平成14年度に廃止となりました。
非課税で、退職一時金制度の支給に備える資金を用意するということが
できなくなっています。
資本金が1億円を超える会社では、退職給与引当金を次のように取り崩し、
益金としています。

 平成14年度・・・30%
 平成15年度・・・30%
 平成16年度・・・20%
 平成17年度・・・20%

資本金が1億円以下の会社の場合は、10年の経過措置があります。

 平成14年度・・・10%
 平成15年度・・・10%
 平成16年度・・・10%
 平成17年度・・・10%
      ・
      ・
      ・
      ・
 平成23年度・・・10%

退職給付会計における退職給付債務は、期末決算期における、従業員に
対する退職金・企業年金で支払いが発生している金額(期末で退職すると
したら、従業員に支払うことになる金額)のことです。
この退職給付債務に対して、支給のために積み立てられていない、積立
不足額が退職給付引当金です。退職給付引当金は、決算書の貸借対照
表の固定負債に計上すべき項目となります。


3月31日のブログ「企業年金の運用利回りの低下①」は、平成19年度の
利回りが、4月4日に格付投資情報センター(R&I)から発表されたことにより、
ブログの数字は訂正いたしました。企業年金の運用利回りは、今年1月の
マイナス6.39%の予想より更に悪く、マイナス9.74%という成績です。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


企業年金の運用利回りの低下②

2008-04-02 11:25:38 | 企業年金・退職金制度

前回のブログでお伝えしたように、企業年金の運用利回りの低下は、
企業年金制度に大きな影響を与えます。
数年マイナス運用が続くと、それを取り戻すのに何年もかかることに
なります。
確定給付型の企業年金(厚生年金基金、適格退職年金、確定給付
企業年金)のマイナス運用について、事業主や企業の担当者とお話
しすると、「いや~、株価が戻れば大丈夫。」といった楽観的な見通し
をされていることがあります。
このような場面で、「う~ん、そうですね。。。」などと、お返事をして、
きっぱり言い切れない自分をもどかしく感じることが多いです。
せめて、ブログでははっきり言いたいです。
企業年金のマイナス運用を取戻すことは、そんなに甘くはありません。

企業年金のマイナス運用による、年金資産の目減りは、企業の負担が
増えることで、企業の業績の足を引っ張ることになります。
確定給付型の企業年金は、「年金資産の運用」という企業・事業主の
思い通りにならないリスクを抱えた制度です。
その点を、肝に銘じてほしいと思います。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。