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厚生年金基金の積立不足について(1)

2011-03-29 10:02:31 | 厚生年金基金

厚生年金基金の積立不足について、昨年からこの3月にかけて、いくつかの新聞
記事を目にしました。

最近は、3月6日付の朝日新聞で、
厚生年金、242基金が積立金不足 3百万人に影響も」という記事が掲載され
ました。

300万人というと、会社勤めの人の10人に1人です。

厚生労働省は、これまでいわゆる「指定基金」※となっている51基金だけ、基金名
を公表して言いましたが、実態はかなり深刻です。
242基金というと、基金全体の4割になります。

※「指定基金」とは、厚生年金を代行している部分の積立金が代行部分を給付する
 のに必要な金額の9割を、3年連続で下回った基金をいいます。厚生労働大臣の
 指定により早期の財政の健全化を図るよう指導された基金で、指定された基金は、
 5ヵ年の健全化計画を策定し提出しなければなりません。

厚生年金基金は、企業年金の部分(上乗せ給付)と厚生年金の代行部分(報酬比例
部分)から成り立っています。

基金の積立不足は、企業年金に対するものと代行部分にまで及んでいるものがあり
ます。企業年金に対する積立不足は363基金、代行部分まで及んでいる基金は、
242基金ということです。(2011年3月末時点での数字)

5月13日(金)川口リリアにて、「積立不足が深刻な厚生年金基金」、「厚生年金
基金からの移換も可能な確定拠出年金の基礎」、「厚生年金基金、確定拠出年金の
動向」について、セミナーを行う予定です。
詳細は決まり次第、ブログとホームページでご案内いたします。


従業員同意を、甘く考えない方がいいです。

2011-03-22 09:23:53 | 企業年金・退職金制度

企業年金・退職金制度のコンサルティングでは、従業員同意に関して、見積書には、
その項目で金額を計上します。

高い、何だこの金額は
と言われることもあります。
でも決して、高くないですよ。

前回のブログで書いた、「厚生年金基金を厚生年金と勘違いした」例や、3月1日の
ブログの「中退共の解約に伴う掛金助成分の控除への抗議」などは、決して特異な
例ではありません。

企業年金や退職金制度の変更は、全ての従業員に有利な改定とならないし、全て
の従業員に気持ち良く受け入れてもらえるとは限りません。

従業員の心理として、企業年金や退職金制度の改定が、なんとなく気に入らない、
一言いいたいという場合、事業主には言いづらいのです。
でも、企業年金・退職金制度の改定を行っているコンサルタントには言えます。

やはり以前NPOで、適年から企業型DCに移行した企業で、従業員説明会の後の
個人相談会で、1人の予定時間を大幅に超えて、「この改定は気に入らない」と
いうお話を、立て続けにお二人の従業員から聞くことになりました。

業務を終了して、帰りの電車に乗ったら、胸から腰にかけてのなんだか痒いのです。
ジンマシンが突然できていました。(これってストレスが原因

この企業の従業員同意は、全員から頂戴できました。
前述のお二人も含めてです。

結局、ガス抜きなのです。
言いたいことをいってもらうと、それでもういいという場合が多いです。

これは大変重要で、何かもやもやしたものを抱えて、制度変更が終わると、後に
なって問題が発生してきます。
何か気に入らない、一言いいたいという人たちは、仕事ができる、職場でも信頼
されている方が多いように思います。

うちの社員は理解してくれる、コンサルタントにお金を払うなんて無駄なことと
思わないほうがいいですよ。後になって発生する可能性のあるリスクを減らす
費用とお考えください。


厚生年金と厚生年金基金は、紛らわしい制度です。

2011-03-15 10:17:35 | 厚生年金基金

今回の例は、もう7~8年前にNPOで適年の移行を勉強していた時のことです。
適年からの移行ではなく、厚生年金基金(総合型)に加入していた企業からの
相談案件でした。

厚生年金基金をやめて、退職金制度を作り直しました。

制度変更に関して、従業員の個別同意のための説明会を開催しました。
その時、一人の従業員の方が、突然怒って、会場を出て行ってしまったのです。

どうして 

事情を聞いて分かったのですが、「厚生年金基金をやめる」ということを「厚生年金
をやめる」と、勘違いしたのです。そして、将来の厚生年金がもらえなくなると思い
込んでしまったのです。

厚生年金基金は、厚生年金基金として説明したつもりでも、聞く方はそういう理解を
してくれなかったということです。分かりやすくしたつもりでも、結局勘違いする人が
いたわけですから、説明の仕方に不備があったことになります。
謙虚に反省しないといけないですね。

実は私も、この仕事を始めるために勉強するまでは、厚生年金基金と厚生年金の
区別ができていませんでした。退職するまでの会社では厚生年金基金に加入して
いましたが、なんのことか定かではありませんでした。

厚生年金基金と厚生年金、紛らわしいです

この厚生年金基金の積立不足が深刻であるという新聞記事が、昨年からこの3月
までに何回か掲載されています。
厚生年金基金は適格退職年金より更に分かりにくい制度です。
規約や決算書も、適年よりボリュームがありますし。。。

企業が加入している厚生年金基金の現状や、やめる場合にはどうしたらいいのか、
脱退した場合の給付はどうなるのか等など。。。

そういった企業や加入者の悩みについて、相談に乗って行けたらと考えています。

5月に厚生年金基金の問題点をテーマに、セミナーを行います。
詳細が決まりましたら、ブログとホームページでご案内いたします。
ご期待ください。


退職金制度の設計における個人別支給額グラフについて

2011-03-08 09:45:21 | 企業年金・退職金制度

適格退職年金を他の制度に移行する場合も、また退職金制度を新しく作ったり、
退職金制度を改定する場合でも、個人別の支給グラフを作るようにしています。

従業員数が500人前後になるとイレギュラーな数字がかなり出てきて、きつい
のですが、300人くらいまでなら、対応するようにしています。

新旧の退職金支給率(定年及び自己都合)と新しい積立手段による積立金が
どのように推移するかを、個人別のグラフにします。

実際の作業は、エクセルの3つのシートを使います。
一つ目は、基本情報を入力、計算します。
二つ目は、支給率や掛金テーブルです。
三つ目が、個人別のグラフです。

一つ目と二つ目のシートの情報を3つ目のシートに読み込んでいく方法です。

この個人別グラフは、なんで必要かということですが、事業主に現行制度と改定後
の制度を見比べてもらうためです。
退職金規程に記載されている別表1、2、3等を、実際の従業員に適用して計算
するとどのようになるのか、将来の予測値が事業主のイメージや従業員の評価と
合っているか、また新しい制度と比較した場合ではどうか等を検証してもらうことが
目的です。

先にあげた三つのシートを作るのは、慣れてきたとはいえ、手間のかかる作業です。

たまに、退職金のコンサルティングは、退職金規程を作ることとか、初期分析は、
グラフをつくることとか言われるのですが、そんな単純なことではありません。
以上のようなことを言われると、正直このやろう と思います。

企業年金・退職金制度を維持するには、お金がかかります。
お金は数字ですから、数字はシミュレーションが必要で、それはグラフ化して
表さないとと分かりづらいです。

事業主との打ち合わせの結果、エクセル上での作業は、何度かやり直すことに
なります。場合によっては何度かではなく、何度も
きつい と思いながらも、事業主と従業員に顔を思い出して、ひたすら諦めず、
コツコツです。

良かった と言っていただける制度設計を目指して。。。


退職金の減額について

2011-03-01 09:21:09 | 企業年金・退職金制度

退職金の減額について、今でも心が痛い経験があります。

正確にいえば、これは退職金の減額というより、制度変更に伴うやむを得ない
減額です。

適格退職年金と中小企業退職金共済に加入している企業から、適年を中退共
へ移行したいということで、コンサルティングさせていただきました。
中退共は全員加入ではなく、役職者への功労金として使っていました。

適年を中退共へ移行するには、既契約の中退共を解約する必要があります。
解約手当金は、一時所得です。
そして、解約手当金は、過去に掛金助成を受けている場合は、その分だけ減額
されることになります。

問題になったのは、この掛金助成の減額分でした。

事業主からは、従業員へ説明は自分で行うので、資料だけ作ってほしいという
ことでしたので、そのようにしました。

中退共の解約についての説明が終わった後、一人の役職者から抗議の電話が
掛かってきました。
「懲戒解雇でもないのに、なぜ減額になるのか」という内容です。

ですよね。

事業主との打ち合わせを終えて、事務所に戻る途中の電車の中で、電話をうけ
ました。
とりあえず、次の駅にでおりて、冬の寒い日の夕方、風の強いプラットホームの
端で、約40分間話しました。

大変寒かったのですが、それ以上に、この従業員の言葉が、今でも心に痛いです。
「懲戒解雇でもないのに、なぜ減額になるのか
そう、そのとおりです。

減額といっても、数千円です。中退共の制度上やむを得ないことです。
といっても、受け取る側はそうではないということです。

制度変更する場合、98%は理解してくれても、2%は快く思わないというのは、普通に
あることです。
だからといって、2%を無視することはできません。

まして、減額せざるを得ない場合はなおさらです。
「会社が連続赤字だから」だけで済ませようと思ったら、落とし穴が待っています。

「懲戒解雇でもないのに、なぜ減額になるのか
は理不尽な抗議だと思うのですが、その一方で、あの時感じた心の痛みは、忘れては
いけないと思っています。

今回の記事は、以前にも書いた気がします。
再度書いたのは、適年の移行コンサルティングで、退職金制度を減額することになる
コンサルティングが続くためです。

この記事の件は、ちょうど今頃の季節でした。