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運用の違い・・・確定給付企業年金とDC掛金②

2008-05-29 10:47:30 | 確定拠出年金・企業型

前回のブログへの反論として、「確定給付型は運用のプロが行い、DCでは、
投資経験がない従業員が行う」ということが予想されます。

野球に例えるなら、DCは、9回裏でゲームセットになる時に勝っていればいい
普通のゲームです。
一方、確定給付型では、毎回勝っていなければいけないというルールが適用
されているゲームといえます。負けた場合はチーム全員での罰ゲームつきです。

もうひとつ、運用についての大きな違いは、確定給付型では、年金資産から
退職者に退職金を払いつつ、一定の利回りを確保しなければならないことです。
DC制度では、個人別の年金資産は複利運用されていき、原則60歳までずっと
運用が続きます。途中そこから配当を受け取ったり、お金を引き出したりできな
い仕組みです。
途中でお金が引き出されないほうが、運用成績はよくなりますから、DCの方が
確定給付型の年金資産の運用より有利です。

時には、1年に1~2ヶ月ただ働きをするか(←前回ブログ)、土日にインターネット
を使って、運用について勉強しながら60歳まで、自分の掛金や資産を運用する
方がいいか、皆様はどちらがいいとお考えになりますか?

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。

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運用の違い・・・確定給付企業年金とDC掛金①

2008-05-27 13:27:53 | 確定拠出年金・企業型

企業年金・退職金制度として、確定給付型がいいか、確定拠出型がいいかを
検討する場合、掛金を従業員が自分で運用するということをめぐって、判断が
分かれるようです。
確定給付型がいいというケースでは、年金資産の運用を企業が行うという点が
労使共に好ましいと考えてるようです。確定拠出型は従業員が自分で運用とい
うことがネックになるようです。

さて、確定給付型は企業が年金資産の運用責任を負うということですが、これは
事業主が負っているわけですが、従業員も全く無関係ではありません。
例えば、運用がマイナスとなった場合を考えて見ましょう。
期末に年金資産が10億円のなる想定が、委託先金融機関の運用がマイナスで
あったため1億円の積立不足が発生したとします。この1億円の不足分は、企業
利益から穴埋めしていくことになります。
企業利益から穴埋めするということは、事業主や経営陣だけが、その不足の1億
円のために身を粉にして働くのではなく、従業員全員が1億の穴埋めのために、
がんばらなくてはならないことを意味しています。

従業員が200人の会社の場合、1億円は1人当たり50万円です。
1人平均50万円の利益を出すために、通常より多く働かなければなりません。
別の表現をすれば、1か月から2ヶ月ただ働きをすることをが必要になるということ
です。

確定給付型のほうが、従業員にやさしい制度と、考えない方がいいでしょう。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


定年退職金と金融リテラシー

2008-05-22 11:43:25 | 企業年金・退職金制度

団塊の世代が定年を迎えてるので、定年退職金の運用について、金融機関
の宣伝が、ここ数年前から大分目につくようになった気がします。

「定年退職金は、○○%の運用だと○○年で底を着く。○○%だと○○年」

数字の上では確かにその通りだけれど、でも敢えて言わせて貰えば(これが
グログのいいところだ!)、定年まで預貯金しか知らなかった人が、定年後に
突然資産の運用など始めないほうがいいと思います。
働くことをやめた後の定年退職金は、“2度と取り戻すことができないお金”
です。元気で働いているうちは、多少の失敗は取り戻すことができます。でも
働くのをやめてしまった後では、そうはいきません。
定年後の収入は年金と退職金なので、その退職金の運用を勧められて、リ
ターンを期待するあまりリスクも取ってしまうということは、賢明な判断とは
いえないと思います。
少なくとも、金融機関の窓口での説明だけでなく、まずは、ご自分で勉強され
るのがいいと思います。う~ん面倒だと思われるなら、今年も全国で行われる
FPフェアにお出かけになるのもいいでしょう。また、金融機関が無料で行って
いるセミナーを利用してみるのもいいと思います。その金融機関の姿勢やサー
ビスを確認できますから。

金融リテラシー(読み・書き・計算能力)は、一朝一夕には身につきません。
若いうちからDC制度に親しむことは、金融リテラシーの獲得に役立つと思い
ます。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


確定拠出年金制度の投資教育、事業主の心配

2008-05-20 09:39:53 | 確定拠出年金・企業型

確定拠出年金制度では、投資教育が必要です。事業主の努力義務をされ
ていますが、確定拠出年金の開始に当たっては、事業主負担で投資教育
が行われるのが一般的です。更に、確定拠出年金を導入したあとも、事業
主負担で継続投資教育が行われるようになってきています。

この投資教育について、というよりは確定拠出年金制度について、否定的
な事業主が、結構多いようです。その方たちのお考えは、「うちの社員には
無理。そんなことはさせられない。」という、いわば過保護の立場から、「掛
金の運用を就業時間中に行われては困る。」といった過剰な心配まで、いろ
いろです。
が、そういう事業主に共通しているのが、株式投資の経験が、かなりおあり
になるということです。そして、DC制度の投資教育を、株式投資と同じだ思っ
ているようです。それも株取引における、玄人的な方法=相場を読むみたい
な事と勘違いしてるように思います。
だから、「そんなことはうちの社員には無理。」「仕事に差し障るほど熱中され
ては困る。」ということになるようです。
今年1月以降のブログで、投資教育をご紹介してありますが、DC制度の投資
教育は、玄人的な株式の売買とは違います!!

自分の会社の社員に対して、過保護もいいですが、10年、20年、40年と会社
が右肩上がりで成長していく自信が、おありでしょうか?
DCによる退職金は、会社が潰れてもそれまでの退職金は既に掛金として支
給済ですので、社員に対する責任は果たしていることになります。

なによりも、社員の方々は、皆優秀ですよ。中小企業の社員は、本当に優秀
だと思います。これは、いろいろな企業にお伺いしての、実感です。
DC制度の投資教育への心配は、いらないと思います。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


確定拠出年金、事業主のメリット

2008-05-15 10:33:19 | 確定拠出年金・企業型

少し前ですが、「確定拠出年金 事業主のメリット」という検索ワードで、私の
ブログを訪問してくださった方がいました。
事業主にとって何がメリットか?もう一度自分なりに整理してみました。

退職給付制度に確定拠出年金を導入する事業主のメリットは、一般的には、
確定拠出年金は、退職給付債務の認識がいらない制度という事になります。

確定給付型(確定給付企業年金、厚生年金基金、適格退職年金)の企業年
金制度では、退職給付債務-年金資産(確定給付型の企業年金の積立金)
=退職給付引当金となります。この退職給付引当金は、貸借対照表の固定
負債に計上することになりますので、企業の利益や自己資本率に影響を与え
ます。
また、確定給付型の企業年金は、運用利回りという事業主がコントロールでき
ないリスクに晒される制度です。利回りの悪化は、企業業績の足を引っ張り、
従業員の昇給や賞与へも影響してきます。

確定拠出年金は、そういったこと心配がない制度です。
10年、20年あるいは、40年60年というスパンを考えたら、確定給付、確定拠出
のどちらを選択すべきかということになります。

新入社員が入社してから企業年金制度が、この社員に負っている責任期間は、
定年まで40年、そして企業年金を受取る期間を入れると60年です。60年企業
が、常に右肩上がりで成長していくとは限りません。

確定拠出型の制度は、掛金を拠出することによって、確実に従業員へ退職金を
支払う制度です。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


中退共と退職給付会計

2008-05-13 11:53:09 | 中小企業退職金共済

退職金制度に中小企業共済を使っている場合の会計処理について、
ネットで検索しておられる方が、何人か私のブログを訪れてください
ました。
もともと確定拠出年金制度や中小企業退職金共済制度は退職給債務
の認識がいらない制度です。しかし、訪問してくださった方の会社では、
退職金制度の内枠に中退共を使っているケース、つまり、退職金制度
が退職一時金と中退共ということだと思います。
そして、退職給付会計を導入していて、それが簡便法ということです。
このようなケースでは、以下のように会計処理をします。

①退職給付債務
  退職金規程に基づき、期末自己都合要支給額で計算します。
②中退共の退職金額
  中退共は退職給付債務の認識がいらない制度です。
  退職給付債務を計算する時には、中退共による積立額を控除します。
  そのためには、加入者である従業員の中退共での退職金額を決算月
  に受けとれるように中退共に頼んでおくと、計算し郵送してくれます。
③退職給付引当金
  ①から②を控除した金額です。

以上、中退共が退職金制度の内枠で、簡便法による退職給付会計の場合
の会計処理です。
お役に立ちましたでしょうか?


コメントでご指摘いただいている点につき、6月24日に内容を訂正いたしま
した。6月24日のブログにも、その旨書いてあります。
コメントを寄せてくださり、ありがとうございました。(2008.6.24)

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生命保険大手7社の団体年金の運用利回り

2008-05-07 12:59:37 | 企業年金・退職金制度

生命保険会社大手7社が企業年金から運用を受託している団体年金(特別勘定)
の2007年度の運用利回りが、平均マイナス14%超であることが分かりました。
各保険会社の団体年金の利回りは以下のようになっています。

大同生命  マイナス13.14%
第一生命  マイナス14.22%
富国生命  マイナス14.29%
日本生命  マイナス14.44%
三井生命  マイナス15.60%
明治安田  マイナス15.96%
住友生命  マイナス16.02%
 平均   マイナス14.81%

この運用利回りは、適格退職年金を確定給付企業年金に移行を検討するときの
参考になります。
平均がマイナス14,81%なので、この数値を使って説明すると、年金資産が10億で、
確定給付企業年金の運用利回りを2%としていた場合、期末に10億2千万円に増え
るべきところが、8億5,190万円に減ってしまったということです。
差額の1億6,810万円を取り戻すには、通常は何年もかかります。
マイナス運用が続いた場合には、不足額の穴埋めのため、企業の利益が圧迫され
ることになります。