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8月20日の日本経済新聞の「適格退職年金の移行」に関する記事について②

2008-08-28 08:33:59 | 適格退職年金

先週20日(水)、日本経済新聞の[経済1]面に載った、適格退職年金の移行に
関する記事についての続きです。

適年の移行プランとして、あるいは退職金制度として養老保険のハーフタックス
を使う事の問題点は、退職給付会計の問題と、従業員の退職金の受給権の問
題があります。

退職給付会計の問題については、26日のブログで書きました。

受給権の問題は、一つは、外部積み立てで、退職時には企業を通さず金融機関
から従業員が直接受けとれた退職金が、保険商品では保険会社から一旦企業
にお金が支払われた後で、企業から退職金が支給されることです。
退職金の受給権としては、後退しています。
適年の移行を、保険会社と組んでやっている社会保険労務士さんも多いです。
この受給権の問題、いいんでしょうか?気になりませんか?

受給権の問題の二つ目は、企業が基金繰りに困った時は、養老保険は解約され
てしまうことになります。退職金の支給原資がなくなってしまいます。
保険会社は、養老保険ハーフタックスプランを中小企業に向いているとして、お勧
めするようです。税理士さんでもそういう方がいらしゃいます。
が、中小企業だからこそ、養老保険は使ってはいけないのです。
大企業でもそうですが、まして、中小企業では企業が存続の危機に晒されること
が、長い間にはあるわけですから。
企業の資金繰りのために保険商品を使うなら、役員退職慰労金で使うべきです。
従業員の退職金制度を設けているのなら、合理的に準備できる方法を採用すべき
です。
それから、養老保険を提供した保険会社が、20年から40年経営内容が変わらず
存続する可能性についても、考えてください。中小企業では一般的に従業員の
勤続年数が短いですが、でも長い人で20年から40年は勤めます。保険商品で
退職金を積み立てるということは、そういうことです。
いや、うちは、勤続年数が10年未満がほとんどだから、問題ない?いえあります。
10年未満で解約すると、払った保険料より少ないお金しか戻らないことになります。

さて、日経の記事の問題の一つ目は、保険商品についてでした。
二つ目は、記事の下から二つ目の段の終わりの方に、「確定給付や確定拠出の
年金制度設計に最低でも2年かかる」という記載です。
これは、ちょっと大げさかなと思います。これを読んだ中小企業の担当者は、腰が
引けてしまいますよね。「2年も掛かる?!」そんなには掛かりません。
制度設計や移行手続きで大体1年前後です。

この記事を読むと、手間が掛かるのはいやだから、適年の移行は保険商品でやろう
かという結論になりそうです。

とんでもないです。

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8月20日の日本経済新聞の「適格退職年金の移行」に関する記事について①

2008-08-26 10:16:30 | 適格退職年金

先週20日(水)、日本経済新聞の[経済1]面に、適格退職年金の移行に
関する記事が載りました。
「他制度移行いまだ6割、負担重く、中小及び腰」というタイトルです。

さて、この記事には、二つほど問題点があります。
一つは、下から2段目の5行目、「日本生命は、払った保険料の一部が
損金扱いになる法人保険への移行などで、ピーク時に1万6千弱あった
契約を6千まで削減」というところです。
日生は、ほとんどの適年を養老保険ハーフタックスにしてしまった、とい
うことになります。まさか!ということで、この記事を鵜呑みにすることは
できませんが、適年の移行プランとして、養老保険ハーフタックスプラン
をかなり使っているということです。
「適年の移行を保険商品で」、という提案は、外資系の保険会社のものが
目に付きますが、実は、日本社が一番やっているのではないかと思ってい
ました。やはり、そうか、です。但し、これは日経の記事が、事態を正確に
報道していればの上での話です。

このブログで、何度も繰り返し書いてきましたが、適年の移行に、使って
はいけない商品は、保険商品です。
退職給付会計上、保険商品の積立金は年金資産とはなりませんので、
企業にとっては引当金(退職給付引当金)と保険料と二重にコスト負担を
することになります。
「中小企業は退職給付会計など関係ないからいいんだ」、と言うご意見も
おありと思いますが、そうもいっていられないようです。

金融庁の銀行などの金融機関に対する調査では、お金を貸している企業
に対して、退職給付債務を把握して決算書を見ているかどうかを指摘される
ようです。つまり、企業としては退職給付会計を採用していなくても、銀行は
企業にお金を貸す時、退職給付債務の計算をして決算書を評価しているの
です。

退職給付債務の計算をして、年金資産として積み立てているお金が全然な
いと、債務はそのまま引当金となります。この引当金(退職給付引当金)は
有税での引き当てで、固定負債に計上されます。そうしたら、債務超過!
ということもあります。
でも、うちは養老保険で退職金を準備しているので、といってもダメです。
保険商品は、退職金の支払いのための積立金=年金資産とはなりません。

                                  →続く

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TLC(生命保険協会認定FP)会の機関誌で、「適年移行ハンドブック」が紹介されています。

2008-08-21 10:39:10 | 適格退職年金

生命保険協会認定FP会、略称TLC会の機関誌で、「適年移行ハンドブック」を
紹介していただきました。この8月25日発行されます。

TLC会とは、トータル・ライフ・コンサルタント会といいます。
生命保険協会が実施する試験のうち、一番レベルの高いの試験に合格している
人達の集まりで、一口に言えば、キチンと勉強をした、しかも成績優秀な人達の
集まりです。詳しくお知りになりたい方は、下記ホームページでご覧になれます。

http://www.tlc.gr.jp/index.php

さて、このTLC会の機関誌に「退職給付会計」ついての連載記事を、書かせて
ほしいと提案いたしました。「退職給付会計」については、保険業界の人達は、
一部の人しか知らないようで、気になっていました。
その記事が「退職金制度の準備手段として保険商品を提案する前に、おさえて
おきたい退職給付会計」というタイトルで、3回の連載として採用されました。
この記事と併せて、「適年移行ハンドブック」の紹介を載せていただいています。

正直、TLC会の機関誌で、「退職給付会計」を取り上げてもらえるか、不安も
ありましたので、嬉しいです。

また、私も会員になっているメンターネットワークでも、「ハンドブック」を紹介して
いただいています。
メンターネットワークは、全国最大規模で展開している異業種の専門家組織です。
ホームページは、

http://www.cyber-mentor.org/  です。

「ハンドブック」の紹介は、ホームページ→メンターナビ→書籍紹介で、ご覧いた
だけます。こちらには、「ハンドブック」の表紙の写真も載っています。


昨日の日本経済新聞で、適格退職年金の移行に関する記事が出ました。
経済1のページです。ご覧になられた方も多いと思います。この記事に
関連したと思われる検索ワードで、私のブログを訪問してくださった方々
もいるようです。
さて、この日経の記事ですが、適切でない説明があります。これについて
は、来週のブログでお伝えします。


6月26日から7月10日まで、5回にわたりお知らせした、「適格退職年金の
移行先の選択に失敗しない、中小企業のための適年移行ハンドブック」
は、適年の移行を検討する場合の注意点をまとめたものですが、退職金
制度を考える上でも、参考になると思います。
A5版、48ページ、500円(税込)で発売中


送料は、変更しました。同じ送料でもう少し冊数を増やして送れることが
わかりました。7月10日号で、送料については変更してあります。

お申込は
①送付先ご住所
②お名前
③お電話番号(なくてもかまいません。)
④必要部数
をお書きの上、下記メールアドレスまでお願い致します。

goo0218_2007@mail.goo.ne.jp

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「適年移行ハンドブック」の評判は、概ね好評でほっとしています。

2008-08-19 08:33:55 | 適格退職年金

「適格退職年金の移行先の選択に失敗しない 中小企業のための適年移行
ハンドブック」を発売して1か月になりました。お読みいただいた方々の感想は、
概ね好評で、ほっとしています。

そこで、少しでも多くの人に読んでいただきたいと、ブログや知り合いを通じて
という方法以外のところへも、販促活動を行いました。
まず、厚生年金基金の総合型基金でメールアドレスが分かるとことにはメール
を送り、ファックス番号が分かるところには、ファックスを流しました。
→今のところは、何の反応もありません。

次は、日本FP協会が毎月発行しているFPジャーナルのBOOKレビューという
書籍紹介欄で取り上げてほしいと頼みました。(AFP資格を持っていますので。)
これは断られてしまいました。一般の書店で手に入らないものは扱わないという
ことでした。しかし、常に前向きがモットーなので、ここで引き下がらず、FP協会
の担当者に会いに行きました。
「退職給付会計と適年の移行という観点からの記事はFPジャーナルには掲載さ
れていないと思うので、その点から再考してほしい」と話しました。
→が、やはり自費出版は取り上げられないということでした。
 お話を聞いていただいたご担当者には、感謝しています。

しかし、この程度のことでは、くじけないです。

次は、東京都庁にある記者クラブに宣伝に行きました。
幹事会社の方は不在でしたが、副幹事会社の了解を頂いて、記者クラブ所属の
報道各社に宣伝チラシ配布と見本の「ハンドブック」を預けてきました。
→こちらも今のところ、何の反応もありません。
 「ハンドブック」を宣伝してほしいという大それたことは考えていません。
 適年の移行について、注意を喚起する記事を書いてほしいのです。

そんななか、保険業界の団体であるTLC会が8月中旬に発行する機関誌に紹介
が載ることになりました。
               →続く 


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適格退職年金の移行時における従業員への説明②

2008-08-14 10:19:29 | 適格退職年金

適格退職年金の移行時や退職金制度変更時における従業員への説明は、
どの程度必要でしょうか?

極論ですが、
A:企業の業績不振により、やむを得ず退職金の減額を行う場合、事業主
  が従業員に向き合って、丁寧に説明をする。
B:適格退職年金を中退共へ移行、退職金の支給額は変更にならないの
  で、従業員への説明は、回覧板あるいは食堂への掲示で済ませる。
では、Aの方が、従業員の納得度は高いと思います。

中小企業では、なかなか社員教育を行う時間もなく、事業主の経営ビジョン
を伝える機会も少ないです。
適年の移行や退職金制度の変更は、当然事業主の考えが反映されることに
なりますので、事業主の経営ビジョンを従業員へ示すいい機会です。

投資教育や個人相談会の費用に目をむき出した事業主さんも終わってみると、
従業員が満足している様子を知ることができ、費用に納得してくれます。

従業員としては、事業主が適年の移行に際して、きちんと向き合ってくれた、
掛金の運用を始めるにあたって不安がないように、投資教育にお金を掛けて
くれたということが、大きいようです。

コンサルティング費用は、これまでの経験では、適年を確定拠出年金へ移行
したことにより、退職給付引当金の負担が減少したなど、企業の負担が減った
金額以上にはなりません。


適格退職年金の移行でお悩みなら、是非ご相談ください。
退職金制度、適格退職年金の現状分析、初期診断とコンサルティング費用の
お見積もりまでは無料で行います。
下記メールアドレスまで、ご連絡ください。

goo0218_2007@mail.goo.ne.jp

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適格退職年金の移行時における従業員への説明①

2008-08-12 10:37:56 | 適格退職年金

適格退職年金を他の制度へ移行したときや、退職金制度を変更した時に
おける従業員説明会の重要性についてです。

適格退職年金を確定拠出年金に移行する場合には、基本的には、従業員
全員の同意が必要です。確定給付型であった適年が確定拠出型の制度に
変更となり、従業員が自分で掛金の運用を行うことになるためです。
もちろん労働組合の同意に替えることも可能です。

そして更に確定拠出年金制度では、制度導入時に投資教育が必要となり
ます。

このふたつ、退職金制度変更についての従業員へ説明と投資教育は、説明
会を開催することになるので、コストがかかります。従業員数が多く、事業所
が何箇所にも分かれている時は、それだけコストが嵩みます。
(なお、従業員同意は事業主の仕事です。)

弊社でのコンサルティング費用では、制度設計より従業員への説明や投資
教育のほうが高くなります。
それを見て、気に入ってくれる事業主さんは、まずいません。
投資教育セミナーだけでは個人々々の理解度に差がありますので、1人30分
程度の個人相談をいれると、導入時コストは更に高くなります。

それを見ると、大抵の事業主さんは、「君は何でこんな金額の見積りを持って
くるのか?」ということになります。
このような場面では、効果がまだ見えないことに対するフィーについての説明
に、苦労することになります。
                       →続く

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従業員退職金、役員退職慰労金の準備と保険商品②

2008-08-07 10:05:15 | 保険商品

中小企業では、創業社長に退職慰労金を支払ったために赤字に転落した、
従業員退職金を養老保険で準備していたが資金繰りに困り使ってしまい、
従業員の退職金が払えない、といったことをよく耳にします。

保険会社の営業トークで、「確定拠出年金や中退共では、従業員に直接
お金がいってしまいますよ。」というのがあります。
いいんです。従業員に払わなければいけないお金が支払われるだけです
から!
従業員の退職金の積み立てを保険商品で行うと、利益の繰り延べ、内部
留保ができますというのも、保険の営業トークです。
利益の繰り延べや内部留保のために保険商品を使うのは、役員退職慰労
金で行うのが筋だと思います。

従業員退職金を確定拠出年金制度とするのと、保険商品で準備するのを
比べてみると、確定拠出年金で準備する方が、コストが掛かりません。
中小企業向きの確定拠出年金・総合型は手数料が大変安く設定されてい
ます。コストが減った分は、役員退職慰労金の原資に回せます。
シミュレーションすると分かります。


6月26日から7月10日まで、5回にわたりお知らせした、「適格退職年金の
移行先の選択に失敗しない、中小企業のための適年移行ハンドブック」
は、適年の移行を検討する場合の注意点をまとめたものですが、退職金
制度を考える上でも、参考になると思います。
A5版、48ページ、500円(税込)で発売中

お申込は
①送付先ご住所
②お名前
③お電話番号(なくてもかまいません。)
④必要部数
をお書きの上、下記メールアドレスまでお願い致します。

goo0218_2007@mail.goo.ne.jp

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従業員退職金、役員慰労退職金の準備と保険商品①

2008-08-05 06:31:50 | 保険商品

従業員退職金と役員退職慰労金の違いについてです。
文字通りの違いがありますが、一番注意したいのは、従業員退職金は
企業にお金がなくても払わなければいけないけれど、役員退職慰労金
は、企業にお金がなければ払わなくてもいいということです。

従業員退職金は、就業規則や退職金規程の定めがある場合には、それ
に則り必ず退職金を支払う責務が事業主に発生します。
業績が振るわないからといって、事業主が退職金を一方的に減額する
ことは、労働条件の不利益変更になります。

一方、役員退職慰労金に支給に際しては、株主総会の決議が必要です。
慰労金の金額については、会社の定款の定めるか、株主総会の決議に
よって決まることになります。
企業に利益が出ていない時は、当然役員退職慰労金の支給は制限され
ることになります。

では、保険商品はどちらの制度を準備するのに向いているでしょうか?
いうまでもなく、役員退職慰労金です。
支払うべきお金がないと、払えない役員退職慰労金を準備するのに、
保険商品は適しています。

従業員退職金は、退職金規程がある場合にはとにかく払わなくてはいけ
ないのですから、合理的に準備できる制度が適しています。
つまり、掛金が損金になる社外積み立ての制度、確定拠出年金や中小
企業退職金共済です。
                →続く







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