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適年から簡易型DB(確定給付企業年金)への移行に際して必要な従業員の同意

2010-05-27 09:42:22 | 適格退職年金

簡易型DB(確定給付企業年金)が、適年の移行先として、生命保険会社から
提案されることが増えているようです。

簡易型DBは、中小企業退職共済に似ている制度です。

簡易型DBは、
①掛金建ての制度
②適格退職年金の積立金しか移換できない
③簡易型ではないDBで必要な数理計算がいらない
④移行に手間がかからない
⑤手数料が比較的安い
ことです。

上記①と②が、中退共と似ています。

が、②に関する手続きには、大きな違いがあります。

適年から中退共への移行では、適年を解約することになるので、従業員の同意は
必要ではありません。→但し、従業員への説明は必要ですが。。。

一方、適年から簡易型DBへの移行では、適年の積立金と同額まで責任準備金を
減額することになります。
このため、以下どちらかの従業員同意が必要です。
①加入者の2/3で組織する労働組合の同意
②加入者の2/3以上の同意(+加入者の1/3以上で組織する労働組合がある場合
 は、その労働組合の同意)

従業員同意は、事業主の役目です。生命保険会社はやってくれません。

適年の減額分に関しては、養老保険ハーフタックスプランの提案が行われて
いるようです。

適年の移行先として、簡易型DBを提案されていて、なんとなく  と、
疑問を感じている場合には、ご相談ください。

ご質問やお問合せは、メールまたはお電話で。
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適年の積立金が要支給額を上回っている場合には。。。

2010-05-25 09:19:44 | 適格退職年金

適格退職年金の積立金(=年金資産)が、自己都合要支給額を上回っている
ケースがあります。
適年の移行先を企業型・確定拠出年金や中小企業退職金共済にすると、自己
都合退職金以上の金額が従業員へ分配されてしまいます。

これは、事業主からすると、好ましい状況ではありません。

適格退職年金制度では、定年退職金を目指して、数理計算し、積立を行って
いきます。従業員の勤続年数が短かったり、退職金の支給率が会社都合(定年
時の支給率)と自己都合で開きがある場合に、運用難が続いたにもかかわらず、
適年の積立金が自己都合要支給額を上回ることがあります。

このようなケースでは、退職金制度を見直して、作り変えることが考えられます。

もうひとつの方法は、適年の保険料の支払いを、積立金が要支給額と同額になる
まで、適年の保険料を払うのをやめてしまうことです。
払済保険にするという手続きをとります。

払済保険の問題点は、適年の積立金が要支給額と同額になった時に解約して、
企業型DCや中退共に移行する時、保険料の支払いを止めていた分の保険料を
一括して支払うように、保険会社から求められることもあることです。

確定拠出年金の、ある運営管理機関の方のお話では、解約時に払済期間中の
保険料の一括支払いを求めてくる保険会社と、それは問わない会社があるそう
です。

払済期間中の保険料を後で一括で払っては、何の効果もありません。
保険会社との交渉が必要ということです。

適年の積立金が要支給額以上の場合は、とにかく早めに手を打ってほうが
いいです。今すぐ着手でないと間に合わないですよ

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適年から中退共へ移行、中退共の掛金を5千円・1万円等の定額設定には、ご注意ください。(2)

2010-05-20 06:45:13 | 適格退職年金

最近以下のような問い合わせがありました。

「適年から中退共へ移行するので、適年委託先の生命保険会社に証明書※の
発行を依頼したら、適年から中退共への移行時の掛金を5千円と1万円にして
持ってきた。これでいいように思うがどうだろうか?」

当然、保険会社には、養老保険を組み合わせたいという思惑があります。
保険料が多くとれますから。。。

でも、この問い合わせの背景は、「従業員に説明する時、説明しやすい」という
ことでした。

適年から中退共への移行では、適年の資産を加入者別に分配した持分額と
適年の受益者であった月数から、月数を優先させて計算し、適年の移行時の
掛金を決めるというルールがあります。
中退共で作ったもので、その通りでなくても、もちろん大丈夫なのですが。。。

中退共のルールでは、縦軸(左側)に月数があり、横軸(上)に掛金額があり、
その下に積立額が記載されている一覧表を使って計算します。
受益者であった月数を縦軸から選択し、その横の積立額を見て、一番近い積立額
のところを上にたどっていき、移行時の掛金を決めることになります。
ポイントは、月数、積立額、掛金の順にみるということです。
この方法で行うと、適年の持分は、ほとんど中退共の掛金の積立額となります。
但し、余りの金額がでます。適年の積立方法と中退共のそれが違うためです。
この余りの金額が、『残余の額』です。

ですから、移行時の掛金は、従業員ごとに異なりますので、5千円とか1万円とか
の定額にはなりません。
5千円や1万円の定額掛金の場合は、まず掛金ありきでの計算で、『残余の額』が
多くなります。

『残余の額』は、従業員が退職するまで中退共で預かり、1%(現行利回り)の
利息を付けて、退職時に従業員に支払われます。

だったら、いいじゃないか
中退共のルールで計算して、移行時の掛金がばらばらになるより、定額のほうが
従業員に説明しやすい

ちょっと待ってください
『残余の額』には、付加退職金がつかないですよ。
付加退職金というのは、利回りが1%以上になった場合、そのうちの一定割合を
基本退職金に上乗せするものです。『残余の額』にはつきません。

従業員(というより誰でもそうです。もちろん私もですが。)は、本来受け取れる金額
より少しでも少ないと、いやだと思います。

保険会社の思惑や説明の手間を優先させた判断は、感心できません。

※証明書とは、『適格退職金計約を締結していたこと等の証明書』といいます。
 適年の加入者であった従業員ごとに、受益者であった月数と持分額を記載
 したものです。







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適年から中退共へ移行、中退共の掛金を5千円・1万円等の定額設定には、ご注意ください。(1)

2010-05-18 07:05:22 | 適格退職年金

適格退職年金の制度廃止まで、後2年となりました。
制度終了までに移行が終わらないと、最悪強制終了というパターンも
ありそうです。

急いで移行しないと、ということで、標記のように、適年から中退共への
移行時に、中退共の掛金を5千円あるいは1万円と定額で設定するやり方
には、注意が必要です。

上記の方法は、養老保険のハーフタックスプランと組み合わせて提案され
ることが多いと思います。

なぜそうなるのかというと、中退共の掛金は、適年からの移行に際して、
掛金テーブルを作るのに、使いずらいということがあります。

退職金の支給カーブは、たいていS字カーブを描きます。このS字カーブに
合わせて、中退共の5千円以上3万円まで16種類(1千円あるいは2千円
刻み)の掛金で、退職金の支給カーブと同じS字カーブは作れません。

ですから、従業員の持分に関係なく、全員定額の掛金として、間尺に合わ
ない金額は「残余の額」にしてしまい、養老保険を組み合わせると、なんと
なく移行ができたように見せることができます。

上記のようなやり方での移行はしないほうがいいです。
過去に、保険会社から提案されていた、適年を中退共と養老保険にする
プランのコストを半分以下に抑えた内容で、移行後の制度設計ができた
案件がありました。

既に適年を中退共と養老保険に移行しているケースや、現在同様の
提案をされているケースは、是非ご相談ください。
簡単な分析とシミュレーションは無料です。

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経費削減、業務改善は、退職金制度の見直しが有効です。

2010-05-13 09:58:02 | 企業年金・退職金制度

新年度を迎えて、経費削減あるいは業務改善に取り組もうとしている企業も
多いのではないかと思います。

経費削減には、退職金制度の見直しが有効です。

個人の家計管理・診断において、生命保険の見直しが有効なのと同じです。

退職金制度の見直しといっても、いきなり退職金の削減をするというのでは
ありません。退職金の準備手段を変更するだけでも効果があります。

まずは、現行制度の分析をしてみる必要があります。

最近退職金制度の見直しをお手伝いした案件は、積立手段が養老保険
  のハーフタックスプランでした。従業員が入社するとすぐに養老保険に加入
  するようになっています。現状分析を行ったところ、この会社では3年で社員
  の1/3が退職します。つまり、養老保険は入社後3年以上の従業員に掛け
  ればすむということです。会社は利益を出しているので、保険会社としても
  人員構成には頓着せずに、提案したようです。
  この例では、コンサルティングの結果、年間保険料の1/3を削減できました。
  また、保険会社が作ってきた退職金規程を見直し、事業主の意向に沿った
  内容に変更しました。

さて、業務改善ですが、これは、退職金制度の変更の際、従業員への説明や
同意の取り付けとともに行うと効果があります。
なぜ退職金制度の変更をするのか、どういう仕事を期待しているか、これから
の退職金のうち一定割合は貢献度を加味して払うので、それはどう評価するか
といったことの説明は、業務改善につながっていきます。

退職金制度の変更は、単に退職金規程を変更することではありません。
  経営の効率化の一環、事業計画として捉えて行うことが大切です。
  適年の移行においても、同様であることは、言うまでもありません。

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退職給付債務はなぜ重要か?

2010-05-11 09:53:58 | 企業年金・退職金制度

退職給付債務は、なぜ重要か?

なぜでしょうか?

企業年金・退職金制度のコンサルティングでは、基本的な資料※を
お預かりして、最初に、制度の初期診断(原則的に無料)を行います。

このうち、ポイントの一つは、退職給付債務です。
通常は、期末自己都合要支給額で計算します。
退職給付債務を10年分シミュレーションして、グラフ化し、事業主に
お見せします。

たいてい、退職給付債務は10年で倍くらいに増えます。

「この債務の推移は、今後の企業業績から見て、いかがでしょうか?」
ということです。

「厳しいね」と、感想を述べられる事業主が多いです。

では、どうするか?が、出発点になります。

企業年金・退職金制度の改定というのは、退職金規程の作り直しと
いう観点でとらえると、それは違います
(もちろん、規程の作り直しも含まれますが。。。)

退職給付会計、引当金の決算書の与える影響、保険商品の積立金は
年金資産とはならないといった論点も重要です。
が・・・
   ↓
『退職給付債務は精算されずに長期間の負債として積み残る人件費』
として認識することが大切です。

企業年金・退職金制度の変更のポイントは、
『経営の効率化の一環、事業計画として捉えることです。
 単なる退職金規程の変更ではありません

※[お預かりする基本的な資料]
 従業員名簿と必要事項
 就業規則、
 退職金規程
 加入している企業年金の資料
 企業の決算書 等

 上記資料のお預かりに際しては、『お預かり証』と『秘密保持契約書』
   を作成し、お渡しします。

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退職金規程はないけれど、退職金の支払い実績がある場合・・・引当金の計上は必要か?

2010-05-06 09:30:24 | 企業年金・退職金制度

退職金規程はないけれど、過去に退職金の支払い実績がある場合は、退職給付
引当金の計上が必要かどうかですが、『中小企業会計の指針』では、以下のように
述べています。

「退職金の支給実績があり、将来においても支給する見込みが高く、その金額が
合理的に見積もることができる場合には、重要性がない場合を除き、引当金を
計上する必要がある。」

これは、退職金の支払いに法的債務を負っていると考えられるためです。

上記のようなケースでは、退職金規程を作成することをお勧めします。

退職金規程はないけれど、退職金の支払い実績があるという会社は結構あります。
そして、なんかわからないけれど、養老保険のハーフタックスプランを契約している
ということも、結構あります。
そのうえ、銀行が企業型の確定拠出年金制度(総合型)を売り込もうとしていたり
となると、この会社の退職金制度は、事業主と従業員のものではなく、金融機関
のものになってしまいます。

退職金制度は、一度作ると簡単にはやめられないので、積立手段ありきから始め
ないほうが賢明です。

退職金制度を作るときは、
①事業主のお考え、経営方針、ビジョン等
②財務状態、将来の利益水準
③従業員の構成
④現行の給与制度
をお聞きして、現状分析をすることから始めます。

自社の制度に不安がある場合は、是非ご相談ください。

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