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適年移行ハンドブックの出版の理由

2008-06-26 20:52:08 | 適格退職年金

「適年移行ハンドブック」を作ろうと思ったのは、実は今年始めでした。
ある出版社に企画案を出したのですが、取り上げてもらえませんでした。
そこで、自分のとこで作ってしまおうと、思いついたのです。

コンセプトは、
 「税制適格退職年金の2012年3月末の制度廃止まで、
  あと4年未満となりました。適年の移行は進んでいる
  のかというと、そうでもありません。
   なぜ、進まないのか?
  ひとつには、適年を受託している金融機関によって、
  適年の移行に関する取り組みに差があるように思い
  ます。 企業規模や適年の規模が大きい会社には熱
  心だけれど、規模の小さい会社へは、ほとんど情報が
  提供されていない、つまり、提供されている情報では
  ないかという気がします。
   もうひとつは、企業サイドの問題があります。企業の
  適年の移行を検討している部署(通常は総務部)の人
  数が少なく、検討するにしても人手も時間もないという
  ことがあるようです。
   このパンフレットは、そういった中小企業のために作り
  ました。適年の移行に関して、いろいろな企業の担当者
  から質問されたことを参考にしています。
    企業の担当者はもとより、事業主、労働組合の役員、
  商工会議所、商工会の職員の方々の参考になることを
  願っています。
    そして、中小企業の事業主、総務・経理の担当者と会
  う機会の多い、金融機関の皆様にもご利用いただければ、
  幸いです。」
といたしました。


7月10日頃、発売予定です。
 *A5版
 *約50ページ
 *500円(税込み)

お申込は
①送付先ご住所
②お名前
③お電話番号(なくてもかまいません。)
④必要部数
をお書きの上、下記メールアドレスまでお願い致します。

goo0218_2007@mail.goo.ne.jp





過去のブログの訂正を行いました。

2008-06-24 14:25:38 | ブルグの紹介

先週、「中小企業のための適年移行ハンドブック」の発行のお知らせを
致しました。このパンフレットの原稿を校正していて、過去のブログの表
現が間違っていたり、不十分であったりということに、気がつきました。
よって、3箇所(3回分)の訂正を、行いました。

1)4月15日・・・「退職給付債務③・・・原則法」
                   n                   n
  計算式の部分(1/1+割引率)  →   {1/(1+割引率)}

2)4月17日・・・「退職給付債務④・・・簡便法」
  ②の文章の中で使っている「平均残存年数」→「平均残存勤務期間」

3)5月13日・・・「中退共と退職給付会計」
  ②年金資産→内容が正しくありませんので、訂正いたしました。
   5月13日のブログをご覧下さい。

「中小企業のための適年移行ハンドブック」は、適年の加入者が2008年
3月末で、まだ442万人もいるということは、私自身驚きの数字だったので、
それを切欠に作ろうと思いました。
でも、何よりも、自分自身がもう一度知識の確認をするのに役立ったみた
いです。今日もまだ校正中です。
「間違いがないだろうか?」「分かりやすいだろうか?」「読みやすいだろ
うか?」、そして、そもそも、買ってくれる人はいるのかと心配しながら。。。


適年移行ハンドブックの出版についてのお知らせ

2008-06-19 10:21:16 | 適格退職年金

いつもブログをお読み下さり、ありがとうございます。

このたび、「中小企業のための適年移行ハンドブック」を出版することに
いたしました。

適年の制度廃止まで、あと4年を切っているのに、移行が順調に進んで
いるとはいえません。
適年の移行先のうち中小企業退職金共済以外の確定拠出年金、確定
給付企業年金は新しい制度です。特に確定拠出年金は、これまでなじみ
のない制度ですので、理解する、納得して採用するということには時間が
かかります。
企業の、適年の移行を受け持つ部署は、通常総務部ですが、中小企業
では、人がそんなに配置されているわけではありません。1人ということ
も少なくありません。どうしていいか、悩んでいるのですが、先に進めない
ことが多いようです。

ハンドブックの内容は、今まで中小企業の事業主、担当者とお話した内容
や、このブログはどのような検索ワードにより見ていただいているかを参考
にして作りました。

A5版、約50ページで、定価は500(税込)です。

できましたら、またご案内いたします。
一人でも多くの方の手に渡りますよう、願っております。


お申込は
①送付先ご住所
②お名前
③お電話番号(なくてもかまいません。)
④必要部数
をお書きの上、下記メールアドレスまでお願い致します。

goo0218_2007@mail.goo.ne.jp

◆5月13日グログの記事の訂正◆
5月13日のブログ「中退共と退職給付会計」の内容について
6月9日にコメントを頂戴いたしました。
ご指摘の通り、表現が正しくありませんでした。
6月18日に、コメントとして、訂正分を掲載いたしました。


適年の加入者数と他の企業年金の加入者数

2008-06-17 11:16:14 | 適格退職年金

適格退職年金の2008年3月末での加入者は、442万人となっています。
まだ、442万人も人の適年の移行先がきまっていない状況です。

では、他の企業年金の加入者はどのくらいになっているのでしょうか?
同じく2008年3月末で、確定給付企業年金は506万人、厚生年金基金は、
480万人です。そして確定拠出年金の加入者は、271万人となっています。
確定給付企業年金は、適年の移行先としてより、代行返上後の厚生年金
基金の移行先として使われていることを考えると、適年の加入者数がまだ
まだ多い実態が見えてきます。
適年の廃止が決まって6年経過していますので、これからの4年間で適年の
加入者の442万人を他の制度に移す作業は、そんなに簡単ではないように
思います。

この残っている適年の中には、破綻した保険会社の適年も当然含まれてい
るわけですが、そういった会社には、必要な情報が届いていないことが多い
のではないでしょうか?
そうでなくても、適年の委託先である保険会社や信託銀行からは、企業の
規模及び適年の規模・内容により、情報提供に差があります。

442万人の適年の加入者のうち、適年の制度廃止後も移行できずに適年に
残ってしまう人達がかなり出ることもあると、懸念され始めています。

◆いつも、ブログをお読み下さり、ありがとうございます。
 ご質問、ご意見は、コメントとしてではない場合は、
 gooメールへお送りください。
 アドレスは、goo0218_2007@mail.goo.ne.jp です。
 回答やお返事は、早ければ翌日、遅くても1週間以内に
 お送りします。宜しくお願い致します。






適格退職年金が定年時のみ給付の場合には注意が必要です。

2008-06-12 12:09:40 | 適格退職年金

適格退職年金からの給付が、定年時のみという制度設計になっている
場合があります。
例えば、定年退職金は1,000万円で、そのうち400万円が適年から支給
されるというような内容です。
この企業では中途退職者には適年からの支給がありませんので、退職
一時金制度から支給、つまり企業から全額支給されることになります。

このように適年が定年時のみ支給という場合には、退職給付会計では、
適年の積立金を年金資産としては扱いません。よって退職一時金制度の
期末自己都合要支給額の全額がそのまま退職給付引当金となります。
有税での引き当て金以外に、当然適年の掛金(損金)を支払っていますの
で、退職給付制度への費用が二重に掛かっていることになります。

前回のブログの二つ目の例で、退職給付会計を導入している企業の適年
の移行先として、保険商品が提案されていることについて書きました。
この例の企業の適年が定年時のみの給付となっている場合には、「適年
の移行先を保険商品で」という提案の問題がわかりにくくなります。
現状が、退職一時金制度の期末要支給額を全額有税で引き当て+適年
の掛金ですから、適年の移行先を保険商品にした場合に、やはり退職一
時金制度の期末要支給額を全額有税で引き当て+保険商品の保険料で、
一見同じようにみえますが、内容は大きく違います。
適年の積立金を移換できる制度(確定給付企業年金、確定拠出年金、中
小企業退職金共済)では、その分有税での引き当て金の負担が減ります。
保険商品では、負担が減らないどころか、退職者への退職金は、会計上は
引当金から支給という処理になりますので、保険商品での積み立ては意味
のない積立となります。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。


適年の移行先の検討・・・企業の実態とのミスマッチ

2008-06-10 10:10:19 | 適格退職年金

適格退職年金の移行先の検討に当たって、企業の実態とのミスマッチが
あるように感じています。

【例】
①従業員の平均勤続年数が3~4年、退職後は独立して起業するという
 会社で、確定給付企業年金を検討
 ⇒確定給付企業年金は、適年以上にコストと事務手間が掛かる制度
  なので、従業員のほとんどが3~4年で辞める会社には向かない。
 ⇒この会社の場合は、確定拠出年金の方が向いています。
  従業員は退職して起業した後で、企業型DCの積立金を個人型DCへ
  移して、継続して積立が行えます。
②退職給付会計を導入している会社で、保険商品を使っての積み立てを
 検討。適年の積立金は解約、従業員は一時所得として受けとる。
 ⇒保険商品の積立金は、退職給付会計上の年金資産にはならないの
  で、会社の退職給付引当金(有税での引き当てです!)の負担は大き
  くなります。
 ⇒40年後に1,000万円の退職金を支給するのに、運用利回りを2%とす
  ると、掛金合計額は約650万円です。
  一方、1,000万円の退職金を社内で準備すると、全額有税での引き当
  てとなりますので、合計で約1,666万円のお金が必要です。
  (法人税の実効税率を40%とした場合、1,000万円÷0.6=1,666万円)
 ⇒保険商品を使うと、従業員1人あたり1,000万円もの無駄なコストが発生
  します。更に、保険商品の保険料も必要ですので、保険商品を使うと、
  会社の退職給付制度へのコスト負担は大変重くなります。

金融機関の提案が、そのまま、その企業の実態とあっているとは限りませ
ん。DCの運営管理機関でない金融機関は確定給付企業年金を勧めるし、
外資系の保険会社は、退職給付会計を無視して、手数料やコンサルティン
グの費用が掛からないことを売りにして(どちらも保険料の中に含まれてい
るんですが)、保険商品を勧めます。

適年の移行や退職給付制度の検討にあたっては、企業の実態にあわせた
検討が大切です。

●確定拠出年金のことを、DCといいます。
 DCは、defined contributionを略したものです。
  
 


適格退職年金の移行が進まないのは。。。

2008-06-05 08:51:54 | 適格退職年金

今年3月末で、適格退職年金まだ32,825件も残っています。適年の制度廃止
までもう4年もありませんので、毎年8,207件以上のハイペースで移行手続き
をしていかないと、間に合わないことになります。
移行先を中小企業退職金共済と考えてる場合には、実質あと3年しかありま
せん。中退共への移行においては最低6ヶ月は掛かるので、遅くとも制度廃
止の2012年3月末の6ヶ月前には、移行手続きに入らないと間に合わないこ
とになります。
他の制度への移行でも同じことが言えます。確定給付企業年金や確定拠出
年金への移行でも最低6ヶ月は必要ですので、企業としての意思決定には、
やはりあと3年しか余裕がないことになります。

では、3年あれば十分なのかというと、そうもいえないと感じています。
なぜ移行が進まないのか?移行が進まない企業は、担当者に任せている
ケースが多いように思います。事業主も担当取締役もあまり関与しておらず、
担当の部長、課長に任せていると、全然進みません。

適年を他の制度へ移行するということは、定期預金をA銀行からB銀行に移す
ということとは、全く違います。そもそも適年の移行先には、適年と同じ制度は
ないのです。企業の適年の移行担当者は、総務担当者が多いのですが、総務
担当者は総務人事の担当であっても、企業年金・退職金の専門家ではないか
らです。

そして、企業の担当者が適年の移行を検討する場合に、「適年の移行先はど
の制度がいいか、何が一番安くて済むか、事務手が掛からないのはどれか」と
いった点からの検討になってしまうと、金融機関からの提案をいくら聞いても
結論に到達しないで、迷路にはまってしまうことになります。

適年の移行に当たっては、「適年の移行後の企業年金・退職金制度を、企業は
どうしたいのか」が重要です。
担当者に任せていないで、事業主の積極的な関与が必要です。
企業年金・退職金制度は企業決算へ与える影響も大きいですから、事業主が
責任を持って取り組むべき問題です。


適格退職年金の移行状況・・・2008年3月末時点での集計

2008-06-03 12:40:24 | 適格退職年金

適格退職年金の移行状況が先日5月28日付で、信託協会、生命保険協会
より公表され(速報べース)されました。
それによると、2008年3月末のおける適格退職年金の件数は32,825件です。
2007年3月末での適年の契約件数は、38,885件でした。この1年で6,060件
減少したことになります。
2006年度中における適年の減少件数は、7,671件
2005年度中における適年の減少件数は、6,202件
以上から、適年の移行は速度が鈍ってきているようです。
適年の廃止まで、既に4年をきっていることを考えると、上記32,825件の適年
を他の制度に移行するには、年間8,207件ずつ移行していかなければなりま
せん。このままでは、制度廃止までに移行できず、非適格の適年になってし
まう適年がかなり出ることが予想されます。

適年の加入者数でみると、興味深いことがわかります。
2008年3月末の適格退職年金の加入者数は442万人です。
2007年3月末3月末時点の加入者は506万人でした。
よって、加入者は約13%ほど減少したことになります。
しかし、件数の減少は約16%ですので、件数の減少と比べると加入者の減少
は低く、加入者ベースでみれば、適格退職年金の移行が進んでいないといえ
ます。
契約1件あたりの平均加入者数は134人ですが、適年は加入者が100人未満
の企業が多いことを考えると、加入者数が多い適格退職年金もまだ相当数残っ
ていることになります。