日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 香港・台湾を相手に仕事をしていると、旧正月を前にいよいよ歳末気分が高まってきた、という実感があります。いや他でもない年末進行(涙)。「出稼ぎ農民を乗せた帰省列車第1便が出た」なんていう中国国内メディアの報道を目にすると、そんなにプレッシャーかけなくてもいいじゃないか、と泣きたくなります。

 前にも書きましたが、本業の方はともかく副業(中文コラム)の方が曲者でして、掲載誌が大陸(中国本土)の印刷工場を使っているために旧正月は早めに休み=操業停止となるのです。このためにスケジュールがもう滅茶苦茶になっています。

 編集部の連中もそれぞれ仕事を抱えて大変なのですが(寝袋常識)、私の書くものもちょうど当ブログのように現実の動きを眺めつつそれを俎に乗せてあれこれ料理する性質なものですから、まとめて3本書けとか言われても無理なのです。もう少し待てば昨年の統計が出てそれを検証することもできるのですが、もちろん締め切りは情け無用。白紙のページをつくる訳にはいきませんから懐旧・雑談ネタなどに逃げたりするのですが、それとてストックにも限りがありますし。

 ……とまあ、いま現在はそういう状況下で苦吟しているところです。たくさんコメントを頂いているのにまともにレスをつけることができず、本当に申し訳ありません。

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 中国は今日も今日とて官民衝突、さもなくば環境汚染のニュースが流れています。

 環境汚染については中国国内メディアを含むマスコミ側に「旬な話題」という認識があるため、いままで見過ごされていた、あるいは黙認されていた事例にスポットライトが当てられ、さらには積極的に新ネタの発掘までされているという印象です。……いや、環境汚染は決してここ1~2年で出現した新事態という訳ではない、ということを言いたいのです。

 官民衝突、新しいところでは広東省中山市・三角鎮で数日前から何やら起きていて、武警さん(武装警察=準軍事組織)が催涙弾を放ったり警棒で村民を殴りまくり、負傷者多数が出ている模様です(死者1名との情報もあります)。原因は例によって土地収用に絡む補償&幹部の汚職疑惑。

「この土地は売却したから出ていけ」

 と突然言われても出ていける訳がありません。毎月出る補償金も糊口をしのぐには少なすぎるし、田畑をとられた農民に対する再就職の斡旋などもない。そのくせ幹部の銀行口座には数百万元が振り込まれている……ということで農民は怒髪天。出ていくもんか、泣き寝入りはしないぞと頑張っている状況が以前から続いていたのですが、ここに来て武警さん出動による官民衝突と相成った訳です。

 事態の詳細はまだ明らかではありませんが、これも年末気分ゆえかな、とふと考えたりします。当局側に「旧正月前に片付けておこう」という心理が働いたのかどうかは興味深いところです。

 http://hk.news.yahoo.com/060114/12/1kef4.html
 http://hk.news.yahoo.com/060114/12/1kefu.html
 http://hk.news.yahoo.com/060115/12/1keuk.html
 http://hk.news.yahoo.com/060115/12/1kewx.html

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 広東省は香港に隣接するという地の利がアダとなって、香港を含む海外マスコミの可視範囲内にあるという点で割を食っていますね。土地強制収用にせよ環境汚染にせよ然り、といったところです。

 ただ土地収用問題については同省トップである張徳江・省党委員会書記が今月初めに簡単なガイドラインのようなものを示しています。

 http://news.xinhuanet.com/politics/2006-01/04/content_4005049.htm

 中山市のケースはこれに引っかかる筈なのですが、地元当局は問答無用で事を進めているようです。……そもそもこの張徳江によるガイドライン自体、不祥事続きで中央から睨まれている張徳江が「真面目にやってます」というポーズを示すためのもの、という疑いがありますけど。

 例の武警による農民射殺事件たる汕尾市の「12.6」事件、広州市番禺・太石村で生起した農民による民主化運動の武力弾圧、また仏山や中山では土地収用にまつわる官民衝突が起きていますし、一方で北江のカドミウム汚染など環境汚染問題も最近次々に明るみにされています。不祥事を数え上げたらキリがありません。

 しかも人事でいえば、広東省トップの張徳江が江沢民系で、ナンバー2たる黄華華・広東省省長が胡錦涛派と目されています。要するに胡錦涛派からみれば張徳江は目の上のタンコブ。広東省の地生えならともかく遼寧省出身でもあります。中央がその気になれば、本来なら「12.6」事件で地元の汕尾市首脳ともども更迭されても不思議ではないところです。

 もちろん、その気になっても広東省に介入するほどの指導力・統制力が中央になければ話は別です。

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 ところが、最近になって時事週刊誌『亞洲週報』が興味深いニュースを報じました。その張徳江が先ごろ北京に出頭させられ、「12.6」事件に関し党中央政治局の口頭査問を受けた、というものです(張徳江は党中央政治局員を兼務しています)。

 http://www.singpao.com/20060113/international/802271.html
 http://tw.news.yahoo.com/060112/43/2r8xt.html

 口頭査問とは一種の自己批判の場だということですが、張徳江は事件の責任は地元幹部にあるという旨の弁明を行い、自らに責任はないとしたようです。

 言うも言ったりですが、報道によると張徳江はこの口頭査問をパスできなかったとのこと。パスできないとどうなるのか私にはわかりませんし、口頭査問があったかどうか自体も確認できていないのですが、事実だとすれば面白いニュースだと思います。

 ……とは、中央と地方の関係においてのことです。

 ●広東省という「大諸侯」のトップに対し党中央が口頭査問を開くことができた。
 ●口頭査問の開催まで時間がかかりすぎている。
 ●「12.6」事件に関する公式発表は広東省当局と汕尾市当局によるもののみで、現時点に至るまで、中央からは何の発表も行われていない。

 胡錦涛・総書記の活動、あるいは胡錦涛主導のキャンペーンが最近急に目立つようになってきた観があります。それ自体注目すべき動きなのですが、この口頭査問が事実であればそれに華を添えるともいうべき興味深い出来事だといえるかと思います。

 もちろん、なぜ最近になって胡錦涛が威張り出したかについても考える必要がありますし、実はそれこそが一番大きなテーマでもあります。「年の瀬だから」なんて回答はなしですぜ、旦那(笑)。



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