日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 新年明けましておめでとうございます。

 三が日を過ぎてからする話でもないのですが、普段は不摂生な暮らしを送っている私も、元日は人並みに迎えることができました。……と思います。

 前回のエントリーをupして年越し蕎麦を食べ終えたところで、ちょうど元日の午前0時を迎えました。元旦と言えば初詣、なのですが、その前に新年会とでも言いますか、うっかり配偶者(香港人)と朝まで酒盛りをしてしまいました(笑)。

 私のところは基本的に夜型生活なので、深夜になると逆に目が冴えてきてしまい、どうもすぐ床に就く気にはなりません。……というところで、配偶者が何やらゴソゴソやっているなと思ったら、玄関に盛り塩をしていました(笑)。たぶん広東語の生徒さんあたりから聞いたのでしょうが、「縁起がいい」と言うのです。

 そんな習慣があったかな、と考えているところに、今度は私の実家から送ってきた濁り酒を取り出してきて、ちゃぶ台にドンと置きました。

「飲もう」

 ということのようです。

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 配偶者は元々酒を飲まなかったのですが、かつて台湾に異動した際にビザの都合で私だけ先発することになり、2週間ばかり私の実家に配偶者を預けていたことがあります。そのとき父の晩酌に毎晩付き合ううちに、
「それでは遠慮なく」「カワキモノ」などという言葉と一緒に、日本酒の旨さを覚えてしまったようです。

 私は仕事抜きの酒席は好きで、酒量もたぶん人並み以上にあるかとは思いますが、体質なのか、如何せん酒の旨さというのが全くわかりません。しかも酔うまでに時間がかかりますから不経済でもあります。ですから普段は一滴もたしなまないのです。

 ところが配偶者は違います。いまも二人で外出して夕方ぐらいになったとき、

「軽く一杯ひっかけてから帰るか」

 と私が猪口をあおる手真似をすると、それはもう、とても嬉しそうな顔になります。

 ともあれ酒盛りとなってしまいました。「カワキモノ」やおせち料理などを肴に6時半まで飲んでしまい、気付いたらもう初日の出の時間。といってもそれを眺めにいくほどの酔狂もなく、午後に初詣に行くつもりだったので新年会を切り上げて寝ることにしました。

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 私のところで初詣といえば、これはもう靖国神社と相場が決まっています。二本差しのお侍さんの時代なら歩いていく距離にあるのですが、御家人を名乗る私も現代の平均的日本人である以上足弱ですから、そこは地下鉄を使います。

 もう夕方に近い時間だったので行列はそれほどでもありませんでした。まずは配偶者共々参拝して、遊就館で零戦を眺めつつ海軍コーヒーを飲んで、そのあとお神酒を頂いて、参道の出店で腹を満たしました。

 恒例の猿回しは今年もやっていました。猿がみせる妙技や、猿回しとの掛け合い漫才のようなボケとツッコミといった芸に配偶者と手を叩いて喜びつつ、昨年と同じことを考えました。いや、この猿が創出するGDPは、中国人の平均値よりずっと高いことだろう、ということです。たぶん2人前や3人前くらいは稼ぎ出しているだろうと考える一方で、恐らく中国人の平均値がこの猿一匹に肩を並べることは今後もないだろうと思ったりしました。

 猿にも劣るというのは、建国以来30年ばかり、政治運動の馬鹿躍りをしてきたのですから仕方がありません。

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 中共政権は常に「大躍進」なのです。大躍進とは1957年に発動された政治運動のことですが、経済的にみれば愚の骨頂としか思えないことに国を挙げて入れ込んだ結果、農作業が疎かになった上に天候不順も加わって記録的な不作を招き、1959年から「三年困難」と呼ばれる飢餓期を送ることになります。「大躍進」という歪んだ政治運動に走ったしっぺ返しというところでしょう。

 この「三年困難」期における餓死者数は数千万人にのぼるとも言われていますが、はっきりしたことはわかりません。わかりませんが、本来小麦よりは人口を養える筈の米作地帯である広東省でも飢餓が蔓延し、

「このままでは餓死するしかない。それなならいっそ」

 ということで、乾坤一擲ともいうべき香港への密入境がトレンドになったりしました。私の岳父、つまり配偶者の父親もその時期の香港脱出組の一人です。

「食べるものがなくて、あのまま田舎に残っていたら一族が餓死するのは確実だった」

 と現在も申しております。正確には、義父はその父親(つまり配偶者の祖父)とともに山伝いによる密入境に成功。その後仕事を得て、その収入や収入で買った物資を田舎に仕送りすることで糊口をしのいだということです。現在の香港人の大半は、この中共政権成立後の脱出組とその子孫といってもいいでしょう。共産党政権成立、反右派闘争、大躍進、三年困難そして文化大革命といった政治的動乱のたびに香港の人口は不自然な膨脹を示しています。

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 現在の中共政権も、やっていることはある意味「大躍進」なのです。政治運動が経済活動に変わったものの、やはり歪んだ形での「大躍進」であり、歪んでいるために「三年困難」に似たしっぺ返しともいえる現象がここ数年で顕著になっています。

 効率を無視した無駄の多い量的拡大(経済成長)、高すぎる外資依存度、農村と農民に犠牲を強いるという形で実現した経済発展、安全面や環境への影響を無視した開発……といったものが歪みであり、そのしっぺ返しが相次ぐ官民衝突や炭鉱事故、環境汚染、水不足などです。とはいえ、これはまだ序の口でしょう。

 官vs民、中央vs地方、そして全国百余都市が「国際的大都市」という発展目標を掲げたこと(上海みたいになりたい)に象徴されるような地方vs地方の反目ないしは競争意識、それらが様々な形で際立ったのが2005年でしたが、今年はそれがさらに激化することでしょう。その一部は昨年同様、「反日」という形式をとって表現されるかも知れません。

 端的にいえば、昨年4月に北京や上海、広州などで起きた反日デモ&プチ騒乱は、デモの企画者や組織者は真面目な反日活動家(笑)であり、恐らくアンチ胡錦涛諸派連合を後ろ盾とした「民間組織」だったと思います。しかしデモに加わって日本車や日本料理店を破壊したり、大使館や総領事館に投石したりした「積極分子」は、破壊活動の動機が純粋に「反日」だったとは限らないでしょう。

 それがわかっているから、当局も予想外の「反日」拡大を慌てて抑え込み、それ以降は「民間組織」に委ねる「自由行動」には厳しく掣肘を加えています。ただ前回も書いたように、「抑え込む」というアクションや経済発展を実現した「歪み」自体が統治システムに負荷をかける性質のものですから、このままだといつかは統治システムそのものが負荷に耐えかねて崩壊しかねない。その破綻の一端を垣間見たように思えた、というのが2005年でした。明けた2006年は、それをより強く、具体的に、明確に感じることができるのではないかと思います。

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 さて靖国神社で初詣を済ませた配偶者と私は、たまたまいい時間だったので「男たちの大和」を観てきました。

「もう会えない君を、守る」

 という予告編ムービーのキャッチだけでウルウルしてしまったので、二人とも「泣き方用意」で臨みました。案の定、配偶者は最初から最後まで泣きっ放しだったようです。

「昔の人は偉かったんだね」
「みんな可哀想だね」

 と観賞後に申しておりましたが、私にとっては期待外れの内容で、堪能できると意気込んでいただけに失望が大きいものとなりました。簡単に言ってしまうと説明不足と描き込み不足なのです。

 「もう会えない君を、守る」というのは、あるいはそういう人々が60年前の日本にいたということは、ベタながら重要なテーマのひとつだったと思うのですが、ベタに徹し切れていないのと、原作を読むなり当時に関する知識を持っている人でないとわかりにくい部分が少なくなかったです。似たようなテーマであれば、私個人にとっては「ムルデカ17805」や「連合艦隊」の方が心に沁みるものがありました。

 唯一、長嶋一茂だけはいい味を出していましたが、実話に基づいた彼(臼淵大尉)の有名な台詞が登場するシーン、学徒動員組と海軍兵学校卒が「死」の意味について論争しそれが殴り合いに発展したところ、そこに現れた彼の有名な言葉で争いが途端に収まるのです。……が、この場面も学徒動員組と兵学校卒という履歴の違いから考え方が自ずと異なっているのだという説明が不十分で、この映画では白眉のシーンとなるべきところ、中途半端な描写で終わってしまったのが惜しいと思いました。

 また、「大和」が当時の日本の最新・最高技術を結集したものであり、その技術の少なからずが戦後の復興に貢献したことにもいま少し説明を要するべきではなかったかと思います。

 期待していたCGを駆使した戦闘シーンは、レイテ沖海戦でも沖縄特攻でもやられっ放しの公開処刑。どうせレイテを描くなら、当時の「大和」艦長の米軍機の空襲に対する伝説的な操艦ぶりや、敵艦相手に主砲射撃が行われた唯一のケースであるサマール島沖海戦も織り込んでほしかったです。

 折角原寸大のセットを用意したのですし、商業映画なんだから勢いのあるところも見せないといけないと思うのですが、「朝日新聞(後援)+佐藤純彌(監督・脚本)」だとやっぱりこの程度なんでしょうか。

 この映画には中国国内メディアが早くから文句をつけていますが、映画自体をみていないのに「軍国主義復活云々」と書くのであれば、それは畜類以下の低能と言いますか、報道者・表現者として何か根本的なものが欠けているとしか思えません。ま、いまに始まったことではありませんけどね(笑)。

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 最後に時事ネタを入れておきますか。昨年同様、今年も「珍獣」が飛び出して参りました。

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 ●中国人民日報論説員、対日強硬姿勢を示す(ロイター通信 2006/01/04/12:08)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060104-00000672-reu-int

 [北京3日ロイター]中国共産党機関紙である人民日報の林治波・論説委員は、清華大学が創刊した政府関係者向けの雑誌に寄稿し、中国は日本との対立が長期化することを覚悟し、愛国主義を社会的な団結の源として支持すべきだ、との認識を示した。

 日中関係は、在上海総領事館員自殺などをめぐり再び緊張が高まっているが、同論説委員は、両国対立の火種は過去の問題のみならず将来の両国のあり方にも及んでいると指摘。「現在、中日間の根本的な対立点は、中国が成長しており、日本が中国の成長を望んでいないという点だ。この対立は長期にわたり、中国人民の意思で変えられるものではない」と述べた。

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 林治波は糞青(自称愛国者の反日教徒)どもから崇められているイデオローグ的存在です。

「愛国主義を社会的な団結の源として支持すべきだ」

 というのが笑わせます。お前共産党員じゃないのかよ、とツッコミを入れてやりましょう。いかに「珍獣」(プロ化した糞青)とはいえ、社会主義の念仏を唱える前に愛国主義を持ち出してはいけません。もはや念仏を唱えても社会的な団結が得られないと一応は認識しているのでしょうか。世も末ですね(笑)。

 まあ原文を読んだ訳ではないのでこのくらいにしておきますけど。とりあえず日本研究者は、なぜ日本人の対中感情が悪化しているか、そこから分析をやり直してほしいものです。正しく分析しても正直なことが言えない政治的事情があるのかも知れませんけど、ならばいよいよ世も末だということになりますね。

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 まあ昨年に引き続き、その末世の立ち腐れっぷりを生暖かく眺めていこうじゃありませんか。

 今年も宜しくお願い申し上げます。



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