会計検査院は、平成27年度決算検査報告を安倍晋三首相に提出した。
「税金の無駄遣い」や「不適切な会計処理」として指摘した総額は約1兆2千億円にのぼる。看過できないのは、法令違反にあたる「不当事項」を、国からの補助金などを受けた多くの競技団体が指摘されたことだ。
2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、各競技団体はさまざまな発信を行う立場にある。だが、自らの足元が不正に揺らいでいては、その言い分に誰も聞く耳を持てまい。まずスポーツ界が襟をただしてほしい。
不当な会計処理が指摘されたのは、日本オリンピック委員会(JOC)加盟の日本ボート協会、日本体操協会、日本馬術連盟、日本バドミントン協会など6競技団体の約450万円と、日本パラリンピック委員会(JPC)加盟の日本障害者スキー連盟など5団体の約2990万円だ。
新国立競技場の事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)も、東京都内の本部事務所の3部屋をラグビー19年ワールドカップ日本大会組織委員会に無償提供していた会計処理など約580万円が不当と指摘された。
障害者スポーツ団体が検査院から指摘を受けるのは初めてで、多くは遠征費を選手の所属企業などが負担したにもかかわらず、連盟が支払ったように処理して国庫の補助を受けていたなどの手口だった。過大受給分に私的流用は認められず、別の強化事業などに使われたとされるが、それでよしというものではないだろう。
JOC加盟の各競技団体に対しては、昨年や平成24年にも、助成金の過大交付やコーチ謝金の二重支給などの問題が厳しく指摘されている。
それが故意であれ、能力不足による経理上のミスであれ、不当経理にかわりはない。
同様の指摘が毎年のように繰り返されることが恥ずかしくないのか、不思議でさえある。その度に叫ばれる「ガバナンスの強化、コンプライアンス体制の充実」のかけ声も、ただむなしいだけだ。
強化費の増額を求めるスポーツ界からは「金は出しても口を出すな」の本音を聞くことがある。だがこうした体たらくを目の当たりにして勝手な言い分は通せない。清廉、高潔さを欠いたスポーツは見る人の感動も呼ばない。
2016.11.9 産経ニュース