脳性まひの障害のある静岡市駿河区の橋本徹さんが、約3年半かけて自身の半生を記した回想録を完成させた。B5判、43ページ。わずかに動く体の一部を使って紡ぎ出した文章には、身内や親しい人にも明かせなかった思いが素直につづられている。
橋本さんは名古屋市生まれの静岡市育ち。養護学校やリハビリ施設などで過ごした後、情報処理技術者の資格を取得して働き、現在は障害者自立支援のNPOで活動する。
回想録を書き始めたきっかけは二次障害の進行だった。以前は歩いたり手話で会話したりすることができたが、50歳ごろから徐々にまひが進み、左手と右足首以外は自由に動かせなくなった。「死に対する恐怖が芽生え、自分が存在した証しを残そうと思った」と当時の心境を語る。
執筆は2010年春から、長年の友人で主婦の長倉和美さん=駿河区=の協力で始まった。橋本さんが左手で送る合図で長倉さんが50音図をたどり、1文字ずつ書き起こす地道な作業。12年に障害者向けパソコンの交付を受けてからは、右足首で操作して執筆を続けた。
回想録には、障害者として感じる社会の理不尽さ、ヘルパー制度を使い一人暮らしをする現在の生活、14年前に68歳で死去した母・ユリ子さんへの思いなどが記されている。交流の深かった長倉さんは「橋本さんがこんな思いをしていたのかと初めて知ることが多かった。二人でよく泣いたよね」と橋本さんと目を合わせた。
半生を思い返しながら、「たくさんの人に支えられてきたと気付き、生きる幸せと感謝でいっぱいになった」と橋本さん。「障害者の家族に読んでもらいたい」と話す。
回想録は市ボランティア団体連絡協議会で閲覧できる。販売もしている。
1月27日(月)7時48分配信 : 静岡新聞社
橋本さんは名古屋市生まれの静岡市育ち。養護学校やリハビリ施設などで過ごした後、情報処理技術者の資格を取得して働き、現在は障害者自立支援のNPOで活動する。
回想録を書き始めたきっかけは二次障害の進行だった。以前は歩いたり手話で会話したりすることができたが、50歳ごろから徐々にまひが進み、左手と右足首以外は自由に動かせなくなった。「死に対する恐怖が芽生え、自分が存在した証しを残そうと思った」と当時の心境を語る。
執筆は2010年春から、長年の友人で主婦の長倉和美さん=駿河区=の協力で始まった。橋本さんが左手で送る合図で長倉さんが50音図をたどり、1文字ずつ書き起こす地道な作業。12年に障害者向けパソコンの交付を受けてからは、右足首で操作して執筆を続けた。
回想録には、障害者として感じる社会の理不尽さ、ヘルパー制度を使い一人暮らしをする現在の生活、14年前に68歳で死去した母・ユリ子さんへの思いなどが記されている。交流の深かった長倉さんは「橋本さんがこんな思いをしていたのかと初めて知ることが多かった。二人でよく泣いたよね」と橋本さんと目を合わせた。
半生を思い返しながら、「たくさんの人に支えられてきたと気付き、生きる幸せと感謝でいっぱいになった」と橋本さん。「障害者の家族に読んでもらいたい」と話す。
回想録は市ボランティア団体連絡協議会で閲覧できる。販売もしている。
1月27日(月)7時48分配信 : 静岡新聞社