12月1日から公道走行が可能になる二輪タンデム自転車
静岡県警は17日、2人乗りの二輪タンデム自転車を12月1日から県内の公道で走行できるようにすると発表した。2020年の東京五輪・パラリンピックの自転車競技が伊豆市で開催されることなどを踏まえた措置で、解禁は都道府県別で14番目。2人でこぐため息をぴったり合わせれば楽に走れるほか、視覚障害者の行動範囲を広げる手段としても普及が期待される。
二輪タンデム自転車は二つのペダルとサドルを備えた乗り物。2人が前後に並び、協力してペダルをこいで走る。後ろに乗る人はハンドル操作の必要がないため、視覚障害者らが後部座席に乗って楽しむこともできる。
公道走行は県道路交通法施行細則で禁止されているが、障害者競技団体などから解禁を求める声が上がり、安全性が確認できたとして改正に踏み切る。タンデム競技はパラリンピックの正式種目。
公道走行実現を働き掛けてきた関係者からは歓迎の声が上がる。「自転車のまち」を推進する静岡市は今月、タンデム自転車の試乗体験会を開催したばかり。交通政策課の担当者は「レンタサイクルがあれば乗ってみたいという声があった。視覚障害者に自転車の楽しさを知ってもらうきっかけにもなる」と期待する。
伊豆の国市に拠点を置く日本パラサイクリング連盟の権丈泰巳理事長は「タンデム自転車の国際大会を開催した際に、公道を走れず選手に不便を掛けることがあった。パラリンピックの合宿誘致にもプラスに働くのではないか」と話した。
都内の取扱業者によると、二輪タンデム自転車は輸入品が中心。競技用を除くと7万~10万円前後が売れ筋という。
■ヘルメット着用を 県警は事故警戒
県警は二輪タンデム自転車の公道走行解禁に伴う交通事故に神経をとがらせる。桜井弘人交通部長は「走行速度や周囲の交通状況に気を配ってほしい」と注意喚起し、ヘルメットの着用を呼び掛けている。
県警によると、公道走行が可能な13府県では10月末現在、二輪タンデム自転車による交通事故は発生していない。ただ、2人でペダルをこぐためスピードが出やすくなるほか、1人乗り自転車よりも車輪一つ分ほど車体が長いためカーブを曲がる際に注意が必要になるという。
二輪タンデム自転車が走行できるのは車道や路側帯、自動車専用通行帯で、歩道は通行できない。県警はこうした交通ルールの周知にも力を入れる方針。
2016/11/18 @S[アットエス] by 静岡新聞