ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

介護保険制度との統合策に関する意見書(その2)

2007年04月30日 15時05分06秒 | 制度の話し
前回の続きです。
これからの検討課題が主なものになっています。


■当面の検討課題

 介護保険制度と障害者福祉施策の沿革や理念の違いを含め、当面、次のような検討が求められる。

① 統合についての議論:上記のような相違を踏まえ、時間をかけて十分な論議を尽くすことがまず必要である。利用者、事業者、行政、企業、市民など、異なる立場の意見を集約し、これからのあり方を総合的に論議すべきである。

② 財源のあり方:高齢者福祉と障害者福祉の財源について論ずるだけでなく、現在の雇用システム、老齢年金のあり方なども含め、社会保障全般について、経済界の考え方等をも踏まえて検討していくことが必要である。単純に租税か保険かではなく、諸外国の例なども参考に、国政全般を踏まえてあり方を具体化することが求められる。

③ したがって、当面は障害者福祉サービスと介護保険制度とは、それぞれの相違を踏まえて異なるシステムで運営し、あるべき方向性を探りながら、実践的な論議を積み重ねるべきと考える。



■結論

 以上を踏まえて、日本障害者協議会としては、拙速な統合論議は避けるべきと結論づけざるをえない。なお、ヒアリング項目としてあげられている、①「共生型福祉サービス」については、国連で採択された障害者の権利条約を踏まえ、インクルージョンや「包括型サービス」という視点で検討すべきと考える。また、②「介護保険制度の適用者の拡大」のメリット・デメリットについては、上記のような提言を踏まえて、十分に議論を尽くすべきと考える。



介護保険制度との統合策に関する意見書(その1)

2007年04月28日 14時18分58秒 | 制度の話し
2月7日に「日本障害者協議会」が第5回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議に提出した意見書です。
文面が長いので、2回に分けて掲載します。
ここでは、障害分野に関する主要な基幹的政策課題、現状の福祉施策の課題、問題点を述べています。
2回目では「当面の検討課題・この問題に対する結論」をお届けします。
皆様の、ご意見をくだされば幸いです。



介護保険制度との統合策に関する意見書

団体名:日本障害者協議会
発表者:藤井克徳(常務理事)

■はじめに
 厚労省老健局より照会のあった「障害者施策からみた介護保険制度」について、以下に日本障害者協議会(JD理事会)としての基本的な考え方を記す。意見表明に先立って、一言述べておきたい。それは、2006年4月から施行されている(完全施行は同年10月より)障害者自立支援法についてであるが、障害当事者ならびに家族への影響は極めて甚大であり、介護保険との統合問題など、この時点で論議を深める状況にはないということである。厚労省として、先ずは障害者自立支援法に関する問題解消に向けて、効果的で永続的な対応を図られることを、あらためて強く要望する。

■障害分野に関する主要な基幹的政策課題
 日本障害者協議会は、一貫して障害分野に関わる基幹施策の立ち遅れを主張してきた。「介護保険との統合問題」を論じる以前に、基幹的な政策課題を整理することであり、それらの実現をどう展望するのか、これらにエネルギーが割かれるべきではなかろうか。本日のヒアリングにおいても、あらためて主要な基幹的政策課題を列挙しておきたい。
◇ 「個」の尊重と当事者主体の法制の構築
◇ 障害者総合福祉法(仮称)の制定
◇ 法的な措置を伴う社会資源の拡充策
◇ 本格的な所得保障制度の確立
◇ 「障害」の定義、等級制度、手帳制度の改訂
◇ 関連基礎データの集積

■現状の福祉施策の課題、問題点
 障害者福祉施策と介護保険制度の統合を論ずるにあたっては、現状にみる次のような課題や問題点を押さえることが必要である。
① ニーズに応じきれないサービス:現行の介護保険制度にあっても、「上乗せ」「横出し」が成されているが、高齢者の尊厳を保ち、そのニーズを満たすには余りに不備が多い。こうした不完全な介護保険制度に、自立や社会参加に関して多様なニーズを持つ若齢の障害者が加わった場合に、一体どうなっていくのか、率直に言って展望が見出しにくい。
② 障害者福祉サービスの絶対量不足:入所施設中心(知的障害者)ならびに入院中心(精神障害者)の政策がとられてきたわが国にあって、地域生活を支えるサービスは極端に不足している。また、質的な面からも、事業提供者が十分育っているとは言えない(高齢者分野も同様では)。まずは、障害関連のサービス基盤の量的な拡充に政策エネルギーを割くべきではなかろうか。
③ 権利擁護システムの未確立:当事者主体のサービスを実施するにあたり、これまで弱い立場に置かれがちであった利用者、特に自ら主張することに困難がある人々を護るための権利擁護システムについては、課題が多く、まだまだ未確立と言わざるをえない。成年後見制度や地域福祉権利擁護事業などの利用が進み、地域包括支援センターなども位置づけられたが、新たな課題も指摘されており、権利擁護について踏み込んだ検討が必要である。
④ 制度成立過程の相違:介護保険制度による高齢者福祉と、支援費制度を経て障害者自立支援法によるサービスがスタートした障害者福祉とでは、その成立の過程や求められるサービスに大きな違いがあり、単純に統合することは困難である。地域での支援にあたって重要な役割を果たす相談支援・ケアマネジメントの位置づけや、実際の支援にあたるケアマネージャーの役割・養成過程なども異なっている。2つの制度を統合するにあたっては、実績についてのデータ蓄積と、今後のあり方について十分な議論を尽くすための時間が必要である。

JDF(日本障害フォーラム)愛知県知事への抗議文

2007年04月26日 23時28分44秒 | 障害者の自立
先頃の新聞報道と「愛知県知事の差別発言」4月5日に掲載した記事に対して、
日本障害フォーラム(JDF)が下記のような抗議文を出しました。
いつまで経っても「障がい者差別」が無くなるのはいつのことでしょう・・・?
悲しいですね・・・(T_T)


 私たち日本障害フォーラム(JDF)は、障害当事者団体を中心に、障害関係の専門職団体や支援団体によって構成され、わが国の障害関係団体の大多数が何らかの形でここに参加しています。
 去る4月2日、神田真秋愛知県知事は、新規採用職員に対する訓示の中で「遺伝子にはいい遺伝子と、生き物の宿命として弱い、悪い遺伝子がある。悪い遺伝子が表に出ることや、いい遺伝子だけが表に出ることもある」こう述べたとの報道がありました。これは、障害のある人や病気の人を深く傷つけるもので、私たちは大きな憤りを禁じえません。とくに“遺伝子”を用いたことについては優生思想を髣髴とさせるもので、絶対に容認できません。ここに、神田知事に対して強く抗議するとともに、猛省を求めます。

 わが国では、過去から現在に至るまで、社会の誤った認識によって障害や病気にある人々が差別されてきました。誤った認識は国家によっても繰り返され、取り返しのつかない非人間的な生活を強いられた人々が数多く存在します。そして、今なお苦しみに喘いでいる人々が少なくないことを忘れてはなりません。
 他方、昨年12月には国連で“障害者権利条約”が採択されました。その基本的精神は「障害問題の本質は社会のあり方にあり、社会のシステムや人々の意識が変わることにより、障害問題すなわち障害を理由とする差別という問題は解決に向かう」というものです。残念ながら、神田知事の発言とは大きな隔たり感を覚えます。
 行政、あるいは行政の長にある者は、障害のある人々がこれまで遭遇してきた苦難の歴史を正確に認識することによってのみ、平等を旨とする障害者政策が、そしてあらゆる人間の尊厳を礎とする社会政策が、真に実効性を伴うものと確信します。なお、私たちは、今般の発言にみられるような誤った意識は、ひとり神田知事のみならず、国や地方自治体の中に深く潜んでいるのではないか、その可能性を強く危惧します。

 私たち日本障害フォーラムは、社会のあらゆる場面において「神田知事発言」が繰り返されてはならないことを切望し、同時にその背後にある障害や病気にある人々に対する「誤った認識」の払拭を強く求めます。そして、引き続き人間の尊厳と平等に根ざした障害者政策の実質化に向けて、運動を強めていく所存です。

厚労省が「事務連絡」

2007年04月20日 13時00分08秒 | 制度の話し
厚労省が「事務連絡」で、各自治体に長時間ヘルプが必要な方へ適切なヘルパー時間を決定するよう、「事務連絡」と言う形で通達を出しました。
解説を付けてお知らせします。


長時間ヘルパー時間を必要な障害者に適切な長時間のヘルパー時間等を決定するように事務連絡が出ました。
 長時間ヘルパー時間を必要な最重度障害者などに、きちんと日常生活が維持できるようなヘルパー時間数の決定(非定型の支給決定)を行うように、厚生労働省から事務連絡が出ました。
 市町村の定める通常の支給決定基準では生活ができない状況の方は、市町村の課長と交渉をして、個別の障害者の状況に合わせて支給決定(いわゆる非定型)を行うように話し合ってください。障害者の側が事細かな介護の状況や障害の状況の詳しい資料を出して、時間をかけても説明をしつくすことが重要です。その上で日常生活の維持に必要なヘルパー時間数等を決定してもらうように交渉をしてください。
 また、一部の悪質な市町村で、支給決定基準に段階を設けて、非定型専用の一律の上限を設けているケースがありますが、非定型には上限はありません。障害ヘルパー制度では一律の上限を設けることはやってはいけないことです。90年代後半から厚生労働省は自治体に対して市町村のヘルパー制度の上限を撤廃するように課長会議で指示文書を出してきています。
 障害ヘルパー制度の理念は、個々人が自立した生活が送れるような支給決定を行うことが基本です。


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事務連絡
平成19年4月13日

各 都道府県障害保健福祉主管部(局) 御中

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 
企画課
障害福祉課

障害者自立支援法に基づく支給決定事務に係る留意事項について

 平素、障害保健福祉行政の推進に御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。
  さて、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づく支給決定事務については、平成18年6月26日障害保健福祉関係主管課長会議等において、①適切かつ公平な支給決定を行うため、市町村においては、あらかじめ支給決定基準(個々の利用者の心身の状況や介護者の状況等に応じた支給量を定める基準)を定めておくことが望ましいこと、②支給決定基準の設定に当たっては、国庫負担基準が個々の利用者に対する支給量の上限となるものではないことに留意すること、③支給決定に当たっては、申請のあった障害者等について、障害程度区分のみならず、すべての勘案事項に関する一人ひとりの事情を踏まえて適切に行うこと等その取扱いに係る留意事項をお示ししているところです。
  各市町村におかれましては、これまでお示ししていることに十分留意していただきたいと考えておりますが、特に、日常生活に支障が生じる恐れがある場合には、個別給付のみならず、地域生活支援事業におけるサービスを含め、利用者一人ひとりの事情を踏まえ、例えば、個別給付であれば、いわゆる「非定型ケース」(支給決定基準で定められた支給量によらずに支給決定を行う場合)として、個別に市町村審査会の意見を聴取する等により、適切な支給量の設定にご留意いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

第2回 内部障害・難病者おはなし広場開催

2007年04月14日 10時43分41秒 | 障害者の自立
友人からの転送で送られてきた情報です。
難病と内部障害の方の組織は、まだ横の連絡が薄いと聞きます。
是非この機会に(場所が東京ですので・・・(-_-;))連絡だけでも取られてみては
いかがでしょうか!!

内部障害・難病当事者ネットワークの山本創です

 選挙や尊厳死問題、障害者の権利条約など、国会や霞ヶ関も課題は山済みですが、地域での当事者活動も、しっかり根っこをはっていきたいところです。
 このたび連休のど真ん中ですが、オープンセミナーを企画しました。 
フリースペース 彩(いろどり)~内部障害・難病当事者ネットワーク~も準備会
から正式に会として発足します。
 内部障害・難病ってなに?と知りたい方、ご家族、関係者の方々の参加も大歓迎
です。皆様お誘い合わせの上、ご参加ください。

==========(以下案内文:転載歓迎です)============

第2回 内部障害・難病者おはなし広場開催
フリースペース 彩(いろどり)~内部障害・難病当事者ネットワーク~発足!

皆さん連休の予定は立っていますでしょうか?連休の真っ只中!ですが、オープンセミナーを開催します。行楽の合間、ふらっとお立ち寄りいただけるフリースペースを用意しました。一人一人彩りある当事者の声に耳を傾けてみませんか。 内部障害や難病と言うと一般的に「障害者」というイメージより、「患者」とか「病人」というイメージの方が強いせいか、生活に必要な公的なサービスが受けにくかったり、行政やドクターにまで認識してもらえなかったりと大変な目に遭うこともシバシバです。
見た目で解りにくいばかりに健常者社会のペースに巻き込まれたまま、我慢しながら暮している人も多いのでは。今回の「おはなし広場」では地域で生活する3人の当事者の方の取り組み、日ごろの抱えている課題等をお聞きします。又、参加していただいたみなさんとも、日頃の抱えるいろいろな課題や情報交換の場がもてればと思っております。もちろん手帳を持ってなきゃダメとか難病の指定を受けてなければ参加出来ないなんてことはありません。障害や難病ゆえに、暮らしにくさを抱えてらっしゃる当事者の方はもちろん、内部障害・難病ってなに?と知りたい方、ご家族、関係者の方々の参加も大歓迎です。皆様お誘い合わせの上、奮ってご参加ださい。
当日の飛び入り参加もオッケーです!

記            
日時: 5月 4日(金、祝日) 13:30~16:30
会場: 東京都障害者福祉会館(三田)1FA1会議室
   *最寄駅は JR田町駅 都営地下鉄三田線です。
    詳しくは添付のチラシもしくは問い合わせ先に
    ご確認ください。
内容: 難病、内部障害の話をきこう(3名×15分)
参加された方もくわわって生活上の情報交換
参加費:100円
<お問い合わせ・申し込み先>>
* 参加を希望される方は下記電話番号及びメールアドレス
まで氏名及び連絡先、参加希望の旨、ご連絡ください。 
廣田幸子090-5781-5420かtarohirumabichi@yahoo.co.jp
山本創 090-6193-1232かh.y.mg@k8.dion.ne.jp まで

<フリースペース 彩(いろどり)~内部障害・難病当事者ネットワーク~>
内部の障害や疾病等により、生活していく上で様々な困難を抱えている人たちの
自由な情報交換の場や、当事者同士のサポート活動などをおこなっています。障
害認定されている内部障害や国が認定している難病に限定せず、生活上の必要な
支援とはなにか、みんなで考えていきたいと思っています。2006年4月に準
備会として立ち上げ、このたび2007年5月4日に“フリースペース 彩(い
ろどり)~内部障害・難病当事者ネットワーク~”として立ち上がります。メー
リングリストでの情報交換や月に一度のお話会等をおこなっています。是非様々な方の会への参加をお待ちしております。詳しくは上記の連絡先にお声かけ下さい。