ゴエモンのつぶやき

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障害者自立支援法の抜本的な見直しに関する提案4

2008年07月30日 23時49分08秒 | 障害者の自立
3 施設の新体系への移行

1.法の目指す就労移行や地域移行を促進するため、既存施設からの移行を促す報酬体系を設定すること。

2.重度訪問介護及び重度障害者等包括支援について、適切な報酬への引上げを行うとともに、事業参入を促進するよう事業設計を見直すこと。

3.作業所等からの受け皿として、地域活動支援センターの役割は非常に重要であるので、十分な補助を行うこと。

 多くの自治体において、報酬単価や施設入所支援の要件等から既存施設の新体系サービスへの移行が進まない状況や、特定の事業形態に偏った移行が目立つ傾向が強くみられる。とりわけ施設入所支援等の新体系サービスでは、障害程度区分等により利用できる者に条件があるが、国が、未だ、正式な方針を示していないことも施設の移行が進まない要因となっている。

 また、適正なサービス間の移行を促進するためには、報酬単価の見直しが不可欠であり、施設における利用者支援の充実を図るため、適切な職員配置とともに専門的知識や経験を有する人材の確保が不可欠である。さらに、法の目指す就労移行や地域移行を促進するためにも新体系事業優位の報酬制度とする必要がある。

 重度訪問介護は、もともと低い単価設定が更に低くなったため、技術をもった人材の確保が困難で、サービス基盤の整備が進まない実態がある。特別対策により一定の配慮措置が講じられたが、今後報酬単価の見直しを行う必要がある。重度障害者等包括支援事業についても、その事業意義は評価できるものの、実際の地域資源や利用者の範囲、報酬単価等から事業参入が極めて困難な実態があるため、現実的な事業設計とそれに見合う報酬単価が確保されるよう見直しが必要である。

 支援内容や対象者が明確な個別給付事業にいたる前の段階の事業として、地域活動支援センターの役割は非常に重要なので、国庫補助による十分な支援が必要である。

「介護ビジョン」で、初会合(下)

2008年07月30日 13時25分39秒 | 障害者の自立
■理念か、政策か
 出席した委員が自己紹介を兼ねて一通り発言した後、意見交換に入った。
 鳥羽研二委員(杏林大医学部教授)は「自立支援だけでは安心が得られない」と主張。高齢者が安心して暮らせるための「セーフティーネット」への転換を進める必要性を指摘した上で、会議の目的に言及した。
 「会議のタイトルである『安心と希望』には主語がないが、誰の安心と希望か。わたしは介護を受ける人やその家族が、『安心と希望』の対象になると考えるが、理念(ビジョン)と政策を分けて議論しないと錯綜(さくそう)する。何を焦点に置くかを定めれば、議論がかみ合っていくだろう」

 これに対し、厚労省老健局の大澤範恭・総務課長は「意図を持って書いたタイトルではない」と回答。前田雅英・座長(首都大学東京都市教養学部教授)は「長期か短期か、理念か政策か、現状を念頭に置くのか理想像を描くのか。総花的にすると何も出てこないので、(厚生労働)大臣の意向を踏まえて絞り込んで進めていきたい」と答えた。

 しばらく意見交換が続いた後、舛添要一厚生労働相が間もなく到着するとの連絡が事務局に入った。委員の発言中、前田座長は「心ここにあらず」といった雰囲気で、そわそわしながら入り口付近を気にしている。
 午後4時の開始から約80分を経過して、ようやく舛添厚労相が入室。「急に公務が入ったため、冒頭から出れなくて失礼した」と会釈して、次のようにあいさつした。
 「医療と共に介護は国民的な関心事。今まさに、介護の現場は非常に危機的な状況にある。霞が関や国会など、現場の声が届かないところで作業している。それがいろいろな意味で問題を起こしているので、現場や国民の視点から、忌憚(きたん)のないご意見を賜りたい。できる限り皆さんと一緒に現地を視察して、生の声を頂き、それを政策に反映させていきたい」

 舛添厚労相はまた、「政策」の具体例として来年度の介護報酬改定を挙げた。「国民や介護の現場で働く人たちが、『わたしたちの未来に光が見えてきた』と思えるような『ビジョン』をまとめていただき、具体化作業をやり、年末の予算編成で予算を付けて実行していきたい」と抱負を語った。

 これに対し、前田座長が議論の方向性について質問。「12月までにまとめるとすると、長期的な理想像を描くよりも介護における現実的な問題点を摘出した上で、直しやすいものから直すという方向と考えていいだろうか」

■社会保障国民会議か、介護ビジョン会議か
 舛添厚労相は「座長、そうではない。長期のビジョンがあるから緊急措置も生きてくる」と述べ、長期のビジョンと目の前の課題解決は“車の両輪”との考えを示した。
 「医療では、長期のビジョンをまとめた。そうすると、『産科が閉鎖されて分娩ができないのに、何を悠長なことを言っているのだ』という意見があるが、緊急対策として、いろいろな手を打っている。例えば、医師不足に対しては防衛省のインターンを派遣する。しかし、それだけでは夢も希望もない。『今は我慢してほしい。でも、10年後にはこんな明るい未来がある』という長期ビジョンがあるから、緊急措置も生きてくる。介護の報酬を上げただけで終わりではなく、介護の現場の方々がみんなから尊敬され、『今は苦しいけれども、必ず明るい未来がある』と思えるような長期的なビジョンがないといけない」

 前田座長は「わたしの受け止め方が狭かった。では、この会議が何を目指すか、あらためて委員の方から発言を願いたい」と意見を求めたところ、袖井委員が舛添厚労相に質問。「社会保障国民会議もあるし、社会保障審議会もある。なぜ、この会議をつくったのか」と、より踏み込んだ説明を求めた。

 舛添厚労相は「医療ビジョン(安心と希望の医療確保ビジョン会議)の介護版だ」と回答。「もし、あの会議がなかったら、『医師の数は十分だ。偏在しているだけだ』という方針がひっくり返っただろうか。あの議論があったからこそ、(医学部の定員増などを)やれた。審議会は山ほどあるが、審議会での議論は誰の責任でもない。時々、小さな囲み記事で出るぐらいで、ほとんど報道されないから(国民は)知らない。議事録があるから、“密室”とは言わないが、要するに発信力がない。国民を参画させた形での議論ではない。同じことが介護についても言える。社会保障国民会議など、会議はたくさんあるが、(介護ビジョン会議を)一番発信力のある会議にしたい。介護は、医療と共に全国民が関心を持っている身近な問題であり、すべての人が発言できる問題だ。皆さんの力をお借りして、総理とぶつかっていく。財務大臣とも闘っていく。政策を実現する“ツール”として医療ビジョンは大きな意味を持ったので、同じような形でやりたい」

 同会議は今後、介護現場の視察や関係者からのヒアリングなどを実施し、年内に「介護ビジョン」を取りまとめる予定。

「介護ビジョン」で、初会合(中)

2008年07月30日 13時22分47秒 | 障害者の自立
■介護は“地域力”か
 石川誠委員(初台リハビリテーション病院理事長)は、リハビリ専門医の立場から問題点を指摘。医療と介護の橋渡しになる「維持期のリハビリ」が円滑に進むような制度になっていないことや、主治医とケアマネジャーとの連携が不十分であることなどを挙げた。さらに「医療と介護を一体化して包括的にやろうという意識改革が遅れている。ケアマネジャーには大変優秀な人と、『ちょっとどうかな』という人がいて、玉石混交だ。医療と福祉が一緒にできるムードが高まると、介護保険はもっと良い制度になる」と述べた。

 石川良一委員(稲城市長)は、“地域力”を強調した。「会議の検討事項に『自助・公序・共助』とあるが、防災活動などでは『自助・共助・公序』の順だ。地域力、つまり“共序”をいかに見直して再構築するかが重要だ」と指摘した上で、稲城市の「介護ボランティア制度」を紹介。「これは、『お互いが助け合う』という共助の再構築をしていく一つの試金石になっている。医療も含めて『負担が限界点に達している』と言われる中、地域でフォローする体制が求められている」と述べ、“地域力”を介護や福祉の分野に生かすことが、「介護保険における負担と給付」問題の解決策の一つになるとした。

 太田差惠子委員は、利用者の視点から介護制度の問題点を指摘した。太田委員は、離れて暮らす親のケア(遠距離介護)を考える特定非営利活動法人(NPO法人)「パオッコ」の理事長で、働きながら故郷の親を介護する人たちへの支援活動を展開している。
 太田委員は「介護というと『身体的介助』を思い付くが、介護とは人の生き方をサポートすること。生き方が多様化する中、情報も分散しており、どこにどんなサービスがあるのか、たどり着くのが大変な状況だ」と指摘。介護に関する正しい情報の集約化や、“情報の仲介役”となるケアマネジャーのサービスが利用者に分かりやすい環境の整備を求めた。

■厚労省の意向に沿った発言?
 続いて、駒村康平委員(慶應義塾大経済学部教授)が、経済学の視点から今後の議論の方向性や論点を具体的に示した。「3つの視点がある。どういう時間軸で議論するのか、理想の姿を目標に据えて議論するのか、現行制度からベターなものを積み上げて議論するのか」

 その上で、介護保険制度を構成する“3つのセクター”として、「本人・家族・地域というセクター」「財政と給付のセクター」「サービス提供者・労働サイドのセクター」を挙げ、それぞれに関連する論点を具体的に提示。「資源の確保ができなければどうしようもない。経済学の視点から議論したい」と述べた。

 まるで最終報告書の取りまとめのような“仕切り”を見せる駒村委員に、前田雅英・座長(首都大学東京都市教養学部教授)が“待った”をかけた。「先ほどは『あいうえお順』と申し上げたが、(発言者が)あっちに行ったりこっちに行ったりするのも不自然なので、わたしから一言申し述べさせていただく」と断った上で発言した。
 「わたしがこの会議に呼ばれた理由の一つは、20年間母親の介護をしてきたからだろう。介護保険制度ができる前、在宅介護には大変なコストが掛かった。家内は仕事を辞めて母親を介護したが、その間のバトルは大変なものだった。介護保険制度ができて本当に良かったと思うが、うまくいっている面もあれば問題点も多くある。(問題解決に向けて)いろいろなレベルから議論していただきたいが、法律家にとって、“革命”は駄目。格好良い議論はできないが、一歩ずつ良くしていくこと、一歩ずつ進むことが何よりも大事だ」

 前田座長が割り込んで発言した後、再び「あいうえお順」に戻って各委員が発言。袖井孝子委員(お茶の水女子大名誉教授)が「公的サービスの限界」に切り込んだ。
 「介護保険でどこまでカバーすべきかをきちんと議論すべきだ。何でここまで介護保険でやらなければいけないのか、その本質的なものは何かを洗い直す必要がある。『自分でやればいいのではないか』と思うものもある。もう少しシンプルに設計し直して、何もかも取り込まない方がいい。そうしないと、ますます財政的に厳しくなってしまう。稲城市のように“地域力”、NPOとかボランティアとか、インフォーマルなケアを使っていかないと、やれない。無理だ。家族がどこまでやるべきか、ある程度の痛み分けが必要で、国民の側も我慢すべきだ。『利用者本位』とか『権利』などが広がってくると、歯止めが効かなくなる」
 袖井委員の発言を、老健局の鈴木康裕・老人保健課長は大きくうなずきながら聞いていた。

「介護ビジョン」で、初会合(上)

2008年07月30日 13時21分15秒 | 障害者の自立
 舛添要一厚生労働相の提案で設置された厚生労働省の「安心と希望の介護ビジョン会議」の初会合が7月24日に開かれ、介護をめぐる現状と課題について意見交換した。公務のため途中から出席した舛添厚労相は、「介護報酬を上げただけで終わりではなく、介護の現場の方々が『今は苦しいけれども、必ず明るい未来がある』と思えるような長期的なビジョンがないといけない」と述べ、同会議の議論に期待を寄せた。意見交換では、「現実的な課題の解決か、長期的なビジョンの策定か」という今後の議論の方向性が焦点となったが、舛添厚労相は双方を“車の両輪”として取り組む意向を示した。

 冒頭、座長に就任した前田雅英氏(首都大学東京都市教養学部教授)が「皆さんの協力を得て、円滑な議事運営に努めたい」とあいさつ。「事務局から資料について説明してもらった後、フリーディスカッションの形式で皆さんから意見を頂きたい」と述べ、議事に入った。

 この日の議題は、「安心と希望の介護ビジョンについて」で、配布資料は「開催要項」(資料1)と「介護を取り巻く状況」(資料2)の2点。厚労省老健局の大澤範恭・総務課長が、資料に沿って説明した。

 「開催要項」では、同会議の目的や検討事項を提示した。高齢化の進展に伴う介護費用の増大など、介護制度をめぐるさまざまな問題に対処するため、将来を見据えた制度改革の必要性を指摘。同会議の目的について、「あるべき介護の姿を示す『安心と希望の介護ビジョン』の策定を進めるため、本会議を開催する」とした。
 今後の検討事項は、(1)自助・公序・共助を組み合わせたケアの構築(2)持続可能な介護保険(3)介護を担う介護従事者の人材確保(4)医療サービスと介護サービスの適切な提供(5)都市部や地方などの地域ニーズに対応した地域ケア構想のための仕組みづくり―の5点。介護報酬の引き上げなど財源の手当てに頼った政策よりも、地域のネットワークを生かした、“財政抑制型”のトーンが強い。

 「介護を取り巻く状況」の資料の最初のページでは、やはり「75歳以上の高齢者の増大」を挙げた。2ページで「平均寿命の国際比較」を示し、「わが国の平均寿命は男性79歳、女性が86歳であり、世界の中で最も高い」との一行を罫線で囲んで強調。高齢化が猛スピードで進んでいる日本の現状を具体的なデータで示した。
 資料は以後、介護をめぐるこれまでの政策や介護保険制度の仕組みなどを紹介した上で、「介護保険財政の動向」という“本題”に入っていく。
 資料によると、2000年度に3.6兆円だった介護保険の総費用は、08年度予算で7.4兆円と倍増。同年4月末に2165万人だった「第1号被保険者」(65歳以上の被保険者)は、07年11月末に2722万人に増加している。

 大澤課長は配布資料の説明を終えた後、社会保障制度の抜本改革を検討する「社会保障国民会議」に触れた。「今後、社会保障国民会議では将来費用の推計を行った上で、この秋を目途に最終報告書を取りまとめる予定と聞いている。社会保障国民会議の今後の状況も見ながら、『介護ビジョン』の策定に向けた議論をお願いしたい」とクギを刺して締めくくった。

 前田座長は「第1回の会合なので、各委員から発言をいただきたい。1人3分をめどに“あいうえお順”で発言していただきたい。まずは石川委員から」と指名した。

当事者の思いを発信 障害者が自立できる地域づくりを

2008年07月30日 09時34分14秒 | 障害者の自立
 「普通に暮らして、普通に働けるようにしてほしい、それだけなんですよ」。当事者として、川崎市や県に障害者支援の施策や制度の改善を求める提言を続けている。

 一九八七年二月、モトクロスの練習中に転倒。頸椎(けいつい)損傷による四肢まひの障害を負った。二十一歳だった。

 現在、ホームヘルパーと訪問看護を利用して自宅で生活。身に付けたコンピューター技術を使って働いている。「自宅で暮らしながら働くのが普通だと考えていたし、働く必要もあったんです」。事故前に国民年金に未加入で、障害者年金を受給できないためだ。

 声を上げ始めたのは二〇〇四年。厚生労働省が、利用者の負担能力に応じて利用額を支払う支援費制度を見直し、一定の利用額を負担する現行の障害者自立支援法の導入を意図した「改革のグランドデザイン案」を提案したのを知ったからだ。

 「(同案について)当事者が入って話し合いがされていないのが基本的問題だ」と思った。さらに、実質的には事業者の報酬が抑えられる仕組みで、「事業者やヘルパーが続けられなくなり、ひいては僕らが地域で生活ができなくなる」と、やむにやまれぬ思いからだった。

 対象にしたのは市や県。「国レベルに対しては、障害者団体などがきちっとアプローチしていた。福祉の歴史を見ると、いい法律や制度は地域発で、それを国が取り入れるという流れがあり、これに期待したんです」

 これまで「市長への手紙」や地域福祉計画など施策のパブリックコメントで意見を伝えてきた。〇六年四月の同法施行後は、市議や県議にも手紙を送っている。

 だが、市からは「国も見直しの動き」「国の制度で動いている」といった回答ばかりで、市の考え方が見えてこない。

 一方で、同法施行前に予測した通り、「ヘルパーが減って、希望の時間に利用しにくくなり、ヘルパーの質も落差がどんどん広がっている。高齢者の介護も含めて、家族介護に逆戻りしつつある」という厳しい現実に直面している。

 また、同法以前からだが、週五日働けるのに、排せつ介助の訪問看護が看護師の稼働時間の関係から日中しか利用できず、勤務を三日に限定。収入も減り、障害者が地域で自立して生活しようとしても、できない制度的な不備も経験した。

 同法は社会問題化し、ようやく今月から自己負担が軽減され、来年度に見直される。

 「負担軽減策は応急措置で、いつまで続くか分からない。ヘルパーさんの質を上げる報酬単価にしないといけない」。地域で障害者が普通に暮らせるよう、これからも声を上げていく。 

佐藤紀喜(さとうのりよし)さん
 1965年10月、川崎市生まれ。高津区在住。父親(77)と2人暮らし。2000年に母親が亡くなるまでは、生活介助は母親が担っていた。一時的にヘルパーを利用したが、ヘルパーの「やってあげている」という態度が目立ち、利用をやめたことも。趣味は、所属している車いすツインバスケットチーム「神奈川ジャンクス」の活動。選手は引退したが、厚木市の県総合リハビリテーションセンターまで毎月1回程度通い、ホームページの制作管理も担当。在宅時にできる事務書類の作成などの仕事を募っている。問い合わせは、Eメール=satohnori@msn.com=へ。