障害者が働ける場を増やそうと、ベトナムの代表的な麺料理「フォー」の専門店「フォー・デイズ」が今月、JR西小倉駅(小倉北区)近くにオープンした。店の代表、大久保智子さん(48)は「いろいろな形で、障害者たちが仕事に携われるようにしていきたい」と張り切っている。
大久保さんと、夫の康男さん(55)が出店を考えるようになったのは、ダウン症の次男・龍之介さん(15)の将来を考えたのがきっかけ。障害者が働ける場は限られており賃金も十分ではないという現状から、「障害がある人たちが、笑顔でやりがいを感じながら働ける場をつくりたい」との思いで出店を決意した。
2013年4月、店の運営会社を立ち上げ。ちょうどその頃、康男さんが営む総合設備業の会社は、ベトナムに合弁会社を設立していた。「現地では、ほとんどの人たちが朝食でフォーを食べる。九州ではフォーが食べられる店は少なく、気軽に食べてもらえれば」(康男さん)と、米粉で作った麺が特徴のフォー専門店を出すことにした。店は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの指定事業所となっており、従業員6人のうち1人は今春、特別支援学校を卒業した障害がある女性だ。食器洗いや食材の準備などを担当しているという。
メニューは、鶏肉のフォー、牛肉のフォー、肉だんごのフォーの3種類で各600円。トッピングの揚げパン(50円)や、店で使用しているどんぶりや小皿は、小倉北区の障害者事業所が作っている。
智子さんは「障害のある人たちがここで頑張りたいと思えるよう、活気のある店にしていきたい。障害者の仕事に結びつくものを増やしていきたい」と話している。水曜定休。営業時間は午前10時~午後6時。フォー・デイズ=093(383)8838。
「障害者の仕事に結びつくことを増やしていきたい」と話す大久保智子さん
=2015/03/30付 西日本新聞朝刊=