一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

2018-02-19 | 乱読日記
考えさせられた。

前半ではAIにできること、できないことを、世間の誤解も含めて明快に解説している。
後半では本来AIに対して優位に立つべき「意味を読み取る力」が落ちている現状を大規模に実施したリーディングスキルテストの結果をもとに厳然たる事実として提示している(大人も含めてなので今に始まったことではないのかもしれない)

印象的だったのが、AIは観測も数量化もできないことは無視してサンプルとの差を最少となることを目標とする、すなわち真の世界と確率を意図的に混同しているというところと、「学」から始まる単語を見ると「学級」でも「学年」でも「学業」でも全部「がっこう」と読む生徒になぜか、と訊ねたところ「その方がよく当たるから」と答えた、という話。

ドリルと暗記だけでそこそこの大学までは行けてしまう(のでそこそこの会社には入れてしまう)という現状は「AIに淘汰される仕事」以前に「人間がAIのレベルに下りて行っている」という自殺行為であり、それを止めないとAIが進歩しなかったとしても先がないように思える。

「東ロボ君」プロジェクトを主導し、現在は中高生の読解力をあげるための研究開発をしている著者の、現状へのいらだちが伝わってくる。

★5



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする