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一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「怖い経験」をする訓練はあったか?

2005-05-07 | 天災・人災
JR福知山線の事故について。

事故の原因はカーブ直前で急ブレーキを掛け、しかも速度オーバーで進入したために大きな遠心力がかかり、脱線したと想定されている。


実は自動車で似たような体験をしたことがある。


学生のころのアルバイトで、1トントラックを運転していた。
首都高速を5号線から品川方面まで運ぶというのがその日の仕事。
竹橋インターから環状線をそのまま走ると江戸橋インターの渋滞にかかるので、八重洲トンネルを通ることにした。

八重洲トンネルは、高架の竹橋インター(毎日新聞社の裏あたり)から八重洲の地下トンネルに入るため、環状線の分岐から一気に下り坂になる。
そしてそのまま緩い右カーブが続く。

しかし緩いといっても程度問題。

その日積荷を満載したトラックは下り坂でかなりの加速がついていた。
気がつくとカーブの入り口が近づいている。

そこで思ったのが
・このままでは曲がりきれない
・ブレーキを踏んだままカーブに入ると横転する
・急ハンドルを切っても横転する


しかしサイドミラーで確認すると、幸いなことに後続車はいない。

そこで、
2車線全部をつかって大きな弧を描いて(左車線→右車線→左車線、という形で右カーブを緩和させる)回り、あとは運を天にまかせることにした

残りの直線でタイヤがロックしない程度に急ブレーキをかけ
カーブに入るところでブレーキを若干もどすとともに、ゆっくりハンドルを切る

右車線の右の壁ぎりぎりまで寄せ、カーブの出口で左の壁とタイヤのスキール音とハンドルの感触を確かめながら、どうにかすれすれで抜ける事ができた



なので、運転士の「やばっ!」という気持ちはよくわかる。


事故を防げなかったのはATSが旧式だったのが原因、といわれているがはたしてそうだろうか?


運転士の訓練で、緊急対応とか危険な操作のシミュレーションが足りなかったのではないか。


電車は1トントラックのような軽いものではないから、上のように運を天に任せてどうなる、という余地は小さいはずなので、たとえば

制限速度70km/hのカーブは実際の限界速度がどれくらいなのか、
乗客数による車両の重さが車体の姿勢変化にどのような影響を与えるか、
列車のように連結部のあるものはカーブの途中でブレーキをかけるとどうなるか
を知っておく事は重要だと思う。

そうすれば、「カーブは怖い」ということが頭に叩き込まれる(僕は叩き込まれました)し
最悪速度超過で進入したときにやっていいことといけないことの区別がつくのではないか

飛行機でフライトシュミレーターがあるように、列車でも運転手シュミレーターは(「電車でGO」があるくらいなんだから)あるんじゃないかと思うが、実車でできないそういう訓練は十分だったのだろうか?


素人考えで恐縮だが、脱線の原因となる遠心力や車台の傾きへの影響が速度超過と急ブレーキによる姿勢変化のどちらの要因が大きいかを運転士が理解していたら、ひょっとして最後の最後に何かできること(急ブレーキをかけ続けずに姿勢を制御したまま設計限界速度まで減速して抜ける、とか、フルロックまでの急制動をかけつづけてとにかく速度を落とすとか)があったのではないか。

今回の事故は何も対処のしようがないくらいの速度オーバーだったのかもしれないが、もし運転士が怖さを知っていたら、そんなどうにもならない速度まで直線で加速する事もなかったのではないか、と思うのだが。


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Unknown (isharejp)
2005-05-11 21:04:47
>go2cさん、コメントありがとうございます。



結婚式と、娯楽の宴会は質が違います。それを例えにするのは的を射ていないと思われます。そして、事故車両に乗り合わせた運転士ことは、微風さんへのレスをお読み下さい。



>「とりあえず頭を下げておけばいい」



私は、報道機関が無理やり、頭を下げさせたとは思っていないです。JR西日本経営陣、社員は、徐々に徐々に、事の重大さに気づき始めている所だと思います。



>他の機能が停止しても職員全員が現場に向かうべきだまでは思えません。



誰も、「職員全員が救助する必要がある・・・」そのような言っていないです。この表現、どこから来るのですか?それに、事故車両に乗り合わせた運転士、二人ぐらいがいなくても色々な路線に影響はでないと思います。たった二人だけですから、運転士の控えはいる筈です。
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コメントバックありがとうございます (go2c→isharejpさん)
2005-05-11 22:42:08
こちらまでコメントバックありがとうございます。

ご指摘の通り表現が不適切な部分がありますね。その部分についてはお詫びします。



改めて考えてみると、組織としての事故の重大性の受け止め方とひとりの人間としてのあり方の両方が問われていて、それが一つの事実の中に混在しているところが、それに対する報道とその評価が分かれる原因なんじゃないかと思います。
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