日本共産党 群馬県議会議員 酒井ひろあき

あなたとつくる、希望の群馬。

谺雄二さん一周忌・人権賞受賞記念のつどい 草津町栗生楽泉園で開催 

2015年06月14日 | ハンセン病
谺雄二さんの遺志を受け継いで―一周忌・人権賞受賞記念のつどい―が13日、草津の栗生楽泉園で開かれ、妻と参列しました。
栗生楽泉園入所者自治会長の藤田三四郎さんが主催者あいさつした後、
ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会事務局長の竪山勲さん、
全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長の藤崎陸安さん、
ハンセン病市民学会事務局長の遠藤隆久さん、
全国人権連副会長の吉村駿一弁護士、
谺さんの友人で入所者の岸従一さんらがそれぞれ思い出を語りました。
私も僭越ながら、谺さんとの出会いや、ハンセン病問題の全面解決へ向けた県議会での取り組みなどについて話しました。

姜(きょう)信子さんが「千年の詩」と題して記念講演。浄瑠璃師の渡部八太夫氏が「葛の葉」を公演しました。
つどいには、梅村早江子衆院議員が参列しました。


以下、私のあいさつ全文です。

日本共産党群馬県議会議員の酒井宏明です。谺雄二さんの一周忌にあたり、このような機会を与えてくださり本当にありがとうございます。心より感謝申し上げます。本日は、昨年の総選挙で北関東ブロックから国会へと送っていただいた梅村さえこ衆院議員が参列していることをご紹介いたします。
谺さんとの出会い、すなわちハンセン病問題との出会いは2001年、人間回復に向けた裁判闘争が大きな山場を迎えていたときでした。画期的な熊本勝利判決、そして国との和解。原告団、弁護団をはじめ、全国各地につくられた支援組織、群馬では「ともに生きる会」の方たちの寝食を忘れた大奮闘によって勝ち取られてきたものだと確信します。あらためて関係者のみなさんに心からの敬意を表します。
当時私は、日本共産党群馬県議団の事務局員として、宇津野洋一元県議らとともに、ここ楽泉園で入所者自治会のみなさんから直接お話を伺いました。どれもショッキングな話ばかりでした。強制隔離政策や重監房のことなど、それまでほとんど無知、無関心でいた自分を情けなく思いました。
「しんぶん赤旗」記者になって、はじめての選挙が草津町議補欠選挙でした。谺さんが立候補し、「医療施設として地域に開放する、療養所の社会化」「療養所にいながらにしての社会復帰」などを訴えました。残念ながら及びませんでしたが、車いすから降りて、不自由な体を押して必死で訴える谺さんの姿は今でも忘れません。神美知宏さんも応援にかけつけていました。
その後、何度も楽泉園に通いました。谺さんをはじめ、鈴木幸次さん、浅井あいさん、鈴木時治さん、中原弘さん、沢田五郎さん、桜井哲夫さん、多くの元患者さんとの出会い、そして別れがありました。
2005年、谺さんたちや「ともに生きる会」の人たちと韓国ソロクト療養所も訪問しました。釜山の街で、豪放磊落に盃を交わし、夜遅くまで将来の展望を語っていた谺さんの姿がつい昨日のことの様に思い出されます。まさに国境を越えた運動家であり、「人間回復」裁判をたたかい勝利へと導いた緻密な理論家でもあった谺さん。詩人・文学者として、そして日本共産党員として、とてつもなく「人間の器の大きい」人でした。
私は4年前に県議会議員となり、厚生文化常任委員会や一般質問で、ハンセン病問題を取り上げてきました。ハンセン病問題の全面解決へ向けて、療養所のある県としての責任をはたすべきではないかと、医療看護の充実を国に働き掛けるとともに、強制隔離など県の誤った政策を検証するための委員会の設置や資料の収集・保存・活用を再三求めました。県立文書館に行って調べたりもしました。伊藤祐司県議も当局を追及し、ついに県は、専従チームをつくって資料の収集にあたり、今年3月「群馬県ハンセン病行政資料調査報告書」を出すまでに至りました。
こうした前進面はあるものの、谺さんの提唱した「人権のふるさと」としての療養所へ、入所者の思いや苦しみ、悲しみに寄り添い、最後の一人までの在園保障と名誉回復、差別と偏見克服の取り組みは道半ばです。ハンセン病問題基本法の完全実施に向けた運動のさらなる発展が求められています。
私は、ハンセン病市民学会にここ数年、毎年参加し、各地の療養所を訪れ、元患者や支援する会の人たちとも交流してきました。昨年の草津での市民学会期間中に谺さんが息を引き取られ、帰らぬ人となりました。奇しくも熊本判決のあった5月11日。霊安室の棺の中で眠る谺さんが「俺はすべてやりきったぞ、あとは任せたぞ」と語りかけているように私は感じました。
昨年、重監房資料館がオープンしました。重監房復元の取り組みでは、高崎高島屋前で2003年9月、谺さんは「10万筆集めるんだ」と自ら署名運動の先頭に立ちました。こうしたたたかいなくして、重監房の復元はなかったといえます。その完成まで見届けた谺さん。今年の市民学会に谺さんの姿はありませんでしたが、その遺志はしっかりと受け継がれていると確信します。
戦後70年の今年、戦争か平和かの重大な岐路に立たされています。戦後最悪ともいえる安倍政権のもとで、憲法9条を踏みにじり、アメリカと一緒に海外で戦争する国づくりが進められています。戦争は最大の人権侵害です。沖縄県辺野古への米軍新基地建設の強行、原発再稼働、TPP推進、社会保障切り捨てと一体の消費税増税。平和と民主主義を破壊し、国民生活を犠牲にする暴走を断じて許すわけにはいきません。
群馬では、まもなく県知事選挙がはじまります。憲法を暮らしに生かす県政の会の萩原貞夫予定候補が連日奮闘しています。ハンセン病問題の全面的解決、栗生楽泉園を人権のふるさとに、こうした谺さんの願い、遺志を実現するためにも大事な選挙です。ぜひ勝ち抜いていきたい。
最後に、本日のつどいを主催された栗生楽泉園自治会及び群馬ハンセン病訴訟を支援し、ともに生きる会のみなさん、並びにご参列のみなさんのご健勝を祈念申し上げ、ごあいさつにかえさせていただきます。