5月、兄と二人で道端のワラビを摘みながら歩いた春ー
山の家に着くと、おじいちゃんとおばあちゃんと、おじさんとおばさんと、
その日はみんなでこんにゃくを植えていた。
山の斜面を開墾した畑は、落ちたら死んでしまいそうなくらい急こう配でー
それでも、こんにゃくは水はけが良く、風が当たらず、西日の当たらない土地がいいらしく、
この畑はこんにゃく作りに適していた。
上から畑をのぞき込んで
「こんにちは!」と言うと
「二人で来たのかな?えらかったら。」と言って泥を払いながらおばあちゃんが這うようにして畑から上ってきた。
「バスに乗っとったもんで、そんねんだるくなかったけど、坂を上るときはえらかったに!」と私は答えた。
おばあちゃんは
「そうか、そうか」と、言いながらお茶を入れてくれた。
みんなに
「お茶を飲むでおいないよ!」と言うと
「今、行くに。」と言って畑から上がってきた。
おじいちゃんたちはお茶を飲むと又こんにゃくを植えに行き、私と兄は近くで遊んでいた・・・
と、小学校の2年生の5月の日記に書いてあった。
≪方言≫
えらかったーは、偉いではなく、疲れたとか大変だった
バスに乗っとったもんでー乗っていたので
そんねんだるくなかったーそんなに疲れなかった
坂を上るときはえらかったー坂を上るときは大変だった
おいないよーいらっしゃい