梅雨の合間を縫って佐久穂町にある茂来山(もらいさん)へ。
御座山(おぐらさん)と並ぶ佐久の名山だけれど、山の名前が読みにくい。
この際きちんと覚えておこう・・御座山(おぐらさん)と茂来山(もらいさん)ーなどと、友人と話しながら高原野菜の収穫真っ盛りの野辺山高原を佐久穂町に向かう。
茂来山は皇太子時代の浩宮様も登った事があるという美しい山で、渓谷と美しい樹林を併わせ持つ・・と書かれていたから期待が大きい。
登山口は霧久保コースと槙沢コースとあり、霧久保コースには「トチノキ・コブ太郎」があるので、霧久保コースを登る事にした。
よく整備された登山道を、渓流沿いに沢の音と鳥の声を聞きながら緑一色に彩られた山道を歩く事は、
ある意味贅沢な時間で、日々の絡まり縺れた思考がきれいに整って行くのを感じる。
汗が額に滲んできた頃「トチノキ・コブ太郎」の案内板が見えてきた。
「森の巨人たち100選」に選ばれたトチノキ。
樹齢250年、樹高22m、幹回り531cmー愛され続けているコブ太郎の傍に立つと何とも言えない安心感に包まれて、
いつまでもその吐息を感じていたいのか、思わず近くに歩み寄りたくなる何とも不思議な感覚になったのは、
やっぱり木々が生きている証拠。
コブ太郎から先は徐々に急登になるが、霧の中の林立するブナの木の中を歩いていると呼吸にも優しく、疲れを感じる事はない。
改めて美しい山だと思う。
友人のザックに付けられたちっちゃなまる子がゆらゆらと揺れ、一緒にこの景色を楽しんでいるようだった。
約2時間、山頂に着くと視界が開け石祠と浩宮様登山記念碑が並んでいた。
この梅雨の時期、午後から雨の予報だったのに山頂で昼食が食べられただけでもラッキーだったし、
眼下にはうっすらと佐久平や高原野菜が畑が見え、八ヶ岳は雲の中だったけれど、
登山道の緑は眩しいほどで、今年に入って一番の森林浴を満喫した。