昨晩は眠れない夜であって、日曜日の夜、
眠れない時は何故かNNNドキュメントを
ときどき観る。今回は興味深い、国産材の
「山が動く」という特集であった。わずか
30分の番組である。
奈良県十津川村の話であった。2011年(平成
23年)8月25日台風12号がもたらした
紀伊半島大水害は関係者に大きな衝撃を
与えた。スギが根ごと流されて山肌が見える
ような災害が生じた。
ここでおさらいをしておこう。日本の国土の
66%は森林であり、国土の約2/3が森林だ。
その中で約半分が天然林、2割が人工林、
その他3割が無立木地(樹木が生立して
いない林地)や竹林などで構成されている。
人工林と呼ばれるのは、植樹して建築の
材料に使われるスギ、ヒノキ、マツなどを
人間が植樹した森林のことを言う。
日本の人工林は、昭和20~30年代、戦後の
焼野原からの復興に必要な木材を確保する
ために政府が実施した「拡大造林政策」に
よって増加したという。当時の家庭燃料は
木炭や薪が中心。木材は生活に欠かせない
存在であったのだ。政府は復興のために
どんどん木を植えよ、ということで、とても
人が入らないようなところまで無理やり、
張りきって植樹されたというのが現状だ。
なのに、現在の日本の木材自給率は、約
30%にしかならない。これは、どういう
ことかというと、安い外材が輸入され、
日本の木材が衰退した。一時は、90%
ぐらいの木材自給率であったが、木材市場
に持っていくだけで人件費や輸送費がかさみ、
外材よりも高価になってしまうという現実が
ある。市場に持っていくよりも、外国から
船で運んだ方が、安くつくのである。
その高騰する理由の一つに「山に道がない」
ということがあげられる。ほとんどの森林
では、道がないので架線集材している。
ようは、山で木を切って市場まで運ぶのに
道がないのでコストがかかるということで
ある。架線集材というのは森林の中に
ワイヤー張ってそのワイヤーを使って切った
木を運ぶという作業に使われる道具である。
建築の構造材として使用するためには真直ぐ
な木材が必要であり、真直ぐで大きい木材を
つくろうと思うと、間伐という作業は欠かせ
ない。日本の林業というのは密集させて植樹
して、間引き(間伐)することにより、より
丈夫な使えそうな木を育てていくのである。
詳しくは、またの機会にかく。
まあ、何よりも後継者不足であり、例えば、
架線集材のワイヤーのかけ方も後継されて
いない。いちいち、年配者が山に出てきて
指導しないと出来ない。間伐もしなければ
いい木は出来ないのであるが、儲からない
ので、山にお金をかける所有者がいない。
悪循環なのである。そこで生命に危機感を
覚えたスギ・ヒノキが花粉をばらまいて
子孫を増やそうとする。生命保守の自然現象
なのだ。そうすると花粉が市街地にも舞う
ことになり、人々は花粉を摂取しすぎて
花粉症が多発するという仕組みになる。
山の現状が市街地で暮らしている人にも
影響を及ぼすことになっているのだ。
ということで、番組の内容よりも前段階での
話になってしまったが、もう少し次回は番組
の内容を詳しく書いていこうと思う。