「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

BPDの自殺関連行動の自己統制モデル (3)

2013年09月01日 21時22分19秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

○ 危険性の評価と 入院必要性の判断

 入院の必要性を決める際に、 臨床家は、 自殺の危険を 重く捉えることと、

 患者自身が 自殺念慮を耐え抜く力を 高めることの、 バランスを取るのが必要です。

 自殺の意図があるかないかは、 多くの場合、 患者自身が明確に区別できるものです。

 BPDの自殺念慮と自傷行為は、 耐えがたい精神的状況を乗り切り、

 解放されたいという 死に物狂いの願望から 生まれたものです。

 それは生き続けるための努力です。

 それを認め、 安全に対処するよう支援できれば、 頻回の入院を避けられます。

 必要のない入院を繰り返すと、

 患者は 入院でしか 自分の辛さを認めてもらえないと思い、

 入院するような振る舞いを 見せるようになります。

 そのような 患者の入院の意味を 変えていくことが必要です。

 自殺企図を起こす 極端に苦しい時期には、

 入院治療によって 自殺企図を阻止したり、

 患者が落ち着くまで 耐えることを援助できます。
 

○ 自傷行為のまとめ

 BPDで自殺を試みた人は、

 自殺の意図が両価的で、 自殺企図のたびごとに その意図が変化しているでしょう。

 BPDの人には、 自殺の意図のない自傷行為, 自殺念慮,

 自殺をするといって脅す行動が 見られます。

 自殺企図と 自殺を意図しない自傷行為は 全く別のものです。

 人を操作したり 関心を集めるために 自傷行為をするというより、

 このような行動を恥じ、 隠すことが多く見られます。

 自傷のきっかけで 最も多いのは、 対人関係を失ったことです。

 自傷行為のプラスの作用としては、

 緊張を和らげる, 辛い気持ちをそらす, 精神的苦しみを目に見えるものにする,

 怒りの感情を行動にする などで、 統制できない感情を コントロールすることです。

 自傷行為によって 精神的プレッシャーから解放されると言います。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 


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