「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族の経験

2013年10月03日 21時46分51秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 BPD家族が経験するのは、 次のようなことがあります。

 誤診や症状の過小評価, 不確かな複数の診断・ 合併精神障害, 不適切な薬物療法,

 専門家の矛盾したメッセージ, 患者による病気の否認・ 治療拒否,

 彼らの未熟な行動への対応, 家庭内での対立, 患者と同居するか別居するか,

 予後と将来の心配。

 家族の回想による調査では、 親は 多くの苦しみを味わってきており、

 状況の改善は想像もしていません。

 家族が求めるのは、 気休めの回答ではなく、

 同じ家族との出会いで 癒されることです。

 患者の感情や経験を 無効化する (意味のないものとする) 養育環境を

 家族が知ることで、 家族は 行動を修正する指針を与えられます。

 BPDの人は、 感情的な関わりすぎに対して 肯定的に反応するようです。

 強い感心や過保護が、 自分を確認してくれるものと感じられると 考えられています。

 BPDの人は、 他の精神障害の人より 高い機能を示します。

 無気力, 無快感という陰性症状は 通常ありません。

 自殺のそぶりが 耐えがたい絶望から生じているとすると、

 家族は それによって生じる痛みを 理解しやすいかもしれません。

 BPDの人は、 不安定な感情と 操作的な行動のゆえに、

 脳内物質ではなく 性格に原因があると 見なされてしまいます。

 彼らが 他の点ではうまく機能しながら、

 人とのやり取りでは 一貫性のなさを露呈するとき、

 病気と見なすのは 非常に難しいことです。

 それでも BPDの人の家族は、

 異常な行動を 病気のためだとすることで、 許すことができるでしょう。

 家族の立場を困難にしているのは、

 患者が自分の行動を 説明する責任があるのかないのか 迷うこと,

 取るべき態度が分からないこと, 予想できない問題行動が 周期的に起こることです。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 


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