「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

原因究明で誰かを非難しない

2013年10月02日 21時52分08秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 この種の説明モデルの 危険のひとつは、 犠牲者を非難することです。

 実際に性的虐待は、

 犠牲者の不注意や愛情欲求によって 引き起こされるものではありません。

 生物学的に BPDを発症する傾向を持った人は、

 ストレスや非難・ 罰に対して 過敏です。

 扱いづらい子に対して 親は非難や罰が頻繁となり、

 のちに 虐待として思い出されると考えられます。

 多くの家族は、 我が子が何故こうなったのか 理解できません。

 BPDが 虐待的な親の存在に 関係するという説と、

 親の不在に関係するという 説との間には、 明らかに食い違いがあります。

 虐待をするような人なら、 子供のために自ら 家族療法を受けたりはしません。

 患者を心配し、 治療に協力的な これらの親は、

 戸惑い, 怒り, 罪悪感の中で 揺れ動くのです。

 正しい原因の理解が、 治療の基礎になるものです。

 養育に問題を求める 理解は、 原因についての専門家の態度に 影響を及ぼします。

 BPD患者には 障害の生物学的基礎があり、

 うまく噛み合っていない家族関係と 組み合わさり、 障害を発生させます。

 家族関係だけが障害を引き起こすという 根拠は全く存在しません。

 BPDの原因は 養育の問題にあると 臨床家が考えていると、

 家族との協力関係に 大きな問題が生じます。

 症状改善に失敗し、 家族や、 家族と患者の関係を 傷つけるでしょう。

 家族に批判的な臨床家から、 家族に伝えられる ダブルバインドのメッセージは、

 疾患を悪化させます。

 家族を助けようとする裏側で、 家族に対して 暗黙のうちに非難が行なわれ、

 しかも その矛盾が否認されるのです。

 対等の関係を強化し、 過干渉と罪悪感が 軽減されなくてはなりません。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 


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