「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族のストレスと負担を減らす

2013年10月14日 20時34分10秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 家族療法の第1の目的は、

 BPDの人の症状を軽減し、 能力を向上させることですが、

 家族のストレスと負担の軽減が 目標にされるものもあります。

 それは 家族サポートプログラム, 家族教育プログラムと呼ばれ、

 専門家による家族心理教育とは異なります。

 患者の家族自身である、 教育を受けたボランティアによって 指導されることが多く、

 医療施設ではなく、 地域社会に基盤があります。

 治療ではなく 草の根的なものであり、 最小の費用で参加できます。

 「家族から家族へ」 と呼ばれる 家族教育もあります。

 教育と共感的理解を通して、

 家族が感じる偏見 (スティグマ), 孤独, 絶望を減らすことが目的です。

 正式な家族心理教育とは異なりますが、

 家族が患者に 不愉快や心配を感じることが 軽減されます。

○ 家族の関与のまとめ

・ 治療プログラムを選択するときは、

  治療法の有効性についての 情報を得ることが重要です。

・ 家族心理教育は、 家族の強さを増すことに 重点を置き、

  患者の問題を 家族の責任と考えることはありません。

・ DBT家族療法は、 家族内のコミュニケーション技能を築き、

  家族内の相互作用を 改善させるアプローチです。

・ 家族サポートプログラム, 家族教育プログラムは、

 ボランティアの家族がリーダーとなって、

 問題解決と自助の技能や 情報を提供し、 相互サポートを促します。

 BPD家族の負担を 減らす効果があります。


● 訳者 (林直樹) あとがき

 本書では、 従来ないがしろにされがちだった 家族へのサポートを強調している。

 専門家が、 BPDの原因は 養育環境や家族関係だという 偏った考えに毒されて、

 家族のサポートは不充分だった。

 さらに本書は、 家族が 治療チームのメンバーとなってもらうべきだと 示している。

 わが国 (日本) では 家族への支援は 貧弱な段階にあり、 今後の課題は大きい。

 しかし、 家族同士がサポートし合う活動が 大きな役割を果たしうることに、

 大いに励まされる。

 本書は 米国の状況の記述だが、 わが国でも 有用性が高いと考えられる。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より

(以上)
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿