<元気ですか? とても寒いね。
暖めてほしい、あなたの心と体で……いつでも、どこにいても>
<今電話したけどお留守でした。早く帰って。わがままでゴメンナサイ。
そばにいてほしいの。逢いたいの。包んで欲しい>
心子(しんこ)からのメールだ。
<マー君、マー君……辛い時いつもそう呼ぶの。マー君助けて!>
村瀬心子、三十五歳。彼女は身も心もその年齢とは無縁だ。優に十歳以上は若く見える。
小柄でくりっとした目が愛くるしい。純情でセンチメンタルな童女の風情を漂わせる心子。
電話で出しぬけにこんなことを言ったこともある。
「お願いがあります。一杯愛して。もうこれ以上いらないっていうくらい、一杯愛して」
心子は限りなく満たされた、完璧な愛情を熱望している。
(続く)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます